達彦の心の重みを分け合っていこうとする桜子。
昭和21年3月。山長を訪ねる桜子。達彦の様子を野木山に聞くと落ち着いてきたが、店の仕事はまだだと答える。桜子に聞こえるように、仕事をしようとしない達彦に文句を言う職人もいる。
達彦の部屋に行くと、達彦は荷造りをしていた。戦友の家を回らないと、心の整理がつかない。桜子はそれを見て、達彦が自力で歩き出すのをまとうと思う。
学校。桜子は女の子たちにピアノを教えていた。そこに校長先生がきて二人で話をする。復員してきて復職してくる正規の先生がいるので、代用教員の桜子に辞表を提出してもらいたいとの話だった。
マルセイユ。秋山さんも来ていた。さっそく二人で演奏する。曲は「オン・ザ・サニーサイド」。マスター・ヒロは楽しそうに見守っている。演奏が終わると、秋山はやっぱり桜子が東京に出て行かないのはもったいないと言う。桜子は教師を続けられないかもしれないと漏らす。その言葉に秋山は喜ぶ。
場面は変わって、達彦。戦友の家。達彦は正座して深々と頭を下げる。「わたしだけおめおめと生き残ってしまいました。」と言う。目の前には戦友の両親が座っている。母親が涙を流しながら小さな遺品を手にする。つらそうな達彦。
マルセイユ。ヒロと桜子が話している。達彦はまだマルセイユに来ないらしい。音楽をさけているのではないか、そう心配している桜子に対して、マスターは少しおどけてやわらかくして、岡崎を離れられないのは達彦さんが心配だからかなと言う。
桜子が帰る途中、空き地に腰を下ろしている達彦を見つける。並んで座って、ご遺族はと聞くと、達彦は、「みんな喜んでくれる。良く伝えにくれたと感謝してくれる。でも年老いた親御さんに泣かれるとつらくなる。若山の姉が言った『あなたには未来があるが、弟にはない』という言葉が思い出される。生きていることが申し訳ない。」
そんな達彦に対し、桜子は夕空を見ながら、「きれいな夕空は戦争前と何も変わっていない。達彦さんは生きて帰ってきてよかったとみんな思っている。マルセイユのヒロさんもそう。ピアノやレコードも達彦を待っている。」とやさしく語りかける。
家のピアノの前。学校のことを悩んでいた。ももこ姉ちゃんがお茶をもってきた。桜子は学校を辞めないといけないことを話し、今は目の前の演奏会を一生懸命やるしかないねと気分を切り替える。
そこに、玄関を叩く音。二人が玄関に駆けつけると、入ってきたのは冬吾。「誰にもここに来たことは言うな」といいながら倒れ込む。
純情きらり(140)へ つづく