2006年09月09日

純情きらり(138)

<あらすじ>

ももこと鈴村が寝室で、桜子と達彦のこと何とかしてやれないものかと相談をしている。戦場で何があったか分かれば何とかなるかもしれないと、鈴村が言う。

翌日。鈴村が山長に向かう。達彦は、いつもの山長の敷地内の腰掛けに座っている。いつもここにいるが、家の中にいると戦場の記憶がよみがえってしまうのでいられないのだろう。鈴村は挨拶し、自分は杏子の夫で、達彦のいた部隊と漢江ですれ違ったと自己紹介をする。自分もいろいろあったが、女房に話してから楽になったと自分の経験を話す。鈴村は腰掛けの上に大切に置いていた手帳と写真に気付くと、なかば強引にその写真をとりあげる。遺品ですかと尋ねるが、達彦はあなたには関係ないという。

家の中、達彦は暗い廊下でまた戦場の記憶におそわれる。
暗い建物の中、軍曹がここを撤収すると言い出す。達彦の隣にいるのは、腹に血に染まった包帯を巻いて横になっている写真の兵士。彼の名前は若山。達彦は彼が重傷で歩けないと主張するが、軍曹は聞き入れるわけもない。彼も軍人ならば身の処し方も分かっているだろうと言われ、別の兵士が彼の自決のための手榴弾を達彦に渡す。若山は隊長殿自分は死にたくありませんと達彦に訴える。
場面は現在に戻る。達彦はわかやまーと叫びながらその場に膝をつく。

帰ってきた鈴村は桜子に、達彦は戦死した仲間を気に病んでるらしいと報告する。店の人が言うには最近一度だけ、豊川に外出したという情報ももってくる。戦友の遺族に会いに行ったのかもしれないと言うと、桜子は自分がそこへ行ってみると言い出す。

どうやって探し当てたか分からないが、桜子は若山と表札のある家の前にいる。すると玄関から先日針仕事をしていた女性(木村多江)が出てきた。あの兵士の姉だった。桜子は弟さんと同じ部隊にいた達彦に会ってくれないかと頼む。

夕暮れのいつもの山長の敷地に達彦と桜子がいる。桜子は若山さんの姉さんに会いに行こうと突然切り出す。達彦はほっといてくれとはねのける。桜子は、逃げないで、驚かないから全部話してと説得する。

俺はあいつを見捨てた。彼は両親を早く亡くして、二人暮らしの姉さんの話ばかりしていた。姉さんは大学まで行かせてくれたと言っていた。そう苦しそうに話す達彦を桜子は抱きしめる。

若山家。姉は弟のためにご足労ありがとうしました、と遺品を受け取る。達彦は頭を床にすりつけて、申し訳なかったと謝る。それに対して姉は、とても穏やかな顔と口調で、許しませんと言う。許したら弟が浮かばれない。若者たちを奮い立たせて戦地に送り込んだこの戦争を許さないと。あなたには未来がある。でも弟にはないのです。泣くわけでもなく、怒りを表すわけでもなく、おだやかに姉はそう話す。

小川の河原に達彦と桜子が並んで座っている。桜子は自分はこれからも達彦の味方だという。達彦は涙を流す。桜子はその達彦にやさしく寄り添う。

次回予告はマルセイユのマスター・ヒロ。


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2006年09月10日

アンフェアの最終回の疑問

アンフェアはスペシャルが10月3日にある。楽しみだ。
アンフェアtheSpecial『コード・ブレーキング−暗号解読』(公式)
本編のDVDも出ていることだし、最初から見直してみたい。


今年の初めはアンフェアを楽しみに見ていた。最近文書の整理をしていたら、アンフェアの最終回を見た後の疑問を書いていた文書を見つけた。見た後すぐに書いたものだ。だから今年3月末頃。安藤が黒幕だという結論で終わったが、なにかそれ以外にも謎が残ったままでしっくりこなかったことを書いていた。論点もあまり整理されておらず、結論もなくだらだらと書いている。自分で読んでいたら、これもここに載せたくなった。記憶も薄れているので、これを整理するのは自分でも難しい。

このドラマ見ていないと分からないし、登場人物の名前を忘れていたら訳が分からないと思う。いや全てを覚えていてもきっと理解できないこと書いているな。


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見終わったあと、なんかもやもやして、ずっと考えていた。雪平は最後の場面、何に気づいたんだろう。なんか妄想めいたことをいろいろ考えた。それを書き出してみる。他の考えが入らないように最終回見たあとは公式サイト以外の情報は見なかった。

前回の最後の場面、雪平の元旦那佐藤が撃たれるのは真犯人を呼び寄せるための芝居だった。この場面の前に接触してたのか、なんてアンフェアな展開だ。それじゃ予測付くわけがないじゃないか。でも、あの涙は?相手は防弾チョッキを着ていても銃を撃つこと自体に痛みを感じているからと考えていいのか。

エンディングのバック映像で今までの犯人不明だった×マーク連続殺人の犯行現場が映されていく。安藤の犯行として。最後の最後、雪平のいつもの行動。死亡現場に体を置いてその人物が最後に見た風景を見ようとする。そして「世の中にはフェアなことなんて何もない、目には目を、復讐には復讐を、アンフェアにはアンフェア...」というタイトルの言葉とともに、何かに気づいたような見開いた目をして、その顔に描かれる赤い×とともに終わる。この×は雪平が何かの罰を受けたってことでいいのかな。

安藤は死んだが2つのものを残した。雪平へはコインロッカーの鍵を、そして雪平の娘の美央ちゃんへは手紙を。美央ちゃんは雪平の事件がきっかけでしゃべれなくなっている。安藤はこの子の境遇を自分に重ねているのだろう。子どもの心のケアの本を読んだりしている。そして、彼女がしゃべり出すきっかけを作るのも安藤である。安藤からの最後のメッセージを見た美央ちゃんは母親への気持ちを口にする。もう一つの遺品。そのコインロッカーにはDVDが隠されていた。安藤とその親友ユタカは、コインロッカーに捨てられた子どもという同じ境遇を持つ。だからコインロッカーに入れられたメッセージというのは、このドラマの中でもっとも嘘偽りのないものと考えていいのだろう。このメッセージの中には、自分が死を予期して行動していること。それも計画的な行動をしていることが明かされる。自分が雪平への復讐心を持ち、今まで生きてきたこと。そしてその自分が雪平へ愛情を持ってしまったことを伝えている。

あの雪平の親父の同僚安本はなんなんだろう。やけに最終回は妙な行動が目立った。単に視聴者を惑わすだけの役回りだったのだろうか。最初、雪平の親父さんの死んだ場所に花を手向ける場面がある。翌日そこで雪平が元旦那を撃つあの場所だ。明日、雪平の親父の命日になる。ただそれだけを伝えるだけなのかもしれない。雪平が死なないように祈ってくれと雪平の死んだ親父に語っている。佐藤が追われているということも報告する。また別の場面、安藤が死んだあと彼の部屋に入り雪平たちと調べるのだが、このとき自分と安藤が二人で写った写真をその場から持ち帰る。それは思い出として持ち帰ったようにも思えるが、こういう写真は焼き増しして両者が持っていてもおかしくないから、持ち去るまでしなくていいかもしれない。それは自分と安藤との関係を隠すためのもののようにも見える。そして三番目の場面。退所するとき安藤から送られたというパソコンを持ち帰る。安藤が持っていた何らかの情報が受け取っている可能性は否定できないだろう。

最終回には二つの過去の事件現場が出てくる。
雪平の父親が死んだ廃屋と、5年前パチンコ店店員ユタカが雪平に射殺された場所。

佐藤が廃屋で死ぬことは安藤は予測できたのだろうか。まるで佐藤はそれを安藤が望んでいるかのように話すのだが。単に身柄を拘束するだけですむかもしれない。撃てと言ったのは佐藤本人なのだから、安藤はそこまで計画できない。可能性を想定することはできるが。佐藤はメールが自分に転送されることを確信を持っていたが、そううまく行くことを予測できるのだろうか。また真犯人の方も佐藤が転送されたメールにしたがって、のこのこ現れる可能性を期待することはできるだろうか。撃たれた後最初に現れるのが真犯人だと決めつけたのも佐藤である。安本が命日の前日に参ったからいいものを命日当日だったらどうなっただろう。また上層部の命令で雪平の行動を尾行していた人物がいたらどうしたのだろう。指名手配中の元旦那とこっそり会う可能性は十分にあるのだから。そのような可能性の排除はおこなっていないのは安易すぎる。安藤が銃声の後、近づいてくる様子はあわてた様子もなくそれは怪しいのだが、別の理由だって考えられる。犯人もこの場に来ているという可能性を言うことはできても、断言はできない。何かしっくりこない。

安藤は何を期待してあそこに行ったのだろうか。雪平が佐藤を撃ち殺すかもしれないとどれくらい確信を持っていたのだろうか。佐藤が現れることもどれだけ予測していたのだろうか。可能性はとても低いかもしれないが、何が起きるのかをこっそり見守ろうとはしたかもしれない。それほど期待もしていなかった状態で銃声が聞こえたら、自分の危険も顧みずに雪平のそばに向かってしまうかもしれない。美央ちゃんを車で連れてきているということを考えると、そこで誰かを殺すということも、自分が雪平に殺されるということも想定していないだろう。犯人であっても安藤が、あの美央ちゃんを連れてここに来るという行動を理解するのは難しい。安藤が美央ちゃんを傷つけたり悲しませる行動をとれるとは思えない。彼のその側面を否定することは物語上あり得ないはずだ。彼女の父親が殺される可能性のある場所のすぐ近くに連れてこれるだろうか。言葉通り、安本に教えられて雪平の父親の殺害現場に参っただけなのかもしれない。でもそれだと現場を監視していたように見える影の存在がうまく説明できない。もしかするとこの影は安本で、佐藤と手を組んでいて安藤を黒幕にしたてようとしたのだろうか。でも雪平から警視庁に通報があったときにはその場に安本がいるので、ちょっとむずかしいか。間に合ったとしても部屋に戻ってきたばかりという描写を入れるだろうし。あの監視しているようにみえる視点は安藤で間違いないのだろう。何が起きるかを止めもせず眺めている安藤か。

佐藤の誘導がなければこの場面は成立しないようにも思う。とすると、佐藤も一枚噛んでいるのか。でも、安藤とは打ち合わせをしていなさそうである。

安藤からのビデオメッセージで彼の計画が語られるが、具体的な内容は伝えられていない。安藤の計画とはなんなのだろう。パチンコ屋の店長へ憎しみを口にしているので、こちらを目的としていることは伺える。またビデオの中で別な死に方をするかもしれないとわざわざ言っていることは、現実に起きたことは計画とは少し違ったと暗に示すものかもしれない。未央ちゃんを連れてきておいて第二の現場に向かうことも計画していたのかは疑問も残るので、計画開始が突発的に繰り上がったということかもしれない。

サイトの管理人は安藤でいいのだろうか。その名義が佐藤に置き換えられた方法についての答えは出たのだろうか。3年前に佐藤の名前で登録されているとの報告の真偽はどうなるのだろう。3年前であっても安藤は、雪平のことを調べれば、旦那の名前も探し、その名前で契約できたかもしれない。その方法だと他の人物が名前をかたったという可能性だってある。契約者が佐藤であると書かれた報告書を持ってきたのは安藤である。彼ならねつ造することも可能であろう。安藤がその場でねつ造したのならば、安藤が管理人であるが、ねつ造していなければ、安藤は参加者ではあったが管理人であるとはいいきれなくなる。

最後のほうで雪平と検視官三上とが安藤に献杯を捧げる場面がある。このときたっぷりと積まれた野菜があり、安藤がベジタリアンだったとうことを思い出させてくれる。

いままでの思考をつなげてみると、佐藤の疑惑を解消することができない。より佐藤の方が怪しくなってくる。もし佐藤が犯人ならば、そのことに安藤が確信をもっているのならば、その事実が美央ちゃんに与える影響を考えずにはいられないだろう。そのとき安藤はどんな行動をとるだろうか。美央ちゃんをあんなに心から心配している安藤がとる行動は、一つだけだろう。自分こそが殺人鬼の正体であると偽り、その罪を一身にかぶって死ぬことだろう。廃屋での佐藤が死ななかったことを知ったときの開き直りは、安藤のその決断によってなされたのではないか。あの場で佐藤が雪平に射殺されたと思ったのは、雪平が真実を知り、そしてその手で佐藤を殺してしまったのだという確信があったからだろう。あのときのもったいぶった現れ方は、直視しがたいその事実が美央ちゃんに与える地獄を思ってのものだとも考えられる。そして自分の正体が殺人犯だと告白した後に彼は佐藤を殺そうとする。なぜ恨みの本来の対象である雪平ではなく、佐藤をまず殺そうとしたのか。ここで佐藤の言葉である雪平の大切な者を殺そうとしているという見方でこの状況を考えていいのだろうか。そうなのかもしれない。しかし安藤は佐藤が犯人であるとうことを確信しているからこそ、自分が犯人であるという設定を利用すれば佐藤を善良な人間として殺すことができると、そう判断したのだろうか。しかし未央ちゃんが悲しむことは彼にはできないからそうではないだろう。安藤のこの行動は自分を雪平が射殺してしまうように仕向けての行動だろう。しかしその願いは届かない。そのあと雪平へと銃口を向ける。過去の想いを語っていくうちに雪平への殺意を押さえることができなくなり、そして雪平へとむけてしまうのだろうか。そうでもあるし、雪平に自分を撃たせるための最終的な行動でもある。しかし彼は雪平に引き金を引かせるだけの殺意を向けることができなかった。あの場面、美央ちゃんが現れなければ、どうなっていたのだろうか。あの第二の現場に行くつもりは彼には最初からあったのだろうか。ビデオメッセージの中では自分の行動は計画的な行動だということが伺えるのだけど、それは第二の現場も含めてなのだろうか。あらゆる想定はしていたのだろうが、美央ちゃんはどうするつもりだったのだろう。未央ちゃんを連れてきたという時点で、第二の現場は計画内のものには思えない。衝動的なものではないだろうか。自分がもっとも殺意を抱くことができる相手を殺そうとすれば、そうすれば自分を雪平が射殺してくれるはずである。

佐藤が犯人であったのならばと考えてみる。彼は不正に対して異常なまでに憎しみを持つ人間である。ジャーナリストという職業もこの場合はその記号として使われている。もしかすると、彼は以前にもこのような犯罪をしているのかもしれない。雪平の父親が殺されたのはいつなのだろうか。死んだ雪平の父に同僚の安本が佐藤の名前を出して話をするというのは、生前に佐藤のことを知っていたということと解釈していいだろう。結婚の後に死んだということでいいのだろうか。それならば、その死は佐藤と関わりがあると考えられなくもない。佐藤の正体を知った父が返り討ちにあったのかもしれないし、雪平の父の不正を知った佐藤によって殺されたのかもしれない。この真相はうすうす安本は知っているのだろう。そして安藤にもその可能性を告げているのかもしれない。その関係を雪平に知られないために安藤の部屋から自分と一緒の写真を取り去ったのかもしれない。安本が雪平の命を心配する理由は何か別にありそうな感じである。

もうひとつ引っかかるのが、あの家政婦牧村の射殺である。あれは警察関係者以外に犯人を考えられないだろう。安藤の告白の通りあれは安藤が行ったのだろうか。あれはそうかもしれない。雪平と未央を苦しめた人間に対する報復としては、その動機は成り立つだろう。安本も可能性はあるだろう。同じように雪平たちを苦しめた相手への報復かもしれない。何らかの理由で口封じをする必要があったのかもしれない。


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純情きらり 第23週

第23週「思いがけない帰還」

各曜日の<あらすじ>

第133話 月曜日

戦争は終わった。
白一色の不思議な映像。お母さん(竹下景子)と桜子が楽しそうに連弾している。その後二人はどこかに行ってしまう。これは、ももこの見た夢だった。

1946年2月。有森家では桜子と杏子(ももこ)の家族が暮らしていた。桜子は代用教員となり、教室でジャズを演奏している。子どもたちは一人をのぞいて楽しそう。学童疎開の良太君が、敵の音楽は嫌いだ。大人になったらアメリカ兵と闘う、と言う。今でも憎いと思うのは間違っているのかと桜子に聞くが、桜子は自分の宿題にさせてくれという。

家に帰るとマロニエ荘の八重とヤスジがいた。ヤスジは戦争協力の過去のため仕事がなかった。桜子にお金を無心して断られると罵って出て行ってしまう。八重の子どもの父親は、戦死の公報がきたという。達彦の戦死の公報は来ていない。桜子の弟勇ちゃんは帰って東京で研究している。
二人が岡崎を離れるとき、杏子がヤスジの過去を責める資格は誰にもないと言い、お金を渡す。旦那の鈴村も励ましの声をかける。

桜子は教室で宿題にしていた問題を話す。戦争に勝つために我慢しなさいと言ってきた大人の一人として謝るという。人を憎んだり恨んだりしても何も始まらない。物事の良い面をみると心が明るくなるという曲「陽のあたる街角で」を弾いて子どもたちに教える。良太君を見てみると、その音楽に笑顔を見せてくれた。

教室の廊下の窓から誰かが覗いている。秋山さんだ。東京のダンスホールでサックスを吹いていた、戦時中桜子にラジオの仕事を世話してくれた、桜子の才能をよく知る人。桜子をバンドのメンバーに誘いに来た。


第134話 火曜日

マルセイユでのジャズバンド加入の誘いの続き。返事は後日答えることに。

有森家に笛子が帰ってきた。先週とは雰囲気が違ってる。サザエさんパーマ、赤い洋服。冬吾の画が売れ景気が良くなった。田舎に避難させた画をとりに戻ってきたのだ。性格もなんか別人で、桜子のジャズの話もあっさりと応援する。

夕方の教室。一人片付けをしている桜子に良太君が声をかける。東京のおじのところに行くことになった。疎開でもいろいろつらいことはあったけど、あの曲のように物事のいいところを見て生きていく。ジャズを教えてくれてありがとう、と言う。最後にあの曲リクエストする。

夜、喫茶マルセイユ。桜子は秋山にメンバ入りを断りに来た。進駐軍よりも子どもたちを音楽で元気にさせたい。秋山は一度だけ名古屋での演奏会には参加してくれと誘う。そこにバンド仲間が到着するが、桜子を見てジャズは出来ないだろうとバカにする。しかし桜子が演奏が始まると何も言えない。マスター・ヒロも、批判していた二人の顔を自慢げにのぞき込む。マルセイユの外、軍服の男が近づいてくる。何も知らずに、中では桜子のピアノと秋山のサックスによる楽しいセッションが続く。

他の曜日はそれぞれの投稿に書いてます。

水曜日-純情きらり(135)
木曜日-純情きらり(136)
金曜日-純情きらり(137)
土曜日-純情きらり(138)

さて。
今週は途中からだけど、実験的に各話のあらすじを書いてみた。改めて眺めると、あらすじにしては文章が長くなりすぎた。


感想。

月曜日の出だしから、杏子姉ちゃんの特殊能力の発現。RPG風に書くと、治癒能力を持った癒し系キャラ、モモコが、結婚しレベルアップして、予知能力を身につけた!って感じだ。それも三つも夢を提示する。この夢の話は聞かなかったことにしよう。たいていの視聴者も水曜日の達彦さんの帰還という大イベントできれいに記憶から飛んでいるはずだ。

この夢は最終週か最後の二週の急展開に対して視聴者が驚かないよう布石を打ったってところだろう。でもその予言当たらなかったじゃないかと思わせて、実はそういう解釈だったのかという展開もありうる。最後まで楽しみに待つことにしよう。

戦争が終わり、いっぺんで雰囲気が変わった。先週までの思い悩む展開がうそのようだ。それを体現するのが、笛子姉ちゃん。やっぱりこの人うまいな。

達彦は帰ってきた。けれど心を閉ざしてしまっている。もう少しぎりぎりになって帰ってくるのかと思ったけれど、あっさり終戦を迎えた週に戻ってきた。この週と明日からの週が達彦の帰還と復活。そして残りの二週で、二人が結婚し、達彦に支えられる桜子の物語というふうに進むのかな。

木村多江の出番は土曜日で終わりだったかな。少ない出番だったけれど、刃物のように心に突き刺さり、身動きがとれなくなる重たい言葉だった。適役だと思った。

次週予告を見る限り、達彦の心を取り戻すことがメインの週になりそうだ。冬吾と笛子夫婦も引っ掻き回してくれるみたいだ。次週予告はたいてい土曜日の映像まで入れてくるけど、どれがそれだったんだろう。それから今回の次週予告は、マスター・ヒロだったが、残りの次週予告はあと二回。普通に考えると、達彦そして桜子かな。


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2006年09月11日

ピンキリの語源

テレビを見ていると、歌舞伎由来の言葉を扱った番組をやっていた。ウッチャンナンチャンが司会をしている「クイズ!日本語王」の歌舞伎の言葉の回。時間帯は東京とは違ってたらしい。

知らない言葉も出てきたりして面白かったが、「ピンはね」の語源のとき、先生がついでに「ピンキリ」の話をして、その話ちょっと違うだろうと思った。

ピンキリのピンはピンはねのピンと同じで、一のことを表し、キリは十で、十字架の形、つまりキリストだからキリと呼ぶとか言ってた。常識的に考えてそれはありえんだろうと思った。

当初からキリシタンという言葉は使われていたと思うが、十字架をキリと呼ぶという話は聞いたことがなかった。この先生の専門は歌舞伎由来の言葉だというのだから、それ以外の由来の言葉は不案内だと思うんだけど。


以下、調べた結果(有力と思われる説)

ピンキリ=
始めから終りまで;最上等のものから最下等のものまで。
ピンはポルトガル語「点」であり転じて1を意味し、キリは最後のカードを意味する。これにより、最初から最後までの意味を表す。

ピンはね=
興行主が役者の手当をあらかじめ手数料として1割引くこと。転じて、他人の利益のうわまえを先に取ること。この1割の1を表すのにポルトガル語由来のピンが使われた。

ついでに、ピン芸人のピンも同様にこのポルトガル語由来のピン。


以下、その理由と考察

ピンキリは「ピンからキリまで」の省略で、ピンからキリまでは、

 広辞苑によると
  ピンからキリまで=
  (1)始めから終りまで。
  (2)最上等のものから最下等のものまで

ピンの由来:

 広辞苑によると
  ピン=
   (pinta(ポルトガル) 点の意)
   (1)カルタ・采(さい)の目などの1の数。
   (2)はじめ。第1。最上のもの。

つまり、ピンはポルトガル語のpintaが語源らしい。意味は点。カードやサイコロの一の目を表すのに使われたらしいので、転じて1の隠語となった。

pintaをポルトガル語の辞典で調べると、実際に「点」の意味があった。ちなみにpintaは動詞pintarに由来する語で、これは英語のpaintに相当する。

2008.2.8追記:(pintaには点の意味はあることはあるみたいだが、斑点やしみの意味らしい。これについての考察は、ピンキリ考第三弾に書いた。)


ポルトガル語オンライン辞書 Lingua Portuguesa On-Line

ただしこのオンライン辞書は結果もポルトガル語なので、確認するには、Babel Fish Translationを利用して「Portuguese to English」で英語に訳した。

サイコロのあの一の点を思い起こすと、なんだか納得いく。でもカードに関していうと当時の1のカードは今のトランプのような真ん中に一つのスートのマークが入る形式ではなかった。そういうわけで、最初はサイコロ由来だと想像できる。でも、当時日本に来たポルトガル人がそう呼んだという記録がなければ何とも言えない、見つからないだろうが。

キリの由来:

 広辞苑によると
  キリ=
   クルス(cruz(ポルトガル))の訛。十字架の意から転じて、十の意。

広辞苑には、こう書いてあるのだけど、以前調べたときは別の説を見つけた。

わかりやすい解説を探すと、[暮らしの歳時記]All Aboutのえっ!「松竹梅」は平等で「ピンキリ」は逆?。ここに紹介されているように、「限り」を意味する「切り」という説である。

 広辞苑で「切り」を調べてみると、ちゃんと書いてある。
  切り=
  (6)天正カルタで、武将をかたどった最後の12の札。

「天正カルタ」はポルトガルから伝わったポルトガル式のトランプを日本で作ったものである。なお当時のポルトガルのトランプは現在日本で使われているトランプとは枚数や絵札などに違いがある。

これに関連する話として、花札の12月の花が桐(キリ)となっているのも、この天正カルタで12をキリと呼んでいたことの名残とする説がある。花札は禁令を逃れるために天正カルタのようなトランプらしさを表面的に排除していったすえに出来上がった日本独自のカードだ。


考察:
キリについては、クルス(Cruz)がキリに訛って十字架だから十を表すと言うよりも、最後のカードをキリと呼んでいたことのほうが説得力があるように思う。ピンもキリもカルタ(カード)の用語として使われていたわけだから、両者を並べて使うことにも違和感がない。
これに対してキリがクルス由来であると主張するためには、キリという言葉が、この言葉が作られたとき人々が誤解しないくらいに12の意味以上に十の意味として強く使われていたという事実を示さないといけない。



参考資料
三池カルタ記念館の紹介...復刻天正カルタの画像、カルタの歴史一覧がある。

更新 2006年9月12日1:05:09

追記 2007.5.1
その後、また考えてみた。「ピンキリ再考」。かえって答えが出せなくなった。

追記 2008.2.8
今度はピンについて調べてみた。
「ピンキリ考 第三弾」


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純情きらり(139)

<内容>

達彦の心の重みを分け合っていこうとする桜子。

昭和21年3月。山長を訪ねる桜子。達彦の様子を野木山に聞くと落ち着いてきたが、店の仕事はまだだと答える。桜子に聞こえるように、仕事をしようとしない達彦に文句を言う職人もいる。
達彦の部屋に行くと、達彦は荷造りをしていた。戦友の家を回らないと、心の整理がつかない。桜子はそれを見て、達彦が自力で歩き出すのをまとうと思う。

学校。桜子は女の子たちにピアノを教えていた。そこに校長先生がきて二人で話をする。復員してきて復職してくる正規の先生がいるので、代用教員の桜子に辞表を提出してもらいたいとの話だった。

マルセイユ。秋山さんも来ていた。さっそく二人で演奏する。曲は「オン・ザ・サニーサイド」。マスター・ヒロは楽しそうに見守っている。演奏が終わると、秋山はやっぱり桜子が東京に出て行かないのはもったいないと言う。桜子は教師を続けられないかもしれないと漏らす。その言葉に秋山は喜ぶ。

場面は変わって、達彦。戦友の家。達彦は正座して深々と頭を下げる。「わたしだけおめおめと生き残ってしまいました。」と言う。目の前には戦友の両親が座っている。母親が涙を流しながら小さな遺品を手にする。つらそうな達彦。

マルセイユ。ヒロと桜子が話している。達彦はまだマルセイユに来ないらしい。音楽をさけているのではないか、そう心配している桜子に対して、マスターは少しおどけてやわらかくして、岡崎を離れられないのは達彦さんが心配だからかなと言う。

桜子が帰る途中、空き地に腰を下ろしている達彦を見つける。並んで座って、ご遺族はと聞くと、達彦は、「みんな喜んでくれる。良く伝えにくれたと感謝してくれる。でも年老いた親御さんに泣かれるとつらくなる。若山の姉が言った『あなたには未来があるが、弟にはない』という言葉が思い出される。生きていることが申し訳ない。」

そんな達彦に対し、桜子は夕空を見ながら、「きれいな夕空は戦争前と何も変わっていない。達彦さんは生きて帰ってきてよかったとみんな思っている。マルセイユのヒロさんもそう。ピアノやレコードも達彦を待っている。」とやさしく語りかける。

家のピアノの前。学校のことを悩んでいた。ももこ姉ちゃんがお茶をもってきた。桜子は学校を辞めないといけないことを話し、今は目の前の演奏会を一生懸命やるしかないねと気分を切り替える。

そこに、玄関を叩く音。二人が玄関に駆けつけると、入ってきたのは冬吾。「誰にもここに来たことは言うな」といいながら倒れ込む。

純情きらり(140)へ つづく


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2006年09月12日

純情きらり(140)

<内容>

水を飲む冬吾。茶の間で桜子と杏子の家族が冬吾を囲むように集まっている。冬吾は東京ではお手伝いに見張られながら笛子に絵を描かせられてる、笛子は次から次に画の注文を取ってくる、と言う。笛子と画商たちが、麻雀をしながら画ができるのを待っている様子が映る。画商たちは笛子をもちあげ、冬吾を褒めるので、笛子は、のせられていい気持ちになっている。笛子は、自分を画ができる印刷機のように思っている。笛子には絶対に教えるなと冬吾。

喫茶マルセイユ。達彦が入ってくる。マスターとても喜ぶ。本物のコーヒーがあるから飲め飲め。
達彦は椅子に座り、復員してから音楽をゆっくり聴くのは初めてだともらす。「昔を思い出す。帰ってきてから何もかもが遠くに感じている。音楽も、人の話していることも、桜子とピアノを弾いていた頃の自分も」と久しぶりのマルセイユで多弁な達彦。コーヒーをもってマスターがテーブルにやってくる。マスターは桜子が名古屋でピアノを弾くことを教え、聞きに行ったらと達彦にすすめる。
桜子が喫茶店に入ってくる。達彦がマルセイユに来ていたことに桜子は笑顔を見せる。演奏会に誘っていたとマスターが伝えると、無理に来なくてもいいよ、進駐軍もいるし、と達彦を気遣う。考えとくよと達彦は即答を避ける。

昼間の有森家の縁側で冬吾が庭を見ながら画を描いている。そこに桜子が帰ってきて、笑いながら「絵を描いてる」と言うと、「自分で好きで描くのと、せかされて描くのは違う。」と冬吾が答える。楽しいやりとり。
桜子は真剣な様子になって、達彦さんが帰ってきたと報告する。冬吾は「えがったな」と声をかける。桜子はうんと答える。一緒になるのかと冬吾が聞くと、なりたいけど分からないと答える。お互い奇妙な空気でのやりとり。
冬吾は画を描くのをやめて、近くによって親身になって桜子の話をきく。桜子はピアノを弾くことになった話をする。以前、達彦さんの前でジャズを弾いたら辞めろと言われたけれど、いつか自分のピアノで達彦の心を明るくしたいと夢を語る。[このシーンで完全に二人のわだかまりは消えたみたい。]

有森家の部屋の中。杏子と桜子。東京の磯おばさんから演奏のときに着る赤いドレスと応援の手紙が送られてきた。二人で楽しそうに服を合わせて鏡をのぞき込む。
玄関から御免下さいと男の声。二人が出ていくと冬吾を探しにきた画商だった。服が掛かっているのを見つけて絶対いるはずだと粘るが、二人で力を合わせて追い出す。冬吾の部屋に行くと、まるで子どものように冬吾さん布団をかぶって隠れていた。ここにいても足がつくなと言って、荷物を持ってどこかに行ってしまう。[いつでも逃げられるように冬吾さん荷物をまとめておいたわけね。]

三学期最後の日。校長室で桜子は校長に辞表を提出する。そして教室での子どもたちに最後の挨拶の場面。桜子はここではじめて子どもたちに辞めることを報告する。辞めないで、先生の音楽の授業は面白いのにと残念がる子どもたち。自分も別れたくないけど、先生たちが復員して戻ってくるので仕方がないと言う。同じ町にいるから遊びに来て、いつでも応援しているから、さみしいときはジャズを歌ってごらんと言う。最後に子どもたちのリクエストに応えてジャズ調の「春の小川」を弾く。子どもたちは桜子の周りを取り囲んで一緒に歌う。

演奏会当日。杏子家族にがんばってと見送られ演奏会場に向かう。会場の控え室にはいると、おお!と華やかな桜子の衣装にバンドメンバーから歓声があがる。出演時間を教えに来たアメリカ人が英語で桜子の声をかけて出て行く。日本人にやれるわけないと思っているから鼻をあかしてやろうと秋山が言う。「みんな行こうか」という秋山の声とともに、舞台を進んでいく。桜子の初舞台の瞬間が近づく。

純情きらり(141)へ つづく


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最近の純情きらりについての投稿について

最近、純情きらりの見た内容をここに投稿している。このブログを詳しく読んでもらうと分かるけれど、視覚障害者のichigoさんに、僕が楽しんでいる純情きらりを一緒に楽しんでもらおうとはじめたものだ。

はじめた頃は週末の一括放送を録画してそれを見ながらまとめて書いていた。それもかなり端折って書いていたが、物語も残り少なくなってきたので、最近毎回書いていくことにした。

どうやって書いているのかというと、最近はBS2の朝7時30分の放送をパソコンでメモをしながら見て、そのメモを30分ぐらいかけて場面を思い起こしながら、日本語として読めるように整理している。そして総合の8時15分からの放送が終わった以降に投稿する。

7時半の放送だけを見てそれをもとに再構成している。朝は見ようと思うと3回見られるけれど、この1回だけでいい。完璧を期して、あんまり詳しく書いても文章が長くなるだけだから、そんなことはしない。昼の再放送を見られるときは、それを見てしれっと間違いを書き直しているけどね。

精度は高くないけれど、なんとか記録できているんじゃないかと思う。セリフはかなり単純化していたり、会話文や、地の文や、自分の個人的な感想の区別がつかなかったり、主語がわかりにくい文章になったり、いろいろあるけれど。

最初の行に<あらすじ>とか<内容>とか書いてあるので、内容を知りたくなくてない人は、きっと読むのをやめてくれるだろう。



僕は小学校の高学年の頃、気象通報を聞いて天気図を描いていた。いろいろ勉強になったのだけど、このことで自分が聞き逃したものを頭の中で再生して聞き直すことができるようになった。

「名瀬では南東の風、風力2、曇、14ヘクトパスカル、30度」とか、そういうのを20分間聞きながら天気図に各地の情報を記録して行く作業だけど、追いつけなくてときどき書ききれなくなることがある。でも集中力さえ高めておけば、短いセンテンスだけだけど聞き逃したものをもう一度頭の中で思い出すことができた。

当時に比べれば、記憶力は落ちたけれど、こういうメモをするときは、いまでも便利だ。


※追記 2006年9月25日
試験的にやってみたときは、三十分ぐらいでまとめられたのに、ぜんぜん駄目だ。書けば書くほど時間をかけて書き込もうとしてしまう。どのセリフも重要に思えて削れなくなってくる。テストしたときはあまりセリフが少なかった回だったのかもしれない。あと少しだから、最終回まで書き続けるけれど。

追記
純情きらり関係の記事は、純情きらり 記事一覧にまとめてみました。


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2006年09月13日

純情きらり(141)

<内容>

夜、初舞台の日。緊張して、桜子は譜面台を倒してしまう。会場からはヤジが飛ぶ。秋山は気にするなと声をかける。会場の後ろでは、マスターヒロが現れる。桜子の様子に心配そうな顔をする。演奏が始まっても、桜子はうまく弾けない。秋山は演奏しながら、リラックスするように目で合図をおくる。でも桜子は調子が出ない。

山長。冬吾がやってくる。野木山さんが「おや、おめずらしい」と迎え入れる。
達彦はいつもの敷地内の長いすに腰掛けている。冬吾が現れると立ちあがって、挨拶をする。ひさしぶりだな、無事で何よりと冬吾が声をかける。そして一緒に腰を下ろす。桜子が今名古屋で演奏していると達彦に伝える。聴きに行かないのかとたずねると、返事がない。一緒にならないのかと聞くと、ほとんどの戦友が死んで、自分だけが幸せにはなれないと言う。それに対し、冬吾はそれはいいわけだと言う。戦争が終わってどうしていいか分からなくなっただけだ。「そうかもしれないが、自信がない。彼女の夢の邪魔をしたくない。」と達彦。「人は迷惑をかけないと生きていけないものだ。それに、いままでずいぶん迷惑をかけすぎたから、そんなこと言える義理ではないはずだ。迷惑を返すぐらいしないといけない。」と冬吾。

控え室。桜子、お守りのようないつもの達彦たちと一緒に撮った写真を見つめる。秋山はしょげんな、すぐに次もあると声をかける。ヒロさんが控え室に来て、自分を達彦だと思って弾きなさいと言う。その言い方で、桜子に笑みがこぼれる。

達彦の部屋。引き出しの奥から写真を見つける。桜子が見ているのと同じ写真。その下に、自分の知らない、かねと桜子が二人で写っている写真があった。
違う部屋で仙吉と達彦。かねと桜子が写っている写真の事情を仙吉が話す。看取る覚悟で店に入ってくれた。最後は付きっきりだった。ピアノをかねのために弾いていた。ピアノを弾きながら、かねを励ましていた。大将は生きている。桜子はピアノを好きなだけで弾いていたわけではない。生きていてほしいという一縷の思いで、祈るように弾いていた。
達彦、写真を見つめる。そして「仙吉さん、帰ってきてずっと桜子に迷惑をかけたくないと距離をとってきたが、これからはおれが桜子に何を返せる考えないといけないな」と達彦。その言葉を聞き、仙吉深くうなずく。

演奏会場。客はブーイングしている。秋山は英語で客に話しかける。「今まで戦争中ジャズを演奏することができなかった。私たちにとって今日は晴れの日です」。達彦の代わりのマスターの顔を見る。マスターは、ガンバレという感じでうなずいて返す。気を取り直して、演奏再開。

達彦が会場に現れる(演奏中の桜子は気付かない)。桜子は調子を取り戻してきた。会場からは手拍子も聞こえてきた。桜子の顔に笑顔が表れる。達彦は会場の後ろの方で桜子の演奏を見守っている。曲が終わると、拍手と歓声が上がる。立ち上がって歓声に応える桜子は、会場に達彦を見つける。お互い笑顔で見つめ合う。次の曲「セントルイスブルース」の演奏をはじめる。もう心配ない。

達彦は桜子のジャズの演奏を聴きながら、脳裏に様々な場面が浮かんでくる。列車の「音楽を忘れるな」の別れのシーン。連弾のシーン。キスシーン。河原で桜子に味方だと言われたシーン。達彦は涙を浮かべながら、桜子のジャズの演奏を見つめている。

純情きらり(142)へ つづく


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2006年09月14日

純情きらり(142)

<内容>

演奏会の続き。

演奏が終わる。会場から大歓声。拍手。桜子は立ち上がりお辞儀をする。進駐軍兵士が壇上の桜子に近寄ってきて、英語で褒める。会場からも桜子への賞賛の拍手。秋山が何かひとこと言うようにすすめる。そして壇の中央にやってきて、日本語で話をはじめる。通訳は秋山さん。「私の婚約者は六年経って帰ってきました。皆さんのふるさとにも帰りを待っている人がいるでしょう。戦争が終わってホントに良かった。この曲みなさんと皆さんの帰りを待つ人に送ります」。埴生の宿(Home sweet home)を演奏する。もちろんジャズ調。[この曲は桜子のいろいろな場面ででてきた曲だ]。達彦、涙が頬をつたっている。会場の進駐軍は壇上にあがり、英語で歌っている。ピアノを演奏している桜子の後ろで数人で肩を組みながら、バンドメンバーと肩を組みながら、歌っている。マスターヒロも達彦の肩に腕をかけている。

演奏会場から外に出ても、バンドメンバーは、群衆に囲まれて賞賛されている。秋山さんは、東京に行った方がいいと改めて思ったと桜子を誘う。桜子は困った顔をする。「もう一回だけ考え直してくれないか。いい答えを待っている」といいながら、秋山は離れる。桜子に会おうと駆けつけた達彦は、近づかないまま階段の上からこのやりとりを聴いていた。別のバンドメンバーが来て、お偉いさんがごちそうしてくれるから行こうと誘ってくる。動こうとしない桜子に対して、先に行ってるぞと言って離れる。達彦は桜子に見つからないようにその場を離れる。

桜子は達彦を捜して会場に戻ってくるが、達彦はいない。そこにヒロがやってきて、引き留めたが達彦がもう帰ってしまったと伝える。そして達彦からの東京へ行けという伝言を伝える。ヒロはさあどうすると聴く。桜子は走り出す。後ろ姿を見ながら、そうするよなとヒロがつぶやく。

夜の外は雨。走る桜子。石段をあがっている達彦を見つけ、呼び止める。「追いついて良かった。」と桜子。達彦は、「東京へ行けよ。有森」。昔からピアノやジャズが好きだったのに、家族のためや、山長の母のために、いままでその思いがとげられなかった。母や自分にここまでしてくれた桜子に返せるのは、黙って見守ることだ。自由に羽ばたけるときがきた。
そう言う達彦に対して、桜子は「私は東京に行かんよ。どうしていかないかわからんの。達彦さんがここにいるから。達彦さんのそばにいてずっと支えていきたい。達彦さんがおるから音楽を続けて来られた。おらんかったらここまで音楽はやってないよ。達彦さんが好き、達彦さんが何よりも大事。だからここにおる。」
「そう思っとっちゃいかん。いかんかな?」そう達彦に問いかける。
すると達彦は石段の上から桜子の方へ降りて来る、見つめ合い。桜子を抱きしめる。抱きしめられた桜子はとても幸せな顔をする。

家に戻ってきて、一人桜子はあの写真を見ている。ナレーション、不安や孤独を乗り越えて、桜子は達彦がここにいる幸せをかみしめていた。

有森家の朝。杏子が「演奏大盛況だったとヒロさんに聞いたよ」。達彦さんも来ていたと桜子が言うと、達彦さんもずいぶん元気になったねと喜ぶ杏子姉ちゃん。達彦の回復に力を貸してくれた鈴村も喜んでいる。

山長の朝。達彦と冬吾。冬吾はあのままとまったらしい。朝食を食べながら「この味噌づけはうめえな。さすがは味噌屋だな」と冬吾。達彦は急に立ち上がり「いまから有森の家に行ってきます」。冬吾「うんだか」。

有森家の玄関。達彦がくる。桜子が出迎える。座敷。「ごゆっくり」と杏子。影から鈴村とサチが様子をうかがっている。桜子と達彦は向かい合って座っている。ナレーション「ようやく二人が向き合える日がやってきました。」

純情きらり(143)へ つづく


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2006年09月15日

純情きらり(143)

<内容>

昨日の続き。有森家の座敷で向かい合って座っている桜子と達彦。杏子がお茶を出して外に出る。外では鈴村と幸が様子をうかがっている。そこから場面が始まる。

向かい合って話すことはなかったよな、と達彦。ほうかもしれんね、と桜子。達彦は、母の最後の世話をしてくれたことを感謝する。自分にとっても大事な人だった。お母さんと呼べる人ができてよかったと桜子も達彦の母と一緒にいられたことを感謝する。六年という長い年月、心変わりもせず自分を待ってくれたことを達彦が感謝する。桜子は達彦のその言葉を聞きながら深刻そうな顔をしている。達彦は「有森、俺」と何か大切なことを切り出そうとするが、それを遮るように、そして見せたいものがあると、達彦をピアノのある部屋に連れて行く。

ピアノのある部屋。桜子がぼろぼろの紙切れを取り出す。キヨシが戦時中、達彦と同じ部隊の人から預かって届けてくれた達彦からの手紙だ。これを覚えてるかと桜子。達彦は、激戦で負傷して死を覚悟したときに書いた手紙だと答える。君が音楽を忘れない限り僕は君の中にいる、そう信じている。と手紙の一節を読み上げて、これを何度となく読み返したと桜子が言う。達彦さんは出征するときも音楽を忘れるなと言ってくれた。秋山さんに教わって編曲や作曲の勉強をした。少しだけど一つ一つが思い出にしみこんだ曲だと言いながら、ピアノの上にあった譜面を達彦に渡す。それを達彦がめくっていくと、「Tに捧ぐ」という楽譜を見つける。達彦が譜面から顔を上げ桜子の顔を見ると、桜子は話を切り出す。「達彦さんの前では正直でありたい。その曲はね。」と言いかけると、大声が聞こえてくる。笛子の声。

座敷で笛子が桜子を呼ぶ。杏子夫婦が挨拶してもそれどころではない笛子。画商から連絡があってここに来たという。桜子が駆けつける。冬吾をかくまっているんでしょう。笛子が、何故ここにいると伝えてくれなかったと聞くと口止めをされていたと桜子は答える。

そこに、ただいまと冬吾の声。笛子が振り向くと冬吾と目が合う。まずいっという顔をして、そっとそこから逃げ出そうとするが、笛子の大声で、動きが止まる。

何があったのかドアから達彦が身を乗り出している。桜子は達彦にそこで待つように言う。達彦は一人部屋に残り楽譜を見つめる。

笛子と冬吾が向き合って座る。その周りにみんながいる。鈴村はサチの様子を見に行くと場から出る。笛子は何で逃げたのかと口火を切る。場に緊張が走る。なぜ、よりによってこの家に隠れている、と笛子。もう少し俺の身になって考えてくれ、と冬吾。ちゃんと考えているという笛子に対して、「うそこけ」、絵に群がってる連中は絵には興味がない。彼らは杉冬吾がかけばかいてあるのが鍋だろうがヤカンだろうが関係ない。それに反論して、冬吾の作品を素晴らしいというありがたい人たちじゃないのか笛子が言うと、そうしゃべれば絵を描くと思っているだけだ。注文を取るのをやめれと冬吾が言う。それは駄目だと笛子が言う。ほうっておいたら、生活を考えないから、家計が回っていかない。手加減してくれ、もう疲れた限界だと冬吾。

桜子が冬吾をかばう発言をする。冬吾は自分の絵の善し悪しが分からない人のために絵を描きたくないのだと。その言葉が笛子を刺激してしまう。芸術の分からない人間の一人と私のことを思っているのでしょう。私は私なりに頑張ってきたにになによ。冬吾に対しても、私ではなく、自分のことが桜子には分かると冬吾も思っているのでしょうと。桜子と冬吾は心の奥底で通じ合ってると。私が知り合う前から、大の仲良しだった。冬吾が家族になるのがうれしいから結婚するのを喜んでいた。それなら、どうして二人は結婚しなかったの、と笛子がぶちまける。そんな昔の話と杏子が言うと、笛子は、昔の事じゃない、私は知ってる。津軽に行く前「Tに捧ぐ」という曲を桜子が作ったが、Tが誰のことかを分かっていた。

そう言うと、笛子は、今持ってきてやるからとピアノのある部屋に駆け出す。扉を開けると、達彦がいた。達彦はお辞儀をして、話を聞いているうちに出て行きそびれたと言う。笛子は帰ってきたこと知らなかったものでとても申し訳ない顔をする。達彦は楽譜を笛子に差し出そうとする。

座敷。テーブルの上には「Tに捧ぐ」の楽譜。今度は桜子と達彦が向かい合って座っている。その周りを杏子、笛子、冬吾が囲んでいる。杏子と笛子がTは別な人のことだとごまかそうとがんばるが、桜子本人が冬吾のことだと正直に言う。達彦には最初から隠しておくつもりはなかったと語りだす。一年前かねが死んだ後、達彦さんのことも駄目かもしれんと思った。大好きなピアノにもさわれなくなって、さびしくてきつくて、心の支えがほしくて、そんなとき、冬吾さんがそばにおってくれた。どん底にいた私を支えてくれた。譜面を焼き桜子の目の前で川に捨てる冬吾のシーンが入る。私の人生はどこにあるって、ここにあるだろうがと自分を見失っている桜子に言い聞かせる場面。冬吾さんがいなかったら、音楽を続けていけなかった。冬吾さんに助けられた。

ナレーション、桜子と達彦は離ればなれの長い年月を埋めようと向き合っていました。


【やっぱりこのドラマ面白い!笛子たちがかき回すのは先週の予告で分かったが、ここまで、ぶち壊してくるとは予想外。桜子も告白を決心していたけれど、これはね。今日はセリフが多い日なので、メモを取るのが難しかった。端折ったし、間違いがたくさんあるはず。今日はまとめるの時間がかかった。】

純情きらり(144)へ つづく


posted by takayan at 12:28 | Comment(1) | TrackBack(0) | 純情きらり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする