せっかくなのであらすじを書こう。
知りたくないときは読まないで。
第37部 水戸黄門 第10話『死ぬな!風の鬼若!!』(能代)
TBS系列 2007年6月11日20時〜
とうとう、風の鬼若とお別れの回。
先週から、アキが黄門様のことジイジと呼ばなくなったり、そんなアキ様の成長ぶりを鬼若が優しいまなざしで見つめている場面があったりと、着々と別れのときが近づていた。
冒頭からアキ様と鬼若中心で物語が始まっていく。二人のセリフの中に「風車」という言葉が出てくるところあたり、話上共演できない二人のバトンタッチの意味を込めた演出だろう。
アキ様と鬼若は秋田の山の守人をしているアキ様の母方のおじいさんに会いに、黄門様御一行とは別行動。
しかしおじいさんは山中で何者かに襲われ、生きて会うことができなかった。
アキはおじいさんをおくるときも、涙一つ流さない。
それがアキがいままで鬼若と一緒の旅の中で、強く成長してきた証でもある。
不幸を知った御一行も村に合流するが、みんなは気丈なアキを見て強く成長していることを思いながらも、その心の底の悲しみを察している。
鬼若は、アキの祖父をおくった後、小さな仏像を彫り始める。
それを見つけたアキが問うと、アキ様はいつかは成長して自分から離れるのだから、そのとき自分の身代わりとなるものだという。そしてこれはまだ完成していないので、渡せないという。
町に入ったとき、行方知れずになる者がいるらしいとの情報を知っていた老公たち。今回のおじいさんの死もそれと関係あるんではないかと探索を始める。格さんとお娟は山に潜入しようとするが、お娟は腕に矢を受け深傷を負ってしまう。
傷の癒えないお娟を残して、御一行は町と山に別れて探索を続ける。
老公は、悪党たちが出入り禁止にしてある札山の杉の木を勝手に伐採して私腹を肥やしていることを突き止める。
しかし老公は、敵の屋敷で捕まってしまう。
黄門様と引き離された格さんと新助は、蔵の中で縄で縛られ身動きができない。
唯一の頼みの綱は、敵の用心棒として入り込んでいる助さんだが、今は助け出す機会をうかがっている。
いつもの頼もしい味方が、バラバラになってしまって、黄門様御一行がこんな危ない状況になるなんてそうあることじゃない。
そんなときだからこそ、起きてはならないことまで起きてしまう。
山の方では、アキと鬼若、そしておじいさんの手下だった三人が、仇をとるために、あやしい札山に乗り込んでいた。敵の忍者たちは手強く、アキの味方は一人また一人とやられてしまい、アキと鬼若も離ればなれになってしまう。
鬼若の目前に夜叉王丸が現れる。夜叉王丸は昔は鬼若と因縁の対決を繰り返してきたが、今は時として協力し合う仲となっている。
夜叉王丸は抜け忍を探しにこの山まで来ていた。鬼若がアキと五郎太が一緒にいることを夜叉王丸に告げると、すぐに駆け付けろと鬼若に忠告する。
夜叉王丸は老公にこの山で起きていることを知らせに向かった。
町では格さんが縄を抜け、動けるようになったお娟もかけつけ、助さんも雇い主を裏切って、いつもの立ち回り、そして印籠。いつもならばここでめでたく終わるのだけど、終われるわけがない。そこに夜叉王丸が現れる。
鬼若が駆け付けたときアキは無事だった。
アキが鬼若の言うことを聞かなかったことを詫び、そしていつまでも自分の元にいてくれと頼む。
鬼若はその言葉に心からうれしそうな顔をみせる。
その瞬間突然の銃声で、鬼若が崩れる。五郎太は味方を装って、二人の隙を狙っていたのだ。
今までアキと一緒に行動していたこの五郎太こそ、実は敵方の忍びの首領であった。
鬼若は深傷を負いながらも、アキまでも亡き者にしようとしているその相手と必死に戦い続ける。
御一行もようやく争っている二人が見えるところまで駆け付けるが、一足遅く、鬼若と五郎太がもみ合ったまま崖から落ちて激流にのまれてしまう。普通じゃ助からないが、でも鬼若だったらもしかすとると。そんな期待を残しながらの最後だった。ただそのあとの夜叉王丸のアップは何か意味ありげだった。ただ力を認めた鬼若の死を悼んだだけかも知れない。
屋敷の中、老公とアキの二人。アキの前には鬼若の彫っていた仏像が置いてある。
アキはここに残って、鬼若が仕上げていない仏様を彫りに帰ってくるのを待つと言う。
老公は一緒に旅に出ることを説得しない。アキの思うとおりにするがよいと言う。ただアキに、一人ではなく自分たちがいることを忘れないでほしいと話す。老公の優しい言葉に、気丈なアキも老公に抱きつき泣き崩れる。
鬼若とアキの回想シーン。最初のまだ肩にちょんと乗るくらいの小さな頃のアキ様。鬼若の乗り越えてきた様々な戦いの場面。そしてもう肩には乗らずに自分で歩くと宣言したときのアキ様と鬼若の笑顔。
アキを一人残していくのが心残りの御一行は足取りも悲しげ。
しかし山道を曲がるとそこにアキが現れ、お供に加えてほしいと願う。
老公が、それでいいんじゃなとアキに問う。アキは、鬼若は追いかけてきてくれるからと答える。
悲しみを乗り越え内面的に大きく成長したアキを受け入れ、また旅が始まる。
一時間で放送するにはもったいないような、濃厚な展開だった。
今回のアキと老公の別れのシーンもそうなんだけれど、里見浩太朗のシリーズは、この黄門様とその回の主役との対話がとても心に響く。
他の黄門様も好きなんだけれど、このシリーズの対話のシーンは別格だと思う。
いよいよ来週、二代目弥七登場。
第11話『母と娘つないだ風車』(青森)
予告編で弥七登場。弥七らしくちゃんととんぼ切ってる!
■関連
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水戸黄門公式サイト(TBS)
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第10話『死ぬな!風の鬼若!!』(能代)・
第37部かわら版その1『製作発表レポート』鬼若が消えてしまってから、改めて製作発表の照英と晶ちゃんのコメントを読んでみましょう。
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第37部かわら版その9『内藤剛志×宮川一郎 “風車の弥七”を語る!』・
弥七通信vol.1『風車の弥七』こういう連載も始まったようです。中谷一郎さんの初代弥七の写真もあります。