2006年09月22日

純情きらり(149)

<内容>

語り「待ちに待った演奏会まで二週間になりました。」

マルセイユの前。演奏会のポスターが貼ってある。通りがかった客がポスターに気をとめる。そこにすかさずマスター・ヒロ、中にチラシもありますよ。場所は変わって、とある食堂の前。達彦もお願いしますと、食堂の店員にチラシを渡している。

山長ではある異変が進行していた。職人頭の仙吉が荷物を担ごうとして、ひっくり返ってしまう。野木山が助けおこす。寄る年波にはかてんなと仙吉。野木山と顔を見合わせて笑う。そこに職人がやってきて、蔵で嫌なにおいがする。カビが生えているじゃないかと知らせに来る。

店の玄関。味噌が一桶腐っているんだってと桜子。大将、女将さん、申し訳ございませんでしたと仙吉が頭を下げる。この蔵を任されてはじめてのこと、責任とって辞めさせてもらおうと思います。そんなこと言わないでくれと達彦。しかし仙吉は、しばらく前から考えとったことですと言う。野木山も他人事ではない真剣な顔で仙吉の申し出を聞いている。昭和15年を最後に本物の八丁味噌を造っていない。戦争を挟んで、人の好みは変わってしまった。若いものに道をゆずる時期が来たと仙吉。桜子は悲しい顔で聞いている。

夜。桜子と達彦。達彦にお茶を出しながら、桜子が話を切り出す。ここのところ八丁味噌作れてないが、みんな忘れているわけがない。戦争が終わって急にきれいな着物を着て歩く女の人たちが増えた。そんなふうにみんな無いから我慢しているだけで、みんな忘れていないのではないか。そうなれば仙吉さんも辞めたいとは言わんのではないか。名古屋からも本物の味噌を求めに来た人もいた。名古屋の料亭はどうだろうかと桜子が提案する。達彦も需要を探ってもいいだろうと話に乗る。演奏会が近いので達彦は止めようとするが、桜子も地元を回ってみると言い出す。

とある料亭。女将と桜子が話をしている。八丁味噌が今あるんですかと女将が聞く。桜子はまだ無いという。何年先になるかもわからんことを、直にできるわけないでしょうと乗り気ではない女将。それでも桜子は、ここは百年も続く老舗、食通のお客さんならば本物の味を覚えているはず、こちらを優先的に売らせていただきますから、女将に予約の表にお名前を。そうすれば大豆の配給も増やしてもらえるかもしれません、お願いしますと言うと、女将署名をしてくれる。ありがとうございますと桜子。

外を歩く桜子、蝉の声、空にはまぶしい太陽が輝く。

山長の帳場。料理屋さんの予約の書面だといい達彦が仙吉に見せている。仙吉さんに店におってもらいたいと達彦が説得する。そこに桜子がただいまと店に戻ってくる。帳場にあがると、そのまま桜子も私ももらってきたと書面を並べる。私からもお願いしますと桜子。仙吉がこれもらうの何軒の店回られましたと二人にきく。わしのようなもののために。ここまでしてもらって心苦しいです。わしは幸せもんです。そういう仙吉に対して、考え直してくれるかと達彦。仙吉が答える。二人を見ていて、安心しました。自分が気をもまんでもお二人なら八丁味噌を復活させてくれると。そして未練、出てきましたと。そのときまで山長でお二人のそばで一緒に見届けたいですと仙吉。そうしてくれと達彦。はいと仙吉、頭を下げる。桜子はほほえみ達彦とうれしそうに顔を見合う。
よかったと話しながら二人部屋にやってくる。すると突然桜子よろめいてしまう。大丈夫かと達彦。このところ井ぞがしく、暑い中歩いて日にあたりすぎたからと桜子。達彦が両方やるのは無理じゃないかと言うと、桜子は自分はこの店に嫁に来た身だからと店は手伝わないといけない言う。今回のことでつくづく思ったと。しばらくはピアノ頑張るが、その後は店をちゃんと手伝うと桜子。先のことは考えなくていい、音楽だけを集中しろと達彦。

ピアノの部屋。桜子がピアノの練習をしている。達彦が西園寺先生から電話だと知らせに来る。桜子電話に向かう。帳場に来て座って電話に出ると、西園寺先生は演奏会当日きてくれることを伝えてくれた。桜子ますます頑張らないとねと練習に向かうために桜子が立とうとする。しかし立てずに倒れ込む。達彦が支える。大丈夫か。
病院の廊下。達彦が座って心配そうに待っている。看護婦が出てきて、家族のかたですか。達彦が心配そうに返事する。すると看護婦は「おめでたですよ。三ヶ月に入ったところですよ」。驚きながらも、ありがとうございますと達彦。診察室のドアを開けると桜子が横になっている。体大丈夫か。看護婦にきいたんだけど。ほほえみながらうなづく桜子。桜子の手を握りしめながら、よかった、ほんとによかったと達彦。桜子と、達彦は最高の喜びをかみしめていた。

つづく


(昼の再放送も見たら、いつも以上に嘘書いてた。今日は五分前に起きて寝ぼけてた。)


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チョコレート効果アソート

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以前リンツの99%チョコを紹介したけれど(Excellence Noirissime 99%)、やっと明治製菓の、高ポリフェノールのビターチョコレートを買えた。
わざわざ買いに行かないから今頃になって、偶然出会えたんだけど。一般的にはリンツより明治製菓のやつが知られてるんだろうな。手に入りやすいというのもある。今回買えたのは、四種類入りの詰合せタイプ。

今頃これを買ったのは、地元のケーブルテレビで、チョコレートの特集していたから、このアソートタイプが出ているのを知ったというのもある。

先のリンツに比べると、こぶりなので見当がつくよう、近くに転がっていた烏龍茶のキャップも一緒に写し込んだ。小さいけど、63%、72%、86%、そして99%のカカオが一度に食べられる。だから、99%の苦さも気軽に体験できる。
まあ僕は慣れているせいか、99%も平気に食べられた。

明治製菓:チョコレート効果 公式

チョコレート効果 アソート 4枚(明治製菓新商品情報)

公式サイトで、トラックバック募集中なので、ちょっと修正してトラックバック!うまくいくかな。


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2006年09月23日

純情きらり(150)

<内容>

病院で桜子が懐妊したとわかった場面のおさらい。そのあと。

有森家。夜。カズコが眠っている。冬吾が子どもたちの面倒を見ていて、さき始めてくれと。隣の部屋では、お祝いが始まろうとしている。笛子と杏子家族、そして桜子と達彦。おめでとう。みんなで乾杯。どんどん食べてねと笛子。ほんとに幸せだね。好きな人と一緒になれて、子どももできて、好きな音楽もおもいっきりやれてと笛子。もうしわけないぐらいと桜子。おじいちゃんがもう少し長生きしてくれたらと笛子が残念そうに言うと。それを言ったら山長のお母さんもと桜子。
食の進まない桜子を見て、笛子がごはんがいけないね桜子と気遣う。杏子。つわりがきついんだね。休みたかったら横になって休んだほうがいいよと杏子も気遣う。お姉さん一度お聞きしたかったんですが、と杏子に向かって達彦。演奏会やっていいんでしょうか。桜子は、自分はぴんぴんしている平気だと言う。きつくない大丈夫。桜子は、おなかの子のためにも頑張りたいという。もともと助産婦さんの杏子は言う。安定期の五ヶ月が過ぎるまでは無理はしない方がいい。一日二時間までにしたほうがいい。がんばり過ぎんこと。しっかり食べて寝ること。そう注意する。

山長で、ピアノを練習している桜子。日に二時間の制約を守ることは桜子には難しい。もう時間になったよと達彦が入ってくる。三時間になる。やめろよ。おなかの子のことと自分の体のことを一番に考えろ。演奏会なんていつでもできる。あきらめられんのかな、演奏会。そこへ女中さん。「あの、お客さんが。」と桜子を呼びに来る。東京から、斉藤直道さんが。

店先に出てきて、先生と桜子。お久しぶりと斉藤が挨拶する。夢みたいだと斉藤。どうしてこちらにと桜子。名古屋に寄った店でこれをとチラシを見せる斉藤。ご主人ですかと達彦を見て、はじめましてとあいさつをする。奥へというと、ここで結構です。お元気な姿を見られただけでと斉藤。

店先にあるテーブル。桜子と斉藤が座る。先生はどうされているんですかと桜子。今東京で物理を教えている。理系だったので徴兵もされずにすんだ。ご結婚は?結婚した。尻に敷かれっぱなし。奥さんは、磯叔母と笛子姉を足して二で割ったような人。あの帽子が見つかってえらいことになった。この帽子を見て妹を思い出してくださいと笛子さんにそう言われて持っていたと。もともと物を捨てられないたちと言い訳をする。それを娘にゆずろうと思っている。一歳の娘。幸せなんですねと桜子。桜子さんもですよねと斉藤。はいと答える桜子。このチラシを見たときはうれしかった。あなたは音楽への志を捨てずに、長い年月を生きていらしたんですね。

昔の場面。列車を追いかける制服姿の桜子。立ち止まり先生と叫ぶ。桜子と斉藤が向き合って、あなたは音楽だけはあきらめちゃいけない、つらくても後ろを振り向いてはいけないと斉藤が言う。ふたり握手をする。肩を落としている桜子に笑ってくださいと斉藤。微笑む桜子。

現在の場面。覚えていますかと斉藤。音楽だけはあきらめるなと言ってくれたと桜子。店の中にいてその会話が聞こえている達彦の微妙な表情。斉藤がうれしそうに、桜子さんよかったですね。ぼくはうれしい。ほんとにうれしいです。再び達彦の表情。斉藤を見ながら、微笑む桜子。

斉藤、帰る。桜子と達彦が店の前で見送る。店に入ると、達彦が桜子に声をかける。「おまえやっぱり頑張れ、演奏会。」そんなこと言われんでも頑張るだろうけど、気がついたんだ。たった一人で音楽をやってきたわけではない。お母さんやお父さんや先生や、いろんな人の思いを引き受けて、今ピアノの前におるんだ。簡単に諦めろと言って悪かった。悪いと言った達彦に気にしなくてもいいというふうに首を振りながら、自分を理解してくれた達彦に微笑む桜子。

そして演奏会当日。山長でピアノの練習をしている桜子。ドアから入ってくる達彦に、桜子はもうすぐ終わるからと言う。達彦はここで聞いとるからと、ピアノに背を向けた椅子に座る。ピアノを弾いている桜子の指が映しだされる。何かおかしい。つらそうな顔で弾き続ける桜子。桜子は鍵盤に倒れ込み、そのまま床に落ちる。達彦、桜子を体を抱えながら何度も何度も名前を呼び続ける。

診察室。医者と達彦。先生、おなかの子は大丈夫ですか。今のところは大丈夫だと医者。それより大きな問題があると、後ろに掲げたレントゲン写真で説明をはじめる。達彦はそれを真剣な顔で聞いている。

病室。桜子がベッドに横になっている。達彦が入ってくると、桜子は今何時、本番の時間に間に合わないと体を起こす。達彦は落ち着いて聞いてくれと椅子に腰掛ける。今日の演奏会はできない。できなくなったと達彦。どうしてと桜子が聞く。気分が悪くなっただけ、たぶん貧血。妊婦にはよくあることなんともないと桜子。それを遮り、何ともなくないんだと達彦。なんともなくないんだよ。悔しそうに言う達彦。もっとはやく気付かなかっただろうかと達彦。心配そうに達彦に声をかける桜子。そして達彦が言う。結核なんだ。おまえは結核にかかっとると医者に言われた。それを聞き、桜子は涙を落とす。

つづく。

次週予告。今回はナレーション無し。
車いすで絵画展に現れる桜子。
月に手を伸ばし、足を滑らせる冬吾。
病院に担ぎ込まれる冬吾。
医者(平田満)に、私は死にませんと言い切る桜子。
赤ちゃんのフィルム映像、ベッドでそれを見、その姿に触れようとする桜子。
最後に桜子のセリフ「お母さんの人生には素敵なことが山のようにあった。輝きのない人生なんてない。さびしいときはピアノを弾いてごらん。」
有森家の庭に立つ桜子、まわりに有森家のみんな。
希望に満ちた桜子の笑顔。


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2006年09月24日

純情きらり 斉藤先生のこと

帽子のエピソード忘れていたので、見直してみた。運良くこの頃は穴を開けずに録画していた。斉藤先生に関して、桜子に関係する部分を簡単にまとめてみた。

斉藤直道は第15話から第27話まで登場。
桜子は17歳。高等女学校の生徒。東京の音楽学校を目指している。笛子姉は同じ学校の教師。杏子姉は最初の結婚で苦労をしている時期。この頃達彦とはただの幼なじみ程度で、楽譜を貸してもらったりという交流はある。

勇太郎の学費のために笛子が有森家に下宿人を置くことを思いつく。偶然桜子が下宿を捜している斉藤と出会う。第二師範学校の物理の先生。帝大出だけど、頭はぼさぼさで、不器用で、とても変な人。勇太郎が嫌がらせで寝床に入れたイモリをそのまま、金魚鉢で飼っている。徹夜でピアノの練習を頑張っている桜子に、タラコ(実は腐っている)のおにぎりを作って差し入れをしてくれた。親友の薫子が兄の出征式で「君死にたまふことなかれ」の横断幕を広げて騒ぎを起こしてしまったとき、それを嘘の泥棒騒ぎでかばってくれた。左翼の活動に関わっていた薫子の兄の危険な本を桜子が預かったとき、それが笛子に見つかると自分の物だとかばってくれた。蓄音機も買えないのに、それが聴ける日を楽しみにしながらショパンのレコードを持っている。そんな斉藤先生に桜子は淡い恋心を抱いていく。斉藤先生のことでいろいろ悩み、ピアノが手につかなくなっている。

有森家では磯おばが笛子と斉藤をくっつけようとする。笛子もまんざらでもない。そんな雰囲気に桜子は斉藤に対しとても不機嫌になる。その機嫌を直そうと桜子のために帽子を買うが、店の前で磯に見つかりそれを笛子の剣道初段のお祝いだと間違えられる。誤解の解けぬまま笛子に帽子を贈ってしまう。徳治郎じいさんさえも真剣に斉藤を笛子の結婚相手にしようと考えている。そのことに気づいた斉藤は、その流れを止め無ければいけないと、笛子と二人きりで話をしようと喫茶店に誘う。それも磯の助言で勘違いされる。喫茶店で話をする日。普段は和服の笛子はその帽子をかぶり、それに合う洋装でおしゃれをして出かける。斉藤もこういうときは髪も整えていい男になる。喫茶店では斉藤は好きなのは桜子だと告白する。まっすぐで、ためらいもなく行動する桜子が好きだと。音楽の道は邪魔したくないが、結婚したい気持ちがあると。

音楽を諦めて斉藤先生と結婚しろという笛子。今の桜子の実力では音楽学校では苦労するだろうと女学校の先生。でも自分の音楽の夢を応援してくれた父との思い出が桜子に決心をさせる。桜子は斉藤先生と向き合い、お嫁にほしいと言ってくれてうれしいし、私も先生が好きだけど、音楽を諦めきれないからと断ろうとする。そこで斉藤が提案する。婚約をし、貿易商と再婚した東京にいる母の家から音楽学校に通って勉強をすればいいと。

しばらく二人はいい雰囲気で日々を過ごす。おいしいものを食べさせてあげると、桜子が山猿のように柿の木に登って柿を取って食べたりした。桜子のピアノの練習も身が入るようになった。

斉藤に東京の実家から電報がくる。急用ができたのでと東京へ帰る。しばらく戻ってこなかった。帰ってくると、結婚の話を白紙に戻してほしいと言い出す。恩師から研究に打ち込めるいい話があったので、そちらを優先したいと言う。後日、桜子に別れも言わずに斉藤は有森家から出て行く。このとき、笛子は斉藤に帽子を返す。これを見て妹のこと思い出してくださいと。勇太郎が、その日のうちに嫌なやつだと斉藤の残した荷物を処分していると、斉藤の話が桜子を心配させないための嘘だったことがわかる。真相は、実家が破産し斉藤自身も借金を背負ってしまったということだった。勇太郎は斉藤の勤めていた学校にも確認をとり、桜子に知らせてくれた。桜子は駅に向う。

あとは、150話の回想シーン。汽車が出て行ったのに斉藤先生がいるのは、川の景色が見たくて偶然列車に乗るのを遅らせたからだった。

桜子は一緒になりたいというが、斉藤は借金を抱えた自分と結婚すると音楽の夢を完全に諦めないといけなくなる。音楽は桜子にとって人生を照らす光だから、それを失ったらあなたは輝けなくなる。だから別れようという。お互いひたむきに生きれば、どこかでまた道が交わるかもしれない。


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2006年09月25日

純情きらり 第25週

第25週 「夢にみた演奏会」

披露宴がもっと前の週だったようにさえ思えるほど、この週も怒濤の展開。結婚後、薫子、西園寺先生、斉藤先生と、懐かしい人たちが、桜子の前に現れた。ただ顔を出すだけでなく、一人一人がその役柄らしい形で、桜子の夢の実現を応援していく。

桜子は死んでしまうのだろうか。以前冬吾が引用した槐多の詩。槐多は結核で命をすり減らしながらあの詩や他の輝くような作品を残し、死んでしまう。あの詩の引用は、桜子の人生の暗示としての意味合いもあったのだろうかと、今から考えるとそうも思えてしまう。最終週のタイトルは「いのち、輝いて」。次週予告の中にあった、桜子のセリフ。生まれてくる我が子に残した言葉のように聞こえてしまう。桜子が幼いときに亡くなった母マサが、桜子に音楽という宝物を残してくれて、その音楽への気持ちが桜子の人生を輝かせ続けてくれた。たとえ桜子が死んだとしても、生まれてくる子の人生もまた輝かせてくれる。そういうふうに話はなるのだろうか。桜子は病気に勝ったという結末であっても、そうしてくれたNHKさんに拍手を贈りますけどね。

桜子の演奏会は結局実現できなかった。でもこの演奏会への努力は決して無駄ではなかった。だって亨くんの人生に希望を与えてくれたから。そして偶然にも斉藤先生との再会を果たすことができたから。斉藤先生の目のつくところにチラシを置くために企画された演奏会と言っては変だけれど、斉藤先生が当時予言していたとおり、ひたむきに音楽への情熱を忘れなかったからこそ、達彦に桜子の曲のすばらしさに気付いてもらえ、西園寺先生を巻き込んで、演奏会が実現することができ、そしてそれを応援するためのチラシ配りが、結果的に斉藤先生との再会へと結びついたのだから。

斉藤先生の実家が破産しなければ、マロニエ荘の仲間には会えなかったかもしれないが、それはそれで音楽とともにある幸せな人生を桜子は歩めたかもしれない。でも、音楽を諦めずに生きてきた桜子は達彦と幸せな日々を過ごすことができた。マロニエ荘の仲間たちとの楽しい思い出もある。笛子も杏子も、桜子が東京に出て行ったことの影響があって、今の幸せな人生を送っている。人生はどうなるかわからないものだけれど、桜子がこの物語を通じて、みんなに支えられながら、ひたむきに愛する音楽を諦めなかったことが、桜子自身だけでなく、斉藤先生を含めみんなの人生に素敵なものを与えてくれたのだと思う。

今回斉藤先生とのエピソードを思い出すために、一気に4週目から6週目までを見直していたのだけれど、あの頃のひたむきにピアノに打ち込んでいる桜子の姿を見ていると、今回の演奏会だけはどうしても実現させてほしかったなあ。それから見ていて、宮崎あおいがほんと桜子の人生を生きているなと感心してしまった。どう見ても女学生に見えないこの頃の桜子が、いまはちゃんと女将さんらしくしているし、予告の中では母の顔をしている。たった数ヶ月の間に女優としてすごい成長をしているんだろうなと思った。


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純情きらり(151)

<内容>

病室。結核なんだ。そう医者に言われたと達彦。今日の演奏会は諦めないといけない。体のためなんだ。普通の体ではないんだ。妊娠している。どんなに演奏会にかけてきたのかわかっているが、こんなこというのはつらいが。わかるよなと桜子を説得する達彦。あかちゃんのためだよねと、悲しく受け入れる桜子。

山長。桜子と達彦が帰ってくる。野木山たちが心配そうに出迎える。たいしたことないと桜子。奥に床用意していると野木山。布団に横になっている桜子。笛子、杏子、冬吾の三人が駆け付けてくる。とても心配そうに桜子を見舞う。演奏会楽しみにしとったのにねと笛子。赤ちゃんは何ともないと杏子が聞くと、この子のためにも頑張らんとねと桜子。

別の部屋。達彦とそれに向かい合う形の三人。達彦が状況を話す。お医者さんからは、滋養のあるものを食べること。桜ちゃんはまだ若いから望みがあると冬吾。もう一つ医者に言われたのはと達彦。子どもは産まんほうがいいと。今の病状のままだと母体に負担をかけすぎる。でも桜子にはまだ言っていない。演奏会が駄目になったのも、なんとか子どものためと受け入れることができたところなので。子どもを産まない選択は、桜ちゃんにとってはきついだろうねと杏子。達彦さんごめんね。桜ちゃんの病気のこと気付かんだったんだろう。もっと早く気付いていたらと悔しそうに杏子が言う。桜子の体のこと第一に考えないてと笛子。大事なのはこれ以上病気を悪くしないこと。そう達彦が言う。

蝉の声。横になっている桜子。達彦が調子を聞くと、退屈だと桜子。おとなしくねとらんと駄目だと達彦。教え子たちからの手紙を持ってきた。桜子は起き上がって、うれしそうに手紙を読む。みんな元気になるのまっとるんだ。かんばらんとなと達彦。音楽を聴こうと達彦。桜子は、サニーサイドオブザストリートをリクエストする。桜子の部屋に蓄音機を持ってきて、レコードを二人で聴いている。達彦は桜子の看病を続けた。結婚以来忙しく働いてきた二人には、はじめて訪れた至福の時間。

外への散歩。もうすぐ夏も終わるね、蝉の声はいつまでかな。立ち止まり目を閉じ深く息を吸い込むする桜子。今まで無我夢中で走り続けてきた。こうやって立ち止まると周りのものはみんな輝いている。人生に無駄な時間なんて無いんだよね。焦らず急がず今を楽しまないとと達彦。何もせんでも子どもはちっとずつ育っている。ほだねと桜子。元気になろうなと達彦。

弟勇太郎が東京からやってきた。桜子を見て、思ったより元気そうだ。勇太郎は、帝大から名前の変わった東大で助手をしていて泊まり込みの実験で忙しいと話す。勇太郎が見せたいものがあると、新聞の切り抜きを桜子に渡す。冬吾さんたちの展覧会の記事。それを声を出し読む桜子。冬吾を褒める内容、そのあとにはヤスジを褒める言葉もある。大盛況で、年末には岡崎でもやることになった。絶対行くと桜子。

病院。診察室。医者と達彦がレントゲンの写真を見ている。前回とは別の病院、別の先生。影が前より大きくなっていると先生。奥さんの体のためには、子どものことを考え直さなくてはいけない。もう引き返せん時期に来ている。廊下の椅子で待つ桜子。達彦が出てくると、先生なんだって。よくなったの。うんという達彦。帰ろうと先を急ぐ達彦、その後ろ姿を見つめる桜子。

山長。達彦は一人で部屋で考え込んでいる。何かを決意した顔。桜子が寝ている部屋に向かう。桜子はいない。そこには白い毛糸の編みかけの編み物が置いてあった。戻ってきた桜子に、ちゃんと寝ていないとと達彦。ちゃんと寝とるよ。便所に行ってただけだと、編み物は赤ちゃんのおくるみ。できあがってから見せようと思っていたと幸せそうに話す桜子。真剣な顔で達彦が話を切り出す。子どものことだけど、考え直せないか。えっと驚く桜子。先生に言われた。このままの状態が続くと危ない。桜子はそんなことできない。そんなこと二度と言わんで。この子は生きとるんだよ。私と達彦さんの赤ちゃんだよ。そう涙ぐみながら桜子が反論する。おまえと子どもどっちかと言われたら、俺にとって大事なのはおまえなんだ。そう言われて、編み物を抱きしめる桜子。達彦が部屋から出て行くと、後ろから桜子の泣く声が聞こえ、達彦が振りかえる。桜子は布団に横になり、赤ちゃんを抱くようにその編み物を抱きしめ泣いている。

つづく。


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2006年09月26日

純情きらり(152)

<内容>

布団に気力なく横になっている桜子。達彦が現れ声をかけるが向こうとしない。食事もとっていない。そこに野木山がお客さんですとやってくる。やってきたのは、笛子と杏子と、東京から駆けつけた磯叔母さん。桜子は起き上がって出迎える。「大丈夫か、さくらちゃん」と磯が桜子の顔にくっつくぐらいに近寄って話しかける。赤ちゃんのこときついね。でも自分のためだもんね。今より病気が重くなったら大変。若いからこれっきりじゃないと慰める。桜子も自分に言い聞かせるように。自分の体のためだもんねと言う。

別の部屋。達彦に向かいあう磯と笛子と杏子。笛子が、達彦の判断が正しいと言う。桜子の命が何よりも大事。でも今日の桜子の様子。子どものこと後悔して病気が重くなってしまいかねないと杏子。磯が、子どもができたら是非とも産みたいのが女だもの。自分は周りから反対されてそれでも息子を産んで、よかったと思った。この子のためだったら死ねると思った。理屈ではない。女という生き物は子どもを産んでうれしいんだ。それが好きな人の子どもだったらなおさら。そういう磯の言葉をききながら達彦は考える。

布団で虚しく天井を見ている桜子。達彦は廊下で立ち止まり、それから部屋に入って、桜子の横に座り込む。そして話をきりだす。どうしても子どもが産みたいか。産んでもいいのと桜子。体を起こす。達彦さんがいいちゅうなら、私は産みたい。達彦さんと私の、この命を捨てきれんの。守りたい。桜子の気持ちを聞き、明日先生と話し合おうと達彦。ありがとう達彦さん。達彦は首を少し振って、それからゆっくりうなずく。

病院診察室。医者と桜子が椅子に座り、向かいあって話をしている。出産は体力を消耗するので、病状を悪くしてしまうと医者は否定的な意見。桜子が医者に尋ねる。私は治るんですか。私は子どもを諦めれば治るんですか。医者はどちらとも言えないという。だったら子どもを産みたいと桜子。死ぬ覚悟でちゅうことかねと医者。桜子はきっぱりと私は死にません。子どものために生きたいと言う。ご飯もよく食べて、安静にして養生します。医者は頭をかく。桜子は、自分の後ろに立っている達彦に話しかける。昨日話し合おうと言ってくれてから、自分は元気になれた。おなかの赤ちゃんが私を元気にしてくれているんよ。医者は桜子の決意に動かされ、最終的に決めるのは本人と旦那さんだからと産むことを認める。そして入院して経過を見守らないといけないと入院を勧める。

山長。野木山さんと仙吉さんを呼んで、達彦が話をしている。入院することにした。自分も付きっきりになるので、店のこと迷惑をかけると二人に告げる。そんなこと構わない、店は任せてくれと二人。ありがとうと達彦。
山長の店の前。桜子と達彦が出てくると、あとから店のみんなも出てくる。仙吉が代表して行ってらっしゃいと見送る。

「こうして全力で療養に努めるべく入院した」。達彦、布団を持って病室に入ってくる。ここで寝るのとベッドで寝ている桜子。おまえのそばにおりたいと言いながら、その布団をベッドの横の床に敷く。二人は東京で音楽の勉強に行った最初の日のことを思い出す。最初の日同じ部屋で泊まることになり、覗かないでと真ん中に風呂敷でしきりを作ったことを懐かしがる。夜。桜子がベッドから、床に寝ている達彦の寝顔を幸せそうに覗き込むシーン。昼、桜子はベッドの上でとても幸せそうな顔をして譜面に音符を書き込んでいるシーン。ナレーション「それから桜子は目に見えて活力を取り戻しました」。

そして10月。有森家への一時帰宅が許された。玄関。桜ちゃんお帰り、元気そうじゃないとみんな。ただいまと桜子。そのあと食卓の場面。笛子姉ちゃんの漬け物はおいしいと桜子。桜子は病人には見えないと言われる。達彦はうれしそうに、元気すぎて困るくらいだともらす。笑いのたえない食卓。桜子は杏子におなかに触ってくれと言う。杏子が触ると元気な赤ちゃんになる気がする。桜ちゃんの赤ちゃん、杏姉ちゃんですよとおなかをさすりながら杏子。笛子も自分の席から大声で赤ちゃんに声をかける。すると磯がうるさいおばさんが一杯いますよと。笑いに包まれる。子どもたちがその様子を覗き込む。サチ。カズコ。トオル。それに気づき、ごめんねと桜子。お姉ちゃんのそばに来ると病気がうつるから、病気が治ったら遊ばまいね。子どもたちは仕方なく二階への階段に並んで腰をかけている。二階にいるように言い聞かせていたけれど、桜子の声を聞いたら降りてきてしまった。病院にいたほうが迷惑かからなくてよかったのにと桜子が言うと、みんなは会うの楽しみにしとったからかまわないと。

有森家の庭。冬吾がさびしそうに葉っぱを見ている。桜子がそれに気づき縁側に腰掛けて、展覧会大盛況なんだってと冬吾に声をかける。しかし冬吾は、うかない顔で答える。戦争中明日の命がわからない頃のほうが今よりいい絵が描けてた。今の自分は絞っても水の出てこないぞうきんになった気分だと。弱気にならんで冬吾さんと桜子。冬吾は大きな海みたいな人。潮が満ちるみたいに何かが溢れて、また絵がかきたくなるよと元気づける。すると二階からハモニカのメロディと女の子たちの歌声が聞こえてくる。「うさぎ追いし...」。桜ちゃんに聞かせたいんだな。桜子は二階を笑顔で見つめている。有森家の人たちも次々に顔を出し、子どもたちの「ふるさと」を聞いている。桜子は家族と音楽に包まれる歓びを改めて感じていましたとナレーション。

つづく。


最後の有森家のみんなが顔を出す場面は、先週末「次週予告」で最後に映った場面。予告で順番を変えて場面紹介をするのはよくあること。予告の最後になるくらいだし、とても印象深い場面。


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2006年09月27日

純情きらり(153)

<内容>

二階から桜子のために、トオルのハモニカを伴奏に歌を歌ってくれているカズコとサチ。庭の真ん中で桜子、その横に冬吾、そして残りのみんなも庭に顔を出し聞いている昨日の場面から。

子どもたちの歌を聴きながら、桜子は、家族に囲まれ音楽に包まれていった有森家での日々を思い出していましたとナレーション。桜子は振り返り、お願いがあるだけどと言う。

ピアノの部屋。桜子がピアノの前に座り、「埴生の宿」をひく。ジャズではなく、ゆっくりやさしいメロディで。みんなが後ろに立って聞いている。笛子。杏子。磯。勇太郎。冬吾。浩樹。達彦。ナレーションが、桜子のピアノ、桜子の人生に寄り添い、歓びと悲しみ、別れと出会い、そして再会を見守り続けてきたピアノでした。曲が終わり、とても穏やかな顔して、桜子がピアノをゆっくりと閉じる。そして小さく、桜子はピアノに向かってありがとうとつぶやく。

その年の暮れ、冬吾たちの展覧会が岡崎にやってきた。展覧会会場。入り口には「五人展」の文字。記者に追い回され、冬吾はいい加減にしてくれと怒鳴りつけている。

桜子の病室。医者に脈を診てもらっている。検査の結果がよければ展覧会に行っていいことになっている。行っていいですかと桜子が聞くと、医者はまあまああせらんでとその場では答えずに戻っていく。

医者の部屋。ノックして達彦が入ってくる。お話って何でしょうか。医者はあまり桜子の状態がよくないと言う。今回は外出を許せてもこの先病院を出られんようになるかもしれない。悪くなる可能性が高い、それを覚悟しないといけない。

達彦が桜子の病室に戻ってくると、桜子が何か口ずさみ、微笑みながら譜面に向かって何か書いている。また新しい曲かと達彦。赤ちゃんのための曲と桜子。ピアノがなくてもメロディは浮かんでくると。脇につんである楽譜を手に取りながら、ずいぶん書きためたもんなと達彦。今はこんなことぐらいしか、赤ちゃんのためにしてやれないと桜子。達彦が、早く体を治して帰ろう。一緒にピアノ弾こう。早く子どもの顔が見たい。そんなことをいう達彦に、何かあるなら言って、私の体のこと? 達彦はそんなことはないと否定する。ずいぶんがんばったなと思ってと。

「五人展」会場。「かんぱーい」。笛子と四人の画家が、テーブルにお酒を出してお祝いをしている。五人展の五人とは、冬吾。八州治(ヤスジ)。八重(ヤエ)。ヤスジとヤエは終戦後に有森家に立ち寄った二人。磯の息子の和之。そして、八重の子どもの父親で、戦死した守田。
それにしてもお客さん入った。みんな芸術に飢えているからだ。絵描きにとっていい時代が来た。一人離れていった冬吾に近づいてヤスジが飲めよと声をかける。海外渡航が自由になったら、パリに行くと言い出すヤスジ。すると冬吾。いいなおめえは逃げるとこがあってと言う。そして急に冬吾が歌うぞとみんなのところにやってきて、「猫じゃ猫じゃ」を歌い出す。みんな盛り上がる。

夜中。橋の上を酔っぱらった冬吾がひとり歩いている。画面一杯の大きな満月。まんどろだな。危なっかしく欄干にのぼる。そして月に向かって手を伸ばす。足下がおぼつかない。眠いのか目を閉じてしまう。あっと叫ぶと、どぼん。

ベッドで寝ている桜子が目を開く。床で寝ている達彦を見る。病室の窓は開いている。桜子は何か不安な顔をして、外を眺める。

病院の廊下を運ばれていく冬吾。笛子が寄り添って、冬吾冬吾と叫び続ける。病室。杏子もやってくる。笛子は最悪の場合も考えてくれと言われたと伝える。現れた先生に笛子が聞くと、最善は尽くしますとだけ。もちろん桜子とは別の病院。

桜子の病室。風がカーテンを揺らす。桜子が目を開ける。すると右手に冬吾が立っている。冬吾さんと声をかける。何も言わず冬吾は離れていく。廊下。下駄を履いた冬吾が背中を向けながら歩いていく。その後ろから桜子が追いかける。冬吾さん、また逃げるの。駄目だよ逃げちゃ。そうやってすぐに楽になろうとするんだから。冬吾さんはここにおって、笛子姉ちゃんと加寿子と亨のそばにおって。冬吾さんがおらんようになったら、お姉ちゃんは寂しくて死んじゃうよ。

冬吾のベッド。目を閉じている。横には笛子と杏子が冬吾の顔を心配そうに見つめている。最初天井からの病室の全景、三人が映っている。それが冬吾の顔にズームする。まるで魂が降りてくるようなカメラの動き。冬吾が目を開ける。笛子が声をかける。笛子と冬吾が口を開く。夢見てたんだな。真っ暗の川を泳いで渡っていた。おめえとトオルとカズコの顔が浮かんできた。振り払っても振り払っても消えない。冬吾冬吾とおめえの声がうるさくて。うるせえな、おめえは。冬吾がそう言うと、バカと言って笛子が叩く。隣の杏子が二人をやさしく見つめる。

再び桜子のベッド。空が白み始めたのか病室は少しだけ明るくなっている。桜子が目を開ける。さっきの目が覚めるシーンは夢の中の出来事でこちらが本物という印象。桜子は床の布団に寝ている達彦のほうを見る。達彦も気がついて起きる。どうした眠れんのかと桜子を心配する。何でもないと桜子。ねえ達彦さんと話しかける。命ってどっから来ると思う。私はね。空から来るような気がしてならんの。太陽や月や星が輝いているところから。

つづく。


posted by takayan at 13:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 純情きらり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月28日

純情きらり(154)

<内容>

桜子に冬吾たちの展覧会に行く許可がやっと出た。おなかもかなり大きくなっている桜子がベッドに腰掛けて外出を待っている。病院の廊下。車いすを運んでいく医者と達彦がいる。達彦に対して。前にも言っておいたが、これが最後かもしれんよ。ゆっくりと羽を伸ばしてきなさいと先生。

展覧会会場。桜子は車いすを押してもらいながら、マロニエ荘の仲間に囲まれて一つ一つ絵を鑑賞する。和之の絵の前。和之さんらしい明るくて元気な絵。ヤスジの絵。アメリカ兵の靴磨きをする少年の絵。筆を折ろうかと思っていたが、諦めずに書いていくことにしたとヤスジ。八重の絵。焼け野が原に一輪の花が咲いている絵。どんなに売れなくなっても、こういう絵を書き続けたいと八重。桜子見てごらんと達彦がある方向を指す。冬吾の絵。絵の前に移動する。この絵の前には人が集まる、この絵の中のあんたは輝いとるもんねと笛子。冬吾が会場に現れる。みんなが冬吾が来たことに驚いているのを見て、冬吾さん何かあったのと達彦。桜子はわかってるという顔で冬吾を見ている。笛子が冬吾が死にかけた時のことを説明する。真っ暗の川を泳いで、笛子と子どもたちの顔が浮かんできたというおかしな体験を冬吾が話す。とぼけた話をする冬吾に横っ飛びで体当たりをくらわす笛子。病み上がりをどつくなと冬吾。みんなに笑いが起きる。よかったねお姉ちゃん、冬吾さん。桜子、目に涙をためて、なんだかうれしくなっちゃって、みんなを見ていてもっと元気になれるような気がしてきた。頑張ってくださいと声がかかる。

昭和23年3月。桜子の病室。桜子はベッドに横になっている。いよいよ出産だねと医者。前にも言っといたが赤ちゃんは出産後別室で様子を見ることになる。抱いたりはできないと先生。先のことはこっちに任せて、安心して元気な子を産むことだ。医者は部屋を出ると今までの柔らかな表情から急に固い表情に変えた。

病室に一人桜子。五線紙ではなく、ノートに何か書いている。とても優しい表情。開けている窓から桜の花びらが入ってくる。

桜子の出産の日がやってきた。手術室に運ばれる途中の桜子を、達彦と笛子と杏子が囲んでいる。俺がついとるからと達彦。桜子大丈夫と笛子。そんなに心配しんで、産むのはあたしなんだからと桜子。そこに東京から磯が駆け付ける。桜ちゃんの赤ちゃんが生まれてくるところを真っ先に見たいからと。安産のお守りを桜子に持ってきた。それを枕の下に入れる。ありがとうおばさんと桜子。がんばって。

手術室の前。赤いランプがついている。赤ちゃんは帝王切開で取り出されることになっていた。みんなは心配しながら待っている。磯は自分に言い聞かせるように大丈夫大丈夫とみんなに言っている。

達彦がさっきまで桜子が寝ていた誰もいない病室にやってくる。ベッドの上には表紙に何も書かれていない一冊のノートが置いてあった。最初のページを開くと、桜子が考えていた子どもにつける名前がいくつも並んでいた。その後のページに、「まだ見ぬあなたへ」とタイトルがあり、お母さんの人生をあなたに知っておいてもらいたいとこのノートを書いた動機が書いてあって、そのあと桜子の人生について何ページも書かれていた。達彦は涙ぐみながらをそれを読んでいった。ノートだけでなく、楽譜もあった。「まだ見ぬ子へ」、「輝ける日々」....。そこに杏子が病室にやってきた。達彦が言う。あいつこんなこと書きためとったんです。見てください。曲もこんなに作って。何もかも覚悟しとったんです。こんなにして毎日刻みつけるようにして。

手術室の前。ランプが消える。みんながあっと叫ぶ。ドアが開き、目を閉じている桜子が出てくる。達彦が大丈夫か桜子と心配そうに声をかける。眠っているだけですよと看護婦。ほうだわねとみんなほっとする。桜子が看護婦に運ばれるのを見送った後、赤ちゃんはと笛子。すると、手術室から赤ちゃんを抱えて看護婦が出てくる。男のお子さんですよ。達彦が赤ん坊を抱く。いい子だ。お父さんだよと達彦。よく頑張ったねと笛子。よく産まれてきたと杏子。元気そうな赤ちゃん、桜ちゃんよく頑張ったねと磯。桜ちゃん目が覚めたら見せにいかんとね。すると、それはできんのですと達彦。子どもは抵抗力が弱いから。桜子は承知しております。

桜子が寝ている病室。達彦がやってきて、おめでとうと言うと、桜子が目を開ける。よく頑張ったなと達彦。赤ちゃんは?と桜子。元気だよ。男ん子だ。可愛い顔しとった?髪の毛は生えとった?結構ちゃんとしとるよ。達彦さんに似とったでしょう、見なくてもわかるんだと微笑みながら桜子。名前輝一にしようと達彦。輝くに数字の一。いいね輝一、きいっちゃんとやさしく名前を呼ぶ桜子。

有森家の部屋で笛子が輝一の面倒をみている。冬吾は輝一をモデルにスケッチをしている。輝一は有森家に引き取られ、笛子は冬吾とともに岡崎に残った。

闘病中の桜子の様子。達彦の献身的な看病にもかかわらず、出産後の病状は一進一退を繰り返していた。

有森家のピアノの部屋。達彦がピアノの前にいる。その後ろに笛子が輝一を抱いて座っている。お母さんがお前のために作った曲だと達彦。弾き始めると、その曲はこのドラマのテーマ曲。

その音楽の流れる中。病室で幸せな顔をして眠っている桜子。ナレーション「桜子は幸せな夢を見ていました。わが子をわが胸にかき抱く夢を」。

つづく。


posted by takayan at 17:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 純情きらり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

純情きらり 残り二話

昨日の桜子の有森家でのピアノの場面は桜子自身もこれでお別れという覚悟でみんなに聞いてほしかったんだろうな。桜子の弱り方は見ていてとてもつらい。最後まで直視できないかもしれない。いろいろ予想を裏切られてきたから、最後の最後でまた何かあって裏切ってくれるのかもと期待したいところだけど、それはないんだろうな。でも登場人物と一緒に桜子の快復を心から祈り続ける。そうやって、残りの二話を見ていこう。

心おきなく最終回を見ることができるよう。公式ページをストーリーから何からいろいろ読み返してみた。
このブログにたどり着くような人は、たいていチェックしているだろうけど、念のためリンク張っておきます。
純情きらり(NHK公式)
純情きらり(NHK名古屋放送局)


特に感慨深かったのは、やっぱりトピックの「クランプアップ」のページ。最初にくす玉の画像が出てくるけど、桜子(宮崎あおい)と一緒にくす玉を割っているのは、なかを読んでいくとわかるけど、脚本の浅野妙子さん。進んでいくと、記者会見での役者さんたちの言葉が出てくる。撮影はもう終わっていて、もうすぐ放送も終わるんだなと思い知らされる。皆さんお疲れ様でした。
クランクアップ(NHK純情きらり)

名古屋放送局のみどころのページにある脚本の浅野妙子さんの言葉も今読み返すとぐっと来る。最終週に来てこのドラマまさしく「女の命の賛歌」だ。最終回は一生消えない「爪痕」残っちゃいそうだ。


今日の桜子のノートには大正九年生まれと書いてあったから、西暦だと1920年生まれということになる。みんなの祈りが通じて、健康に日々を暮らしてくれたら、桜子は2006年の今年は86歳。立派なおばあちゃん。ドラマは現在昭和23年。輝一は今年58歳になる。こちらにしてもいい歳をした団塊世代のおじさんだ。改めて考え直してみると、このドラマの舞台はとても昔の出来事だけど、でもその頃の人たちもちゃんと今の時代に生きていてるそんな物語なんだ。

桜子が輝一のために作った「まだ見ぬ子へ」という曲はこのドラマのテーマ曲だった。それはこのドラマ全体が、あの輝一に伝えようと書いたノートにつづられた桜子の人生だったという意味にもなるのだろうか。ドラマの語りが桜子自身ならばより完璧な構造になるのだろうけどね。毎日毎日のあのテーマ曲が、桜子の子どもを思う気持ちを表した曲だというのは、とても合っていると思う。だって、あのオープニングの曲とともに浮かんでいる音符は有森家の四きょうだいだから、そういう愛情を表すメロディーだというのはとてもぴったりする。マサお母さんの優しい語りというのも桜子への同じ視点のものだから、このドラマはそういう愛情に包まれた物語だということを、このテーマ曲の秘密が強調してくれた。

ああ、それにしてももうすぐ終わってしまう。心に穴が開くだろうな。


posted by takayan at 23:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 純情きらり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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