七色の声を操る14才の少女「ニコ」とロボヲタで女好きの青年「ロボ」の冒険活劇。メルヘンのような展開ながら、えぐるような世界を描いていたりする。
テレビの前できっとみんなひいてるんじゃないかなと思うほどの極端なまでのロボ(松山ケンイチ)のヲタ演技さえ乗り越えれば、普通じゃ恥ずかしくて聞いてらんない人生の本質を語りあう場面が現れてくる。ロボの一途な行動の後だからこそ、そういう本質を語るような話が平気にみていられるというものだ。
ストレートすぎるメッセージもあれば、今回出てきた二人にしか見えない小鳥のような、比喩的なエピソードを通しての遠回しのメッセージもある。毎回最後はニコ(大後寿々花)の独白で終わる。その回の体験を通しての、この現実を生きている生身の彼女が感じた包み隠さない気持ちが語られる。途中で音楽を止め、最後の一言で決める。見ている者の心に届けと力強くメッセージを投げかける。
最終回のメッセージは、ロボが劇中、自分自身の生き方についてニコに教えてくれた言葉を踏まえたもの。私を救えるのは宇宙で、私だけ。
結局二人は別れてしまう。明日また会うような会話をしながら、そのまま会うことがなくなってしまう。一度だけニコはロボを見かけるが、夢中に星空を眺めている姿をみたら声をかけられなかった。それでもニコは変わらぬロボの姿を見つけられただけでも心からうれしかっただろう。きっと二人はもう二度と会わない。恋人ではなかったけれど、とっても変なやつだったけれど、ほんの短い間だけ同じ感性で世界を一緒に共有できた大切な人。ニコの少女時代の一つの思い出となるのだろう。
二人が完全に別れてしまうことの象徴としての表現が、ニコが感じることができなくなった二つの存在、小鳥と、中村獅童演じる幽霊の「三日坊主」だと思う。最初はニコにも感じることができていたのだけれど、話が進むにつれて、小鳥も、三日坊主も、ニコには見えなくなってしまう。一方のロボには最後の最後までずっと見えている。その原因が、自分の気持ちを殺し周りに迎合してしまうニコの態度であるように思えたが、それだけが理由ではなかった。ニコが感じられなくなった原因は結局なんだか分からない。ニコはそれを受け入れる以外にない。
とても切ない。同じ世界を共有できないことは、悲しいことだ。今まで当たり前のように二人だけで共有できていたことだけに。そしてこの距離は決して埋めることができない。でも人と人との間にできてしまう距離というのはそういう理由のはっきりしないものだったりもする。好意を持ち続けていたとしても、それはどうすることもできない。そんな理由でニコは星を見ているロボに声をかけられなかったのだと思う。ニコのロボへの気持ちはとても切なく終わるけれど、二人はそれぞれの人生を自分の気持ちに正直に生きていこうとする。この物語の最後を僕はそんなふうに感じた。