2011年10月01日

Botticelli の日本語表記

このブログでは Botticelli の日本語表記は、今まで「ボッティチェッリ」と表記してきたのですが、今回「ボッティチェリ」と書き換えてみました。全部は面倒だったので、今年書いた記事だけやりました。

ボッティチェリの話題について最初に調べたのが、ウィキペディアの記事からだったので、そこの見出しになっていたボッティチェッリの表記にしました。ブックオフで105円で手に入れていた手元の伊和辞典にもそう書いてましたし、途中で手に入れたヴァールブルクの本にもそう書いてありました。

でも、日本での Botticelli の読みは、Googleの検索結果からも、「ボッティチェリ」が一般的なようなのでそちらにすることにしました。なお、Botticelli の表記には他にも、「ボッティチェルリ」というものもあります。手元の英和辞書ではこれでした。

 

ついでにこのブログでの引用符のことも書いておくと、二重山カッコの《...》は絵画などの作品のタイトル、二重かぎカッコ『...』は本のタイトル、普通の引用や言葉の強調は、かぎかっこ「」にしています。ただし厳密にはなってないです。

これは、さっきも挙げたアビ・ヴァールブルクの本の日本語訳『サンドロ・ボッティチェッリの《ウェヌスの誕生》と《春》』の表記法に倣ったものです。

 

久しぶりに、アマゾンの本へのリンク。上記のアビ・ヴァールブルクの本です。

ドイツ語原書は、全集になりますが、次の本に収録されています。



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2011年10月03日

《プリマヴェーラ》 霧の存在理由

ボッティチェリの神話画の独自の解釈をずっと書いてきましたが、以前書いたことの中でずっと引っかかっていたものがあります。それが今回のタイトルの「霧」です。《プリマヴェーラ》で左端のメルクリウスが頭上を見上げ、カドゥケウスでつつきながら覗きこんでいる、霧、霞(かすみ)、靄(もや)、雲などと呼ばれているもののことです。

これについては、いろいろ考えを述べてきましたが、今年の初めの頃の「「プリマヴェーラ」の解釈」において、『ホメロス風讃歌』のヘルメース讃歌の章で書かれているメルクリウスを形容する言葉、「νυκτὸς ὀπωπητῆρα, πυληδόκον 夜の見張り、戸口の番人」の前半の、形を変えた描写ではないかとしました。つまり、「夜」ではなく「暗闇」と解釈するならば、筋が通るのではないかと考えました。

この解釈はすっきりしないので、ずっと自分で気にはなっていましたが、他に何も思い浮かばないのでそのままにしていました。しかし今回ふと思いついて調べてみたら、はっきりした解釈を見つけました。これで決まりだと思います。

描写されていたのは、ヘルメース讃歌の語句「νυκτὸς ὀπωπητῆρα」で間違いなかったようです。この単語を Google Books にある 「ギリシャ語-イタリア語辞典」 で調べてみて分かりました。

調べてみると、νυκτὸς の基本形 νύξ の意味として、「notte; caligine, tenebre」が出てきました。一番最初の notte はもちろん、「夜」です。そしてその次の caligine の意味を手元の伊語辞典で調べてみると、「1.霧、濃霧、スモッグ、もや 2.《地域的》煤 3.《比喩的》やみ;混沌、意識もうろう」とあります。最後の tenebre は「闇」です。もちろん、厳密にはボッティチェッリの時代の辞書に書かれていることを示した方がいいのですが、それは無理というものです。この1846年の希伊辞典で十分だと思います。

これで、この絵のメルクリウスの姿が νυκτὸς ὀπωπητῆρα を描写していることがはっきりとしました。本来『ホメロス風讃歌』では「夜の見張り」と訳されるのですが、この絵の中ではわざと「霧の監視人」として描かれています。メルクリウスが監視しているとされる「νυκτὸς」を絵の中に用意するために、「霧」が描きこまれていたのです。本来の「夜」には形がありませんから、描くことのできる「霧」を使ったのでしょう。これがこの絵に霧が描かれている理由です。ボッティチェリは、どの神話にも記述されていない霧を見つめている姿を描くことで、彼が νυκτὸς ὀπωπητῆρα であること、つまり彼がまさにメルクリウスであると示していたのです。

 

ついでに、この希伊辞典で、以前《パレスとケンタウロス》の解釈で出てきた δαίς を調べてみると、予想通りイタリア語で banchetto という意味が書かれていました。並んでいる他の意味からして、この言葉は「宴会」の意味で置かれているのでしょうが、この単語そのものの意味から「小さな台」として描かれたのだと思います。

 

さあ、これでボッティチェリの神話画に描かれている意味不明な不思議な描写がほとんど説明できました。僕の解釈を短い言葉で表すと「言葉遊び」説ですね。それが見事に一貫しています。でもかえってその屈折した描写によって具体的にどの文章を典拠にしたのかを、はっきり示せるのですから、これらの描写はほんとに素晴らしいです。

ここまで調べたならば、これは本にしたほうがいいでしょう。答えを探しながら書いているので、頭から読んでもきっとよく分からないでしょうから。やっぱり、まとめる必要があります。それにラテン語や古典ギリシャ語の訳は見直すと恥ずかしものがあります。まだいくつか発見できるかもしれませんから、それも盛り込んで。



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2011年10月25日

GNOME Orca を改造して、Ubuntu11.10でも日本語をしゃべるようにする

先日 Ubuntu11.10 が出ましたが、あいにく今までのGNOME Orcaの改造版では、うまく動作してくれなくなりました。

それで、急遽、といってもちょっと時間がかかりましたが、Ubuntu11.10対応版を作りました。まだまだ実用向きにはなれませんが、Linuxで日本語のスクリーンリーダーを実現するにはこんな感じにやればいいんだという参考になればよいと思います。

今回は、Box.net で50GBゲットできたので、そこで公開してみます。なおこの日本語Orcaは内部で非商用・非軍事利用が条件のMBROLAを使用していますので、その旨を同意された方のみダウンロードしてください。
http://tcts.fpms.ac.be/synthesis/

また、このプログラムによるいかなる損害の責任も負いかねますので、自己責任での利用をご理解ください。

 

上のFlashが表示されていれば、マウスで選んでダウンロードしてみてください。上のFlashが表示されないときは、次のリンクからダウンロードしてみてください。
→→ orca-3.2.1-jp_scripts-003.tar.gz

インストール方法を具体的に書きました。下記の二つのページをご覧ください。
GNOME Orca で日本語を使う方法(Ubunt11.10向け) 準備
GNOME Orca で日本語を使う方法(Ubunt11.10向け) インストール
(2011.11.03追記および修正)

orca-3.2.1-jp_scripts-003.tar.gz を展開して中にある orca-jp_inst.sh を端末から実行してください。ビルドや実行に必要なパッケージをインストールして、GNOME Orca3.2.1 のソースをダウンロードし、日本語が使えるパッチを当ててビルドしてくれます。

上の文が何言っているか分からない人向けには、後日、デスクトップの画像を使って簡単な導入方法をまとめる予定です。画像の撮影は終わってますので、 しばらくお待ちください。

最初の開発から1年ちょっと経ってしまいましたが、Ubuntuでもスクリーンリーダーが日本語をしゃべるぞ、ということを確認する程度の出来でしかありません。努力が足りないと反省しています。



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2011年10月28日

GNOME Orca で日本語を使う方法(Ubunt11.10向け) 準備

Linux には GNOME Orca というスクリーンリーダーがありますが、現在日本語の利用ができません。そこで少し改造して日本語でしゃべるようにしました。その方法を以下に紹介します。まだ実験的なものなので、その点を御理解なさってお使いください。できれば、日常使われるマシンではなく、ヴァーチャルマシン上での利用をお勧めします。

なお、以下の説明は視覚障害者がご自身でできる手順としては書いてありません。音声ガイドを導入する前段階の手順ですので、サポートの方に手伝ってもらう必要があります。

■準備

Ubuntu11.10 がインストールされたパソコンを用意します。パソコンの能力が十分ならばWindowsやMac上にインストールした VMWare Player 上に構築したほうが、手軽に試せると思います。それから確実にアップデートを実行し、確実に最新の状態にしておいてください。アップデートしていない場合、Nautilus (GNOMEでのエクスプローラのようなもの)の動作がおかしくなる可能性があります。

これはVMWare Player上に構築したばかりの Ubuntu11.10 です。

a

右上のメニューから、アップデートマネージャを呼び出して、最新の状態にしておきます。

c

最新の状態にしたら、お好みで「端末」を左横のランチャに追加します。今後の作業はどうしてもコマンドラインからの入力が増えますので、手軽に呼び出せるようにしておきます。

ALT+F2(ALTキーを押しながらF2キー)で「端末」もしくは「terminal」と入力し、エンターを押すと端末が起動します。

e

起動すると左のランチャーに起動している間アイコンが現れます。このアイコンの上で、右クリックして出てくるメニューの「ランチャーに常に表示」を選びクリックします。

h

これで端末の起動が楽になります。またキーボードのショートカットも利用できるようになって、上の画像の例だと、Windowsキーを押しながら、上段数字の「9」を押すと、端末が現れるようになります。この数字は上からの順番なので、順番を入れ替えれば別の数字になります。アイコン上でマウスを左ボタンをずっと押さえているとアイコンが移動できるようになります。

端末が自由に出せるようになりましたが、ディレクトリの移動を手入力するのは面倒ですので、今度は開いている任意のフォルダで端末が開けるように設定します。Windowsでシフトを押しながら右クリックすると「コマンドウィンドウをここで開く」というメニュー項目が出てきますが、それと同じことをできるようにするわけです。

端末を開き、

sudo apt-get install nautilus-open-terminal

と入力しエンターをすると、パスワードの入力が求められます。ここで自分のログインパスワードを入力すると、パッケージがインストールが開始されます。完了すると、以後、作業中のフォルダ内で、右クリックをすると、「端末の中に開く」という項目ができます。これを使うと、そのフォルダにあるファイルなどに対して操作がしやすくなります。

menu

準備の最後は、標準のOrcaのアンインストールです。標準でインストールされているOrcaをコンピュータから外しておきます。端末を開き、

sudo apt-get remove gnome-orca

と入力します。パスワードを求められるので、入力すると、削除が始まります。これで準備が整いました。
続く



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2011年10月30日

GNOME Orca で日本語を使う方法(Ubunt11.10向け) インストール

GNOME Orca を少しいじって、Ubuntuに日本語スクリーンリーダーを導入する方法の続きです。前回「GNOME Orca で日本語を使う方法(Ubunt11.10向け) 準備」は準備だけでしたが、今回はいよいよ本番のインストールです。

前回、書き忘れていましたが、「端末の中に開く」は少なくともログアウトしないと有効になりません。

GNOME Orca には日本語を処理する部分がないので、これを以前作ったmbttsというマルチプラットフォームのPythonのモジュールを組み込んで使います。その改造を行い、新しい日本語対応のOrcaを組み立てるのが次のファイルのです。

ダウンロード→ orca-3.2.1-jp_scripts-003.tar.gz

なお、orca-jp 関連ファイルはしばらく orca-jp-alpha フォルダに置いておきますので、最新のものを使ってください。

上記のファイルをダウンロードします。どこに置いてもいいですが、今回はわかりやすいように「ドキュメント」に移動させます。

このファイルの上にマウスを持ってきて、右クリックしてコンテキストメニューを出し、その中の「ここに展開する」を選びます。

orca1

「orca-3.2.1-jp」というフォルダができるので、フォルダの中に入ります。中には4つのファイルがあるはずです。

・prepare.sh
・install.sh
・orca-3.2.1-003.patch
・ap_inst.sh

それぞれの役割は、次のようにしています。

・prepare.sh
ビルドやインストールに必要なファイルをダウンロードしたり、展開する手順が書いてあります。

・install.sh
日本語が使えるように修正し、ビルドしインストールします。前もってprepare.shを実行する必要があります。

・orca-3.2.1-003.patch
本来のorcaとの差分です。ほとんどは翻訳チームの方々が訳されていますが、台詞の部分は動作に支障を来すので意図的に訳されていません。そういう部分を訳しています。しかしその日本語訳がまだ未完です。少しずつ修正していく予定です。現在は003です。

・ap_inst.sh
Linux版AquesTalk2の体験版を利用できるようにするスクリプトです。アクエスト社のホームページに行って、Linux版の体験版をダウンロードして、先ほどのフォルダの中に入れたあと、このスクリプトを実行すると、mbttsの機能として、AquesTalk2の音声を使えるようになります。なお体験版は機能が制限され、発音できない文字があります。

orca2

なお、以前のスクリプトでは、管理者権限で実行するコマンドも他のものも一緒に記述していましたが、ログインパスワードを求めるコマンドを、動作を把握するのが面倒な長いスクリプトの中に入れるのは行儀が悪いと思いましたので、二つのファイルに分けることにしました。prepare.sh に記述されているスクリプトは管理者権限は必要ありません。一方 install.sh は内部でsudoを使って管理者権限で実行するコマンドが記述してありますが、コマンドの単純な羅列ですので、内容は把握しやすくしくなっています。

 

■ スクリプトの実行

まず、これは準備編に書くべきだったかもしれませんが、端末を開き、次のコマンドを入力し、エンターを押して実行してください。差分を使ってプログラムを修正できるようになります。

sudo apt-get install patch

次に、スクリプトに実行許可を与えます。現在のフォルダで端末を開いて「chomod a+x *.sh」でもいいですが、ここではマウスを使ってやってみます。

「.sh」で終わっている三つのファイルをコントロールキーを押しながら選択し、右クリックをしてメニューを出し、プロパティを選びます。

orca5

すると、プロパティのウィンドウが開きます。「基本」、「アクセス権」、「開き方」とタブが並んでいますが、その中の「アクセス権」を選びます。中程にある「プログラムとして実行可能」をチェックします。そして右下の「閉じる」ボタンを押して閉じます。

orca6

これで、スクリプトが実行可能になりました。

現在のフォルダの中でファイル上ではない余白の部分を右クリックして、メニューを出し、「端末の中に開く」を選びます。そして、

./prepare.sh

と入力しエンターします。すると、ダウンロードが始まります。残り時間を表示しながらダウンロードが数回行われます。展開の時は大量のメッセージが流れていきます。すべてが終わると、$の横で四角いカーソルが点滅します。

今度は、

./install.sh

を入力しエンターします。するとログインパスワードの入力が求められるので、入力してください。そのあと大量のメッセージが流れ出します。すべてが終わると、同じようにカーソルが点滅します。

これで、インストール完了です。

 

■ 初期設定

端末を開き、

orca -t

と入力しエンターします。初回起動ならば「orca」とだけ入力しても同じですが、テキストベースの設定はこのオプションをつけて起動させます。いくつかの質問が出されますので、それに答えていきます。

読み上げシステムを選択してください:
1.読み上げディスパッチャ
2.mbtts
番号を入力してください。

これに対しては、mbttsの方の「2」と答えます。絶対「1」と答えてはいけません。このシステムは日本語の文字列に対応していないので、最悪の場合、設定画面も開けず、終了時の「さようなら」がしゃべれなくて終了させることもできない状態になります。

そのほかの質問には次の解答をします。なおこの設定は後からいくらでも変更できます。

音声の種類を選択してください:    1
単語毎にエコーを返しますか?:    y
キーエコーを返しますか?:    y
アルファベットと数字、句読点のキーエコーを有効にしますか?:    y
修飾キーのキーエコーを有効にしますか?:    y
ロック・キーのキーエコーを有効にしますか?:    y
ファンクション・キーのキーエコーを有効にしますか?:    y
アクション・キーのキーエコーを有効にしますか?:    y
キーボード・レイアウトの選択:    1
点字を有効にしますか?:    n
点字モニタを有効にしますか?:    n

最後にいったんログアウトしてください。

 

■ Orcaの実行

いよいよ実行です。

ALTキーを押しながらF2キーを押して、orcaと入力して、エンターします。
すると、白杖を持ったオルカのスプラッシュ画面が出てきて、四つのボタンの並んだ
横長の小さなウィンドウが現れます。

orca3

キーボードの左右矢印キーを動かすと、フォーカスがボタンを移動し、ボタンの名前を読み上げてくれるはずです。

とりあえず、今回は「終了」ボタンを押して、終了してください。このボタンを押すと終了するかどうかの確認ダイアログウィンドウが出ますので、終了を選んでください。

orca4


申し訳ありませんが、日本語のOrcaは不安定なので、もしかするとここで終了しても閉じないこともあります。しばらく待っても変化がないときは、お手数ですが、Ubuntuを再起動してください。

Orcaを起動中は左側のランチャーにもオルカのアイコンが出てきます。必要ならば、このアイコンの上で右クリックをして「ランチャーに常に表示」を選んで登録してください。

 

■ ログイン時に自動的に起動できるようにする

いろいろ使ってみて使えそうでしたら、ログイン時に自動的に起動できるように設定してみてください。

画面右上のボタンをクリックして、メニューを出し、一番上の「システム設定…」を選びクリックします。すると、次のウィンドウが出てきます。

orca8

その中の「ユニバーサルアクセス」をクリックすると次のウィンドウが出てきます。

orca9

このウィンドウの下段にある「スクリーンリーダー」のスライドスイッチを「オン」にします。設定が終わったら、左上の×印をクリックして、閉じます。

以後、ログインするとすぐにOrcaが起動するようになります。

 

■ 最後に

インストールの方法を詳しく書いてきましたが、はっきり言って、この日本語版はまだ動作が不安定なところがあります。問題が解決しないようでしたら、すぐに使用をやめてください。そういう状態です。

まだ日本語版は実用レベルには達してないように思います。改善すべき点はまだまだたくさんあります。少しずつ積み重ねて、よりよい環境ができればいいと思います。



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