2013年12月09日

gnome orcaでespeakに日本語をしゃべらせる方法2

前回の続きです。数字を日本語で読むようにしてみました。

ファイルのダウンロード先はこの記事の最後に書いてあります。利用法は前回書いたとおりです。現時点でUbuntu13.10で使われているGnome orcaのバージョンは3.10.1なので、今回のパッチはこのバージョン向けのものです。他のバージョンで動くかどうか分かりません。Ubuntu以外で動くことはFedora 19で確認しましたが、speechdispatcherfactory.pyやen_dictの場所はシステム毎に確認する必要があります。またPython3用のMeCabモジュールもインストールしておく必要があります。

日本語の中の数字の読みの規則を明文化していくと、ほんとに複雑なことを頭の中で処理しながら日本人が生きていることを思い知らされます。漢数字に算用数字、漢数字でも位取り表記で使ったり、さらに万進数の位の漢字に算用数字をくっつけた折衷表記をしたり、その算用数字は整数だけでなく小数を使ったりもします。

それだけでなく読み方も大変です。本や匹など助数詞が後ろに付くと、数字は促音化したりしなかったり、助数詞の方は濁音になったり、半濁音になったり、ならなかったり、規則的な傾向はあるのだけれど、覚えなくてはならない例外がいくつもあります。四はヨンなのか、ヨなのか、シなのか、助数詞によって使い分けています。七もそうです。九もそうです。

そういう日本語の複雑な数字の読みをGnome Orca のespeakで発音できるようにプログラムを作ってみました。日本語のスクリーンリーダーや、日本語の音声合成ソフトでは当たり前の機能ですが、いざ作ってみるといろいろ面倒でした。

作っている間ずっと考えていたのは、こういうのは一人のプログラマが個人的に読み方を決めてはいけないなということです。日本語を普段使っている人なら違和感のある表現もいろいろくみ取って理解してもらえますが、それに期待して手抜きしたものが、日本語学習者にそれが本来の形だと思い込まれても困ります。また音声ガイドという性質上、一般的な日本人の日本語よりも、アナウンサーの日本語を手本にすべきだと考えました。

面白かったので、実験的にいろいろなことをしています。具体的には次の読みをできるようにしてみました。
・数字と助数詞によって起きる発音の変化は『NHKことばのハンドブック』の第5章の表を手本とする。
・算用数字の直後の英字の列は単位でないかを確認し、そうならばカタカナ表記に置き換えて読む。
・コロンで区切った2桁:2桁:2桁の数値は時刻とする。
・スラッシュで区切った4桁/2桁/2桁の数値は日付とする。ハイフンで区切られた同様の日付は直後に時刻があるときだけ日付とする。これに関連して、括弧で囲まれた曜日を表す1文字の漢字を常に曜日として読み上げる。
・ハイフンや2つ以上のピリオドでつながれた算用数字は一字ずつ読む。
・電話番号、郵便番号だとはっきり分かるものはハイフンを「ノ」と読む。
・コンマによる桁区切りは3桁だけでなく4桁区切りにも対応する。
・位を表す漢字と位取りの数字の組み合わせの読みは、万の位以上や小数の算用数字にも対応する。算用数字と組み合わせる位の漢字は万進数に限らず、百万や千などの位に対応する。このとき本来の値で読み替える。
・整数の左側、小数部分の右側にある桁埋めの「0」は読み上げない。
・16進数と2進数の接頭語として0xと0bを認識し、ついでに読み終わった後に十進数での値も読み上げる。
・URLに現れるパーセントエンコードは16進数数字として読み上げず、デコードして文字として読み上げる。

eSpeakの方ですが、jaの作り方は分かりましたが、他にもファイルをインストールしないといけなくなるので、今回もen_dictの置き換えだけにします。前回は、音声表記をローマ字に変えた方が細かな発音指定ができるんじゃないかなと考えていまいしたが、結局カタカナの方が都合がいいことに気がつきました。漢字仮名交じり文からカタカナにするだけでも情報をたくさんそぎ落としてしまっているのに、これをアルファベットにしたら、文中の英単語と日本語との区別ができなくなってしまいます。意外にこの区別は便利です。そういうわけで、今回もカタカナで作っています。ほんの少し、「ンム」を[m]、「ング」を[ng]を表すように変えてみました。なお日本語の中の無声音化は、eSpeak側で記述するルールで対応できるかもしれませんが、まだ理解できていないので今回はやっていません。


アーカイブに入れてあるkatakanize.pyは動作の確認ができるように、標準入力の1行をespeakで解釈できる形式で出力するようにしています。次のコマンドでキーボードからの入力を読み上げてくれます。なお以前はちょっと書き換えれば、python2で動くようにしていましたが、python3のみで動きます。

python3 katakanize.py|espeak

また、test.txtにutf-8の文字コードで日本語を1行書いておくと、次のコマンドでwavファイルを作ります。

cat test.txt|python3 katakanize.py|espeak -wtest.wav

ダウンロード:orca-3.10.1-espeak-jp_003.zip

更新履歴
コンマの区切りが思ったようになっていなかったので修正しました。2013/12/13
テスト用のコードを入れたままにしていたので修正しました。2013/12/16



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posted by takayan at 08:15 | Comment(2) | TrackBack(0) | GNOME Orca | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
参考にさせていただいてます。
こちらではJavaScriptだけで日本語読み上げを作ってみました。
http://logue.github.io/espeak-japanese/
漢字の読みは日本語形態素器にかければいいとして、数字の読みはやっぱり力づくでコーディングするしかなさそうですね。
Posted by Logue at 2013年12月11日 09:11
Logueさん、コメントありがとうございます。JavaScriptを使ってここまでできるんですね。
Posted by takayan at 2013年12月13日 02:27
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