冒頭のアシーナとアイクとのやりとりに出てくる映画カサブランカで有名な「As Time Goes By」の忘れ去られた歌詞の原文も探してみた。
This day and age we're living in「As Time Goes By - Herman Hupfeld」もyoutubeに置いてある。もちろんこの歌詞の部分はない。
Gives cause for apprehension
With speed and new invention
And things like fourth dimension.
Yet we get a trifle weary
With Mr. Einstein's theory.
So we must get down to earth at times
Relax relieve the tension
And no matter what the progress
Or what may yet be proved
The simple facts of life are such
They cannot be removed.
統一理論を見つけようとする態度は、単純性を求めているだけの行為ではないか。世界は複雑であり、そこまで理想化できないのではないだろうかという著者の指摘。
理論を観測結果に結びつける方法には2つある。「ひも理論」の研究者はトップダウン的で、ランドール博士のとるモデル構築という態度はボトムアップ的である。プラトン的かアリストテレス的かとも言い直せるという。
いわゆる演繹と帰納の2つの手法の違いだろう。理論物理学にこういう対立的な構図があるなんて知らなかった。
ひも理論とモデル構築のふたつの陣営はいままで対立した立場をとってきたが、最近は状況が変わりつつある。この本で扱われる余剰次元理論も、モデル構築の考え方にひも理論の着想を組み入れることでできあがっている。
次に進むための、物質の成り立ちの復習
・全ての物質は原子からなりなっている。
・原子は原子核とその周囲を回る負の電荷を持った電子からなっている。
・原子核は、正の電荷を持った陽子と電荷を持たない中性子という二種類の核子からなっている。
・陽子は、2つのアップクォークと1つのダウンクォークからなっている。
・中性子は、2つのダウンクォークと1つのアップクォークからなっている。
・このクォークを結びつけているのが「強い力」である。
・電子は下部構造を持たない。
・高エネルギー粒子加速器を使うと、重い素粒子の存在を観測することができる。
素粒子の物理理論「標準モデル」では素粒子に相互作用を果たせる四つの力のうち三つの力が説明される。
標準モデルの疑問点
・重い素粒子は何故存在するのか。
・四つの力以外の力はないのか。
・他の力に比べて重力はどうしてこんなに弱いのか。
・量子力学と重力はどうすれば両立できるのか。
これらの問題に答えを出そうとする理論がこの本で説明しようとする余剰次元モデル。
さあ、次からはしばらく相対性理論と量子力学からはじまっての現代物理学の解説の話。この分厚さはかなりのものでこの本の半分を占める。
章末に要点が箇条書きになっているから、わざわざここにまとめを書く必要もないだろう。
そして、理論物理学の長いまとめの部分が終わると、この本の核心へと入っていく。それらの章を使って整理された理論を踏まえての、この第一部で単純に描かれてきた余剰空間についてのより詳しい説明が待ち受けるわけだ。