2011年11月02日

「カーネーション」が素晴らしすぎる

ここ数年、朝ドラはほとんど欠かさず見ているけど、今期の「カーネーション」はとてもいい。待ちきれずに7時半からのBSプレミアムで見て、面白かったからもう一度8時からの総合での放送も見るという生活が続いてる。最初の一ヶ月間の面白さでは、今まで見た中では一番かもしれない。

ヒロインの尾野真千子演じる糸子が、夢に向ってまっすぐに突き進んでいる。彼女の表情がとてもいい。朝ドラのヒロインにしては年齢が高いけれど、輝くような14才役も見事にこなしてしまった。外事警察の時に、名前を覚えて、そのあとMotherやら、私が初めて創ったドラマやら、映画版のクライマーズ・ハイに出ているのを見たけれど、どれも違う雰囲気の演技だった。今回の10代の女の子役からのスタートは、始まる前全然予想できないものだったけれど、とても見応えがあった。語りが本人というのも、このドラマにはとても合っている。ちりとてちんや、おひさまでも一応そうだったけれど、役者本人がやるのは珍しいと思う。

歌もなんだか慣れてきた。椎名林檎、嫌いじゃないけど朝ドラの曲は、なじまないんじゃないかと思っていた。実際最初の週は違和感ありすぎだけど、平気になった。彼女らしい情念のこもったいい曲だ。そのバックで流れる映像もいい。ミシンの上で小さな赤いドレスを着た人形が、そこをだんじりに見立てて舞っている姿が、かわいらしい。こういう象徴的な作りのOPは大好きだ。BGMもいい。ひたむきな時にかかる曲もいいけど、やっぱり、だんじりの曲が流れてきたときの高揚感はたまらない。

お父ちゃん役の小林薫がほんとにいい。やっぱりドラマはおっさんで善し悪しが決まるとつくづく思う。火曜日のお父ちゃんの、見本の制服を着て行けという冴えたアイデアは、意表をつかれて楽しかった。この前まで洋服を嫌っていたことが嘘みたいで、先頭に立って娘を応援しているという感じがありありとする、いい場面だ。役者もいいし脚本もいいからどの台詞も活きている。

洋裁の先生の財前直見を一週間家に泊めた時点でもう、完全にお父ちゃんの方向性は決まっている。糸子は知らないけれど、糸子を高く評価している本心を正直に話して、先生に土下座までして、自分が見込んだ娘の才能を伸ばそうとしたんだから。お父ちゃんは糸子が夜遅くまで洋服のデザインを一生懸命考えているのも、ちゃんと知ってるし、全力で糸子を支えてやろうと、いろいろ考えてる。

今週登場の、大阪制作の朝ドラではおなじみ、支配人役の國村隼もいいな。どこの誰とも知らない女からあなたのデパートの制服作らせてくださいと言われたら、そりゃそういう態度だろう。でも、それでもあきらめない糸子との掛け合いが面白い。やんわりとした言葉でお断りをして去って行く支配人の背中を見つめながら「みとれー」とつぶやく糸子が頼もしすぎる。子供時代が終わって、男に喧嘩では勝てなくなっても、根性だけはあの頃と変わらない。この情熱と行動力で、したたかに壁を乗り越えていこうとする姿は、見ててこちらも元気になる。応援せずにはいられなくなる。こんなに次回が待ち遠しいドラマも久しぶりだ。

 

一月出遅れた人は、今度の日曜日午後5時から「まだまだ間に合う!花ざかり“カーネーション”」があるので、どうぞ。たった30分だけじゃこの一ヶ月間の魅力は伝わらないかもしれないけれど、とりあえず「あれは、うちが乗れるだんじりなんや」というシーンと、カーネーションがこの物語でどういう意味を持っているのかさえ見られれば、それはそれでもう十分かもしれない。

 

番組公式サイト
http://www9.nhk.or.jp/carnation/index.html


定時の「カーネーション」放送予定時間

■ 毎日の放送(月-土)
07:30-07:45 BSプレミアム
08:00-08:15 NHK総合
12:45-13:00 NHK総合
18:45-19:00 BSプレミアム

■ 週末の放送
土曜 09:30-11:00 BSプレミアム (今週放送分の連続放送)
日曜 10:05-11:54 総合 NHKとっておきサンデー内、カーネーション一週間
日曜 18:40-18:45 総合 5分で「カーネーション」



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2011年11月18日

《プリマヴェーラ》 一人のホーラ

現在、ボッティチェリの神話画についてここに書いてきたことを本にしようかと、こつこつまとめていますが、改めて調べれば調べるほど、新たな発見をしています。実のところプログラミングをするよりも楽しい時間を過ごしています。

《プリマヴェーラ》の右から三番目にいる女神を、僕は『祭暦』を典拠として春を担当する季節女神ホーラたちの一人だと特定しています。しかし、現在一般的な解釈では、何故かエドガー・ウィントの説が大勢を占めていて、この女性は、隣の口から花を落としているクロリスが変身した後のフローラだとされてしまっています。

僕が書いていることは、ラテン語や古典ギリシア語の知識が多少なくては読めませんから、誰かに理解してもらうのは簡単ではないのは分かっています。それも、かなりねじ曲がった訳し方ですから、もう誤訳なのか何なのか分からなくなることでしょう。それは仕方のないことです。それに数学の難問を解いているようなものですから、信じてもらうのではなく、論理的に納得してもらわなくてはいけません。でもそれに必要な知識は一般常識の範疇を超えています。

とにかく、五百年誰も書いてないことを思いついてしまったのですから、書き残し、まとめてしまうことが、今の僕のやるべきことだと思います。


さて、今回も面白いことが分かりました。この発見は、かなり重要なことだと思いますので、ここに書いておきます。

上に書いたとおり、僕は『祭暦』の一節を引用して、右から三番目の彼女はホーラたちの一人だとしています。しかし、『祭暦』を典拠とするならば、ホーラたちを、三美神のように三人もしくは四人を描くべきなのに、どうして一人しか描かれていないのかという疑問が生じます。三人も描いたら絵がごちゃごちゃしてしまうからなんて考えていましたが、いままで解釈してきた経験からボッティチェリがそんな根拠のないことで、三人を一人にしてしまうことはないでしょう。ちゃんと一人にする根拠があるはずです。

『祭暦』のホーラたちが記述されているラテン語の文章は、次の通りです。

conveniunt pictis incinctae vestibus Horae,
inque leves calathos munera nostra legunt;

これを日本語に訳すと、「装飾された服を着たホーラたちが一緒にやってきて、彼女たちは小さな籠に私たちからの贈り物を摘んでいきます。」となります。

この文章はこの絵の通りに思えたので、ホーラたちの人数を一人に変えただけで、そのままこの文章が描かれていると解釈してきました。しかし、そうではありませんでした。この文章もボッティチェリは別の意味に解釈して絵に描いていました。

Horaeという綴りは主語にするならば複数形しか考えられないのですが、主語にしなければ、単数形の属格/与格と同形ですので、一人のホーラを表せます。つまり、このHoraeが与格単数か属格単数であるように訳した結果が、この絵の描写に合えば、この文章そのものをホーラが一人しか描かれていないことの根拠とすることができるはずです。


では、やってみます。

以下の内容は、次のリンク先の《プリマヴェーラ》の画像を拡大しながら、読んでみてください。
http://www.googleartproject.com/museums/uffizi/la-primavera-spring-67

conveniunt pictis incinctae vestibus Horae,

vestibus は女性名詞 vestis(服)の奪格複数か与格複数です。ホーラが一人である意味の文章にしようとしているのですから、これが複数だと困ります。最初から難題です。絵をよく見ると、腕のところに何か鱗状の模様の布を巻いています。これが何かは分かりませんが、なんだかヒントみたいです。vestis の意味をイタリア語で詳しく調べていくと、veste、abito、coperta、tappeto、tela、spoglia、lanugineとあります。注目すべきは spoglia です。これにも服という意味もありますが、蛇や昆虫の抜け殻を表す言葉です。調べた辞書ではvestis のこの意味の例としてルクレティウスの『物の本質について』4巻での蛇の脱皮についての記述が紹介されています。この鱗模様の布はずっと謎だったのですが、これで答えが出ました。vestibus は服 vestis と蛇の抜け殻 vestis の二つを差し示し、複数形で書かれていると解釈できます。

この語を修飾している pictis ですが、これは pingo(塗る)の完了分詞、与格複数もしくは奪格複数なので、ちゃんとvetibusに合っています。pingo の意味を調べると、イタリア語の dipingere(描く)、ricamare(刺繍する)、ornare(飾る)が出てきます。絵を見ると服の方は花柄の刺繍がされているように見えます。しかし蛇の抜け殻には花の刺繍があるのではなく、美しく装飾されているように見えます。それぞれ別々の意味で修飾されていると考えます。

incinactae は incingo(巻きつける、まとう、身につける)の完了分詞、女性形の属格単数、与格単数、主格複数、呼格複数のどれかになります。ここでやっと主格になってくれる単語が現れました。これを名詞化します。この節の動詞は conveniunt は convenio(集まる、一緒に行く)の三人称複数現在です。本来はホーラたちが主語になりますが、これだと一人のホーラを表せなくなってしまうので、incinactae を主語にして解釈します。

そうすると、妙な文章ですが、こうなります。

刺繍された服や装飾された蛇の抜け殻とともにホーラに巻きついたものが集まっています。

意味が分かりにくいですが、鱗模様の布が紐でとめてあったり、蔓の帯があったり、刺繍がされた服も長い紐状の襞があったり、やたら何かが巻き付いた描写になっていることを表しているとします。

次の文の方が分かりやすいです。

inque leves calathos munera nostra legunt;

leves は価値が低いという意味の形容詞で、ここでは「取るに足らない、粗末な」と訳せます。calathos は小さな籠のことで、calathusの複数形です。この絵では服をたくし上げてそこにバラの花がたまっている様子が描かれているので、籠はこれのことを表していると考えていいでしょう。本物の籠ではなく服で作った急拵えのものなのでlevesという形容も納得がいきます。

しかしこの籠は複数形のはずなのに一つだけです。数が足りません。それを補うために、さっきのようにもう一つのcalathusを見つけなくてはいけません。そこでヴァールブルクの本に書いてあった籠のイタリア語cestoをラテン語のcestusと解釈したために帯が描かれているのでは、という注釈を思い出して、この知識を使います。彼女の胸の下あたりには、バラの花と蔓で作った帯があります。これもあまり立派なものには見えませんので、levesという形容がぴったりです。

これでcalathusが文章の通り複数になりました。この帯と籠に、同じようにバラが使われていることからも、この二つのものが組になっていることが分かります。ホーラは花冠と花の首飾りも身につけていますが、使われている花の構成が帯、籠とは違っています。

munera nostraは、私たちの贈り物という意味になります。これは本来の意味と同じですが、格を違うものとして解釈します。この語形は主格、対格、呼格の解釈ができます。本来の訳ではこれは対格つまり目的語として訳していますが、今回はこれを主格として訳してみます。leguntは動詞の三人称複数で、本来の訳では、「ホーラたち」を主語にして他動詞として解釈していますが、今回は「私たちの贈り物」を主語とする自動詞として解釈します。「私たちの贈り物」の「私たち」は誰のことを指しているのかというと、この文章はずっとフロラ自らがオウィディウスに語っている台詞なので、フロラを含んだ意味になります。複数形なのは、夫であるゼピュロスも含めているからです。絵をよく見ると、頬を膨らませたゼピュロスの口から白い線となって息が出ていますが、その延長線上に女神の口があって、そこからその方向に、葉の付いた花が落ちていきます。そしてさらにその落ちていく先に、ホーラの帯と、籠があります。夫婦で協力して贈り物をしているので、「私たちの」という表現で合っています。

そういうわけで、二番目の文章は次のようになります。

私たちの贈り物は粗末な帯と籠の中に集められています。

この訳を受け入れるならば、次のことが言えるでしょう。いまさらですが、ホーラの腕に縛り付けられている鱗模様の布はどう見たっておかしな物体です。まさしくこの解釈が唯一のこの描写への解答となるでしょう。またホーラとフロラとゼピュロスの配置に無理矢理感があるのは、この二番目の文章を再現し、贈り物を風に乗せて帯と籠に送る構図を作るためだったわけです。僕自身も間違っていましたが、この絵の中でゼピュロスがフロラを抱えているのは、彼女を略奪するためでも、ましてや略奪してきた彼女を地上に下ろすためでもなく、この文章を的確に再現するためだったことが分かります。

今回の解釈から分かることを簡潔にまとめると、次のようになります。
・ホーラが一人しかいないこと
・ホーラの腕の鱗模様の布がヘビの抜け殻であること
・ホーラの右にいるのがフロラたちであり、彼らが贈り物を贈るためにそこにいること
・フロラたちからの贈り物(花)が、帯と籠の中にあること



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posted by takayan at 03:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | プリマヴェーラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月23日

aozoraVoice2をMicrosoft Speech Platformに対応させました。

aozoraVoice2 は3年前に公開した青空文庫形式などのテキストファイルを音声ファイルに変換するスクリプトです。今回遅ればせながら、Microsoft Speech Platform に対応させました。

次のページで公開しています。
http://et-dev.main.jp/index.php?AozoraVoice

フォルダの中に解凍し、そこに出てきた setup.wsf を実行すると、右クリックの「送る」メニューに「テキストを音声に変換する」と「設定してからテキストを音声に変換する」、そしてデスクトップにショートカットが追加されます。テキストファイルを選択して、この「送る」メニューを使って変換を行うのがこのプログラムの目的です。またデスクトップに作られたショートカットにテキストファイルを落としても変換できます。

今回の改良で、設定画面の下の方にある「音声合成」の「音声の選択メニュー」の中に、Microsoft Speech Platform の音声合成エンジンの名前が並ぶようになりました。

 

■ Microsoft Speech Platform

Microsoft Speech Platform というのは、Windows パソコンで音声認識や音声合成を使ったプログラムを開発、実行させるためのものです。利用者はマイクロソフトのホームページにあるランタイムと音声エンジンをインストールすれば、これに対応したソフトで音声認識や音声合成を利用できるようになります。今回のバージョン(2.4.0)の aozoraVoice2 において Microsoft Speech Platform による音声合成を利用できるよう改良しました。

何よりもありがたいのが、無料で日本語の音声合成エンジンが手に入ることです。また英語や日本語だけでなく様々な言語の音声合成エンジンも手に入ります。現在マイクロソフトのホームページで配布されているもの見ると、カタロニア語、デンマーク語、ドイツ語、英語、スペイン語、フィンランド語、フランス語、イタリア語、日本語、韓国語、ノルウェー語、オランダ語、ポーランド語、ポルトガル語、ロシア語、スウェーデン語、中国語があります。

Microsoft Speech Platform のサポート対象となっているOSはWindowsVista以降、具体的には、Windows 7, Windows Server 2008, Windows Server 2008 R2, Windows Vista です。なおネットで探すと、XPでも動作するという報告があります。

 

■ Microsoft Speech Platform のランタイムおよびランタイム言語のインストール

最新のバージョン11のダウンロード先を紹介します。既に前のバージョンを入れている方がこれらをインストールするときはアンインストールしておいてください。

ランタイムは次のページにあります。

Microsoft Speech Platform - Runtime Languages (Version 11)

64ビットパソコンにはx64で始まるものを、32ビットパソコンにはx86で始まるものをダウンロードします。(念のために言っておくと、スクリプトを実行するアプリケーションが、そのパソコンのビット数で動いているから、これを入れるわけで、64ビットパソコンでも音声合成を使うアプリが32ビット版のアプリならばx86で始まる方が必要になります。そんなこともあり得るので、64ビットパソコンでは両方入れておいた方がいいかもしれません。)

言語ランタイムは次のページにあります。音声認識と音声合成の両方が置いてありますが、今回必要なのは音声合成なので名前にTTSが含まれるものをダウンロードします。日本語音声合成エンジンは MSSpeech_TTS_ja-JP_Haruka.msi です。

Microsoft Speech Platform - Runtime (Version 11)

上記のページからダウンロードしたランタイムと音声合成エンジンのインストールがうまくいけば、aozoraVoice2 で Microsoft Speech Platform 音声を利用できるようになります。

なお、いろいろ書きましたが、Microsoft Speech Platform 関連ファイルは下記のまほろばさんのリンク先で紹介されている「簡易インストーラー」を使うといろいろ手間が省けて便利です。

 

■ 関連サイト

Microsoft Speech Platform についての情報は、下記の記事で詳しく書かれています。マイクロソフトの配布ページが英語だったり、Microsoft Speech Platform について日本語で読める情報が極端に少ないので、とても貴重な情報源です。

Microsoft Speech Platform 11 - 電脳スピーチ blog
まほろば::無料の音声合成エンジン 「Microsoft Speech Platform 11

(追記2011.11.23)
英語でよければ、次のページに情報があります。
Speech Platforms - MSDN Library
My Ramblings - About TTS and Speech Synthesis Technologies - Site Home - MSDN Blogs



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posted by takayan at 17:09 | Comment(2) | TrackBack(0) | aozoraVoice | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月29日

難しい箱入り娘

このブログのサイドには、4年前からずっと、横板を三枚にした難しい「箱入り娘」を貼り付けています。これを自力で解けた人はどれくらいいるのでしょうか?

パズル好きの僕でも一週間くらい解けなかったと思います。まだな人はどうぞ解いてみてください。時間をかければ、誰でも解けます。時間さえかければね!

(注意)諦めないことは大切です。しかし、それは目的によります。時間は貴重ですから、人生諦めることも大切です。難解なパズルに人生を捧げるのも一興ですが。



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posted by takayan at 22:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 箱入り娘 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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