中三の頃、はじめて相対性理論の解説書を読んだときの興奮を思い出した。
六百ページ超の分厚い本で、半分以上を占める理論物理学のこれまでの道筋の部分は、正直挫折しそうになった。でも最後の理論に直接関わらない理論の説明まで細かく描いていく妥協を許さない著者の態度には感服する。これは、必死にかじりついて読み進まずにはいられない。これまでの物理学の流れの部分はそれだけでも十分で、素晴らしく知的な体験をさせてもらえた。
何が書いてあったと聞かれても正確に答えることはできないけれど、理論物理学の発展を一つ一つ丁寧にたどったあとに、最後に畳み掛けてくる、著者の理論が描く想像を超える世界像に興奮しながら読み終えた。
数学的な裏付けはまだ僕には分からない。けれど少なくともこの文章で描かれているこの理論は極めて論理的に構築されていて本物の理論だと思った。読んだだけで、それが世界をちゃんと描けているかどうかは僕に分かるわけはないのだけど。
1回読んだだけでは分からないことばかりだから、何度でも読んで理解したいと思う。
あとがきは、一番最後に読むことにしている。さっき読んで「スタートレック」や「宇宙戦艦ヤマト」が話題にされているのを知った。ワープといったらやっぱりこの2つが最初に浮かぶ。監訳者の向山信治氏の簡潔な概略はとてもわかりやすく整理してくれる。でも先回りして読まなくてよかった。
さて、この「ワープした余剰次元」理論というのは、LHCによる実験結果によって、裏付けられるのだろうか。どうなるのだろうか。そしてその実験結果からまたどんな理論が生まれてくるのだろうか。この本のおかげで楽しみが増えた。