2007年01月29日

『ハウルの動く城』感想

寝る前、NHKで久石譲の番組があっていた。いい曲ばかりだ。ずっと聞いていた。

NHK番組情報
アジアの風に吹かれて〜作曲家・久石譲の世界〜

チャンネル :総合/デジタル総合
放送日 :2007年 1月28日(日)
放送時間 :翌日午前0:40〜翌日午前1:25(45分)
ジャンル :音楽>ライブ・コンサート

関連して、番組予告の情報

久石譲コンサート アジアンエクスタシー
チャンネル :BS2
放送日 :2007年 2月 3日(土)
放送時間 :午後3:30〜午後5:00(90分)
ジャンル :音楽>ライブ・コンサート



その中でハウルの曲もやっていた。そう言えば、半年前にハウルのこと書いて、結局ここに投稿していなかった。そういうわけでまた投稿し忘れるかもしれないので、今投稿。


映画館に行かなかったし、DVDも見なかったので、「ハウルの動く城」は先日のテレビ放映が初見だった。思ってたより良かったので、なんか感想を文章にしたくなった。情報源はこの放送なので解釈が間違っているかもしれない。それにネタバレがあるので、まだ見てない人は読まないほうがいい。

「ハウルの動く城」って結局何が言いたかっただろうと、見終わっていろいろ考えてしまった。いろんな人が出てきて、いろんな呪いがあって、いまいちよく分からなかった。戦争ってあんな簡単に終わらないでしょうとか、呪いはどうして解けたのとか、いろいろ疑問が残ってしまった。だからもう一度見直してみた。するとあっさりわかってしまった。分かった気分になれただけかもしれない。見直さないと分からないのは僕の理解力のせいもあるんだけど、セリフの聞き取りにくさにもある。よく見るとちゃんとヒントしゃべってるから、話の流れが分かって、疑問を持ってから見直せば、納得がいく。そうしてみると、こんなふうに見終わってみて考えさせてくれる点だけでも、この映画もなかなかいいなと思った。宮崎アニメで一番好きとは言えないけれどね。良作だと思う。

ソフィーが90歳の老女になるというのは、女性としての表面的な魅力を失ってしまうということ。そこには、女性としての魅力って一体なんだろうという問いかけがあるんだろう。でも90歳の老女となったソフィーは決して、魅力を失った人とは描かれない。様々な者達に慕われ、彼らを惹きつけ、ハウルの城を賑やかな家庭に変えていく。それは彼女が老人だからではなく、ソフィーその人の性格もあるだろう。だって若い女の子が一晩でおばあちゃんになってしまったというのに、その立ち直りの早さ!老人になることでものの考え方も変わったと本人も語っているけど、そこにはソフィーだからこそということが、最初の短い彼女の実年齢時の描写に描かれていると思う。帽子屋での地味な仕事に真剣に取り組んでいる姿は、その姉とは対比的な人気者の妹からは批判されるけれど、今何が重要なことなのか自分が何をすべきなのかソフィーがちゃんと考えることができる人間であることをあらわしている。
ソフィーは呪いが解けていないはずなのに、ときどき若々しい表情に戻る。眠っているときも呪いは解けているように見える。これってどういうことなのかなと疑問に思う。これはよくわからなかった。

一方のハウル。誰にもできない魔法と、そして女性を虜にする美しさを兼ね備える若者。礼儀作法も申し分ない。また一人で戦場に出かけていき、勇気や正義感にもあふれている。でも彼には大事な何かがかけている。このままでは彼は恐ろしい存在になってしまう。次第にそれがわかってくる。同じ城の中に住むことで、そしてソフィーだからこそ見ることができた、彼の弱さ。彼の純粋さの理由も見えてくる。彼は自分の寝室のいろいろな品物を指して、それらが自分の臆病さから守るためのものだと告白する。彼を守るためのものは、寝室のものだけでなく、この城の中にあるものすべてがそうなんだろう。いや、それだけでなく、この奇妙な動く城そのものも、そして今の彼自身も、そうなんだと思える。カルシファーを手に入れるに至った理由も、結局は自分を守る力がどうしてもほしかったからだ。
彼は自分のために魔法を使う男だったが、ソフィーとの出会いによって、人のために魔法を使うようになる。彼は彼自身でも、ソフィーの存在を通じて自分の失ってしまったものを取り戻しつつある。

物語の中心にある大きな謎に、ハウルと火の悪魔カルシファーの間に結ばれた契約がある。この契約の場面をソフィーは覗くことができた。これは実際にその過去の時間に行ったのか、それともその記憶に触れることができたのか、わからない。けれど、彼女はそれを知ることができた。その人のことを深く愛し、救いたいと心から願ったからという理由で十分だと思う。

水をかけたら、死んでしまうはずのカルシファーもソフィーの水では死ななかった。それは何よりもソフィーに純粋な気持ちがあったからだ。自分をこんな境遇に陥れた最も憎むべきはずのおばあさんを必死になって助けたいと願う気持ちでは、誰の命もなくなりはしない。人の命を心から大切に思う気持ち、そして同じように自分を心から大切に思ってくれる人への感謝の気持ち、この単純な気持ちを失わずに皆が生きていければ、世界はすぐにでも幸せで満たされるのではないかという希望を最後にうったえている、そう思った。戦場の中心ではなく、どことも知れないところを走っている、鎧のはがれた動く城だった物の上で、愛する人の復活と、そして戦争の終結に結びつく出来事が起こるというのは、決して偶然ではないだろう。

誰もが呪いをかけられた人生を生きている。世界そのものにだって呪いがかけられている。でも、それが自分の行動が招いたことなのか理不尽にかけられたことなのかは問題ではないんだ。みながソフィーのように生きることができれば、この呪いに喩えられるそれぞれにとっての何かを克服していくことができるのではないか。そんな気持ちにさせられた。呪いが解けた後も、ソフィーの髪の色は元のようにはならなかった。けれどハウルはそれを褒め称えた。呪われていた月日の名残も、彼女自身の大切な人生の一部に他ならない。


posted by takayan at 08:32 | Comment(2) | TrackBack(0) | 映画・ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする