2006年09月27日

純情きらり(153)

<内容>

二階から桜子のために、トオルのハモニカを伴奏に歌を歌ってくれているカズコとサチ。庭の真ん中で桜子、その横に冬吾、そして残りのみんなも庭に顔を出し聞いている昨日の場面から。

子どもたちの歌を聴きながら、桜子は、家族に囲まれ音楽に包まれていった有森家での日々を思い出していましたとナレーション。桜子は振り返り、お願いがあるだけどと言う。

ピアノの部屋。桜子がピアノの前に座り、「埴生の宿」をひく。ジャズではなく、ゆっくりやさしいメロディで。みんなが後ろに立って聞いている。笛子。杏子。磯。勇太郎。冬吾。浩樹。達彦。ナレーションが、桜子のピアノ、桜子の人生に寄り添い、歓びと悲しみ、別れと出会い、そして再会を見守り続けてきたピアノでした。曲が終わり、とても穏やかな顔して、桜子がピアノをゆっくりと閉じる。そして小さく、桜子はピアノに向かってありがとうとつぶやく。

その年の暮れ、冬吾たちの展覧会が岡崎にやってきた。展覧会会場。入り口には「五人展」の文字。記者に追い回され、冬吾はいい加減にしてくれと怒鳴りつけている。

桜子の病室。医者に脈を診てもらっている。検査の結果がよければ展覧会に行っていいことになっている。行っていいですかと桜子が聞くと、医者はまあまああせらんでとその場では答えずに戻っていく。

医者の部屋。ノックして達彦が入ってくる。お話って何でしょうか。医者はあまり桜子の状態がよくないと言う。今回は外出を許せてもこの先病院を出られんようになるかもしれない。悪くなる可能性が高い、それを覚悟しないといけない。

達彦が桜子の病室に戻ってくると、桜子が何か口ずさみ、微笑みながら譜面に向かって何か書いている。また新しい曲かと達彦。赤ちゃんのための曲と桜子。ピアノがなくてもメロディは浮かんでくると。脇につんである楽譜を手に取りながら、ずいぶん書きためたもんなと達彦。今はこんなことぐらいしか、赤ちゃんのためにしてやれないと桜子。達彦が、早く体を治して帰ろう。一緒にピアノ弾こう。早く子どもの顔が見たい。そんなことをいう達彦に、何かあるなら言って、私の体のこと? 達彦はそんなことはないと否定する。ずいぶんがんばったなと思ってと。

「五人展」会場。「かんぱーい」。笛子と四人の画家が、テーブルにお酒を出してお祝いをしている。五人展の五人とは、冬吾。八州治(ヤスジ)。八重(ヤエ)。ヤスジとヤエは終戦後に有森家に立ち寄った二人。磯の息子の和之。そして、八重の子どもの父親で、戦死した守田。
それにしてもお客さん入った。みんな芸術に飢えているからだ。絵描きにとっていい時代が来た。一人離れていった冬吾に近づいてヤスジが飲めよと声をかける。海外渡航が自由になったら、パリに行くと言い出すヤスジ。すると冬吾。いいなおめえは逃げるとこがあってと言う。そして急に冬吾が歌うぞとみんなのところにやってきて、「猫じゃ猫じゃ」を歌い出す。みんな盛り上がる。

夜中。橋の上を酔っぱらった冬吾がひとり歩いている。画面一杯の大きな満月。まんどろだな。危なっかしく欄干にのぼる。そして月に向かって手を伸ばす。足下がおぼつかない。眠いのか目を閉じてしまう。あっと叫ぶと、どぼん。

ベッドで寝ている桜子が目を開く。床で寝ている達彦を見る。病室の窓は開いている。桜子は何か不安な顔をして、外を眺める。

病院の廊下を運ばれていく冬吾。笛子が寄り添って、冬吾冬吾と叫び続ける。病室。杏子もやってくる。笛子は最悪の場合も考えてくれと言われたと伝える。現れた先生に笛子が聞くと、最善は尽くしますとだけ。もちろん桜子とは別の病院。

桜子の病室。風がカーテンを揺らす。桜子が目を開ける。すると右手に冬吾が立っている。冬吾さんと声をかける。何も言わず冬吾は離れていく。廊下。下駄を履いた冬吾が背中を向けながら歩いていく。その後ろから桜子が追いかける。冬吾さん、また逃げるの。駄目だよ逃げちゃ。そうやってすぐに楽になろうとするんだから。冬吾さんはここにおって、笛子姉ちゃんと加寿子と亨のそばにおって。冬吾さんがおらんようになったら、お姉ちゃんは寂しくて死んじゃうよ。

冬吾のベッド。目を閉じている。横には笛子と杏子が冬吾の顔を心配そうに見つめている。最初天井からの病室の全景、三人が映っている。それが冬吾の顔にズームする。まるで魂が降りてくるようなカメラの動き。冬吾が目を開ける。笛子が声をかける。笛子と冬吾が口を開く。夢見てたんだな。真っ暗の川を泳いで渡っていた。おめえとトオルとカズコの顔が浮かんできた。振り払っても振り払っても消えない。冬吾冬吾とおめえの声がうるさくて。うるせえな、おめえは。冬吾がそう言うと、バカと言って笛子が叩く。隣の杏子が二人をやさしく見つめる。

再び桜子のベッド。空が白み始めたのか病室は少しだけ明るくなっている。桜子が目を開ける。さっきの目が覚めるシーンは夢の中の出来事でこちらが本物という印象。桜子は床の布団に寝ている達彦のほうを見る。達彦も気がついて起きる。どうした眠れんのかと桜子を心配する。何でもないと桜子。ねえ達彦さんと話しかける。命ってどっから来ると思う。私はね。空から来るような気がしてならんの。太陽や月や星が輝いているところから。

つづく。




posted by takayan at 13:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 純情きらり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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