2006年09月23日

純情きらり(150)

<内容>

病院で桜子が懐妊したとわかった場面のおさらい。そのあと。

有森家。夜。カズコが眠っている。冬吾が子どもたちの面倒を見ていて、さき始めてくれと。隣の部屋では、お祝いが始まろうとしている。笛子と杏子家族、そして桜子と達彦。おめでとう。みんなで乾杯。どんどん食べてねと笛子。ほんとに幸せだね。好きな人と一緒になれて、子どももできて、好きな音楽もおもいっきりやれてと笛子。もうしわけないぐらいと桜子。おじいちゃんがもう少し長生きしてくれたらと笛子が残念そうに言うと。それを言ったら山長のお母さんもと桜子。
食の進まない桜子を見て、笛子がごはんがいけないね桜子と気遣う。杏子。つわりがきついんだね。休みたかったら横になって休んだほうがいいよと杏子も気遣う。お姉さん一度お聞きしたかったんですが、と杏子に向かって達彦。演奏会やっていいんでしょうか。桜子は、自分はぴんぴんしている平気だと言う。きつくない大丈夫。桜子は、おなかの子のためにも頑張りたいという。もともと助産婦さんの杏子は言う。安定期の五ヶ月が過ぎるまでは無理はしない方がいい。一日二時間までにしたほうがいい。がんばり過ぎんこと。しっかり食べて寝ること。そう注意する。

山長で、ピアノを練習している桜子。日に二時間の制約を守ることは桜子には難しい。もう時間になったよと達彦が入ってくる。三時間になる。やめろよ。おなかの子のことと自分の体のことを一番に考えろ。演奏会なんていつでもできる。あきらめられんのかな、演奏会。そこへ女中さん。「あの、お客さんが。」と桜子を呼びに来る。東京から、斉藤直道さんが。

店先に出てきて、先生と桜子。お久しぶりと斉藤が挨拶する。夢みたいだと斉藤。どうしてこちらにと桜子。名古屋に寄った店でこれをとチラシを見せる斉藤。ご主人ですかと達彦を見て、はじめましてとあいさつをする。奥へというと、ここで結構です。お元気な姿を見られただけでと斉藤。

店先にあるテーブル。桜子と斉藤が座る。先生はどうされているんですかと桜子。今東京で物理を教えている。理系だったので徴兵もされずにすんだ。ご結婚は?結婚した。尻に敷かれっぱなし。奥さんは、磯叔母と笛子姉を足して二で割ったような人。あの帽子が見つかってえらいことになった。この帽子を見て妹を思い出してくださいと笛子さんにそう言われて持っていたと。もともと物を捨てられないたちと言い訳をする。それを娘にゆずろうと思っている。一歳の娘。幸せなんですねと桜子。桜子さんもですよねと斉藤。はいと答える桜子。このチラシを見たときはうれしかった。あなたは音楽への志を捨てずに、長い年月を生きていらしたんですね。

昔の場面。列車を追いかける制服姿の桜子。立ち止まり先生と叫ぶ。桜子と斉藤が向き合って、あなたは音楽だけはあきらめちゃいけない、つらくても後ろを振り向いてはいけないと斉藤が言う。ふたり握手をする。肩を落としている桜子に笑ってくださいと斉藤。微笑む桜子。

現在の場面。覚えていますかと斉藤。音楽だけはあきらめるなと言ってくれたと桜子。店の中にいてその会話が聞こえている達彦の微妙な表情。斉藤がうれしそうに、桜子さんよかったですね。ぼくはうれしい。ほんとにうれしいです。再び達彦の表情。斉藤を見ながら、微笑む桜子。

斉藤、帰る。桜子と達彦が店の前で見送る。店に入ると、達彦が桜子に声をかける。「おまえやっぱり頑張れ、演奏会。」そんなこと言われんでも頑張るだろうけど、気がついたんだ。たった一人で音楽をやってきたわけではない。お母さんやお父さんや先生や、いろんな人の思いを引き受けて、今ピアノの前におるんだ。簡単に諦めろと言って悪かった。悪いと言った達彦に気にしなくてもいいというふうに首を振りながら、自分を理解してくれた達彦に微笑む桜子。

そして演奏会当日。山長でピアノの練習をしている桜子。ドアから入ってくる達彦に、桜子はもうすぐ終わるからと言う。達彦はここで聞いとるからと、ピアノに背を向けた椅子に座る。ピアノを弾いている桜子の指が映しだされる。何かおかしい。つらそうな顔で弾き続ける桜子。桜子は鍵盤に倒れ込み、そのまま床に落ちる。達彦、桜子を体を抱えながら何度も何度も名前を呼び続ける。

診察室。医者と達彦。先生、おなかの子は大丈夫ですか。今のところは大丈夫だと医者。それより大きな問題があると、後ろに掲げたレントゲン写真で説明をはじめる。達彦はそれを真剣な顔で聞いている。

病室。桜子がベッドに横になっている。達彦が入ってくると、桜子は今何時、本番の時間に間に合わないと体を起こす。達彦は落ち着いて聞いてくれと椅子に腰掛ける。今日の演奏会はできない。できなくなったと達彦。どうしてと桜子が聞く。気分が悪くなっただけ、たぶん貧血。妊婦にはよくあることなんともないと桜子。それを遮り、何ともなくないんだと達彦。なんともなくないんだよ。悔しそうに言う達彦。もっとはやく気付かなかっただろうかと達彦。心配そうに達彦に声をかける桜子。そして達彦が言う。結核なんだ。おまえは結核にかかっとると医者に言われた。それを聞き、桜子は涙を落とす。

つづく。

次週予告。今回はナレーション無し。
車いすで絵画展に現れる桜子。
月に手を伸ばし、足を滑らせる冬吾。
病院に担ぎ込まれる冬吾。
医者(平田満)に、私は死にませんと言い切る桜子。
赤ちゃんのフィルム映像、ベッドでそれを見、その姿に触れようとする桜子。
最後に桜子のセリフ「お母さんの人生には素敵なことが山のようにあった。輝きのない人生なんてない。さびしいときはピアノを弾いてごらん。」
有森家の庭に立つ桜子、まわりに有森家のみんな。
希望に満ちた桜子の笑顔。


posted by takayan at 12:33 | Comment(4) | TrackBack(0) | 純情きらり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする