2008年12月01日

Copal2 で Markdown を使う方法

ブログで記事を書くとき、見出しや表やリストを作りたいときがある。Wiki記法を使ったことがあると、ブログでもそういう略記ができるマークアップ言語が使えるといいと思う。

実際、自分で設置したブログの場合にはそういう機能がオプションで用意されている場合がある。プラグインを自由に追加できるブログならば、マークアップ言語を記事に変換してくれるテキストフィルタのプラグインを組み込むだけで簡単に実現できる。

では、今この記事を書いている seesaaブログのようなホスティング型ブログを使っていて、自分で機能拡張ができないときはどうすればいいだろうか。

手っ取り早いのは、変換デモページを利用する方法だ。Markdownならば、PHP Markdown: Dingus。ここで変換された結果をコピペすればいい。でも、すべてをデモページに頼るのもいけないのでローカルでできる方法を考える。

PHPやPerlが動くローカルサーバーを起動させておくというのも手だ。上記デモページと似たようなページを作ってやればいい。でも日常的にローカルサーバーが稼働している環境でないかぎり、変換のためだけにサーバーを起動させるというのは牛刀割鶏だし、かえって遠回り。コマンドラインでスクリプトエンジンを直接利用すれば済むことだろう。

コードと、出力されるタグ、そしてどのように表示されるかのプレビュー、この三つを簡単に、WindowsXP上で確認できるアイデアを考えてみた。

必要なのは、copal2と、php.exe。それから、必要なマークアップ言語のスクリプト。そして、多少の手間。

copalは、スクリプト言語を便利に使うための統合環境。公式サイトは、Copal2これは Windows でスクリプトの開発をするとき重宝している。

copal は、Perl、Ruby などのスクリプト言語のプログラムを書くと、その結果を出力してくれる。ちょっと工夫をして、その記法の記述をスクリプトとして与えて、それを解釈させればいい。

WordPress のプラグインについて知識があったので、今回は PHP を使ったが、Perl や Ruby、Python も使えるので、それで記述されたマークアップ言語を使ってもできるはず。

それでは、具体的な作業。

準備

phpのインストール

今回は PHP で書かれたスクリプトを使うので、Windows 上で動く PHP 処理系をダウンロードしてくる。

PHP 公式サイトのダウンロードページから、Windows Binaries をとってくる。分かる人は ZIP でもいいけど、インストーラをダウンロードして、インストールする。

(追記08.12.2)他のスクリプトを書こうと思ってmbstring関数を使おうと思ったら、使えなかった。かなり悩んでインストーラ版には入っていないことが分かった。今回のMarkdownには必要ないけれど、今後PHPでいろいろスクリプトを書いていくならば、ZIP版をインストールした方がいい。そのときは、php.iniも必要に応じて修正する。定義ファイルに書くパスもインストールした場所に書き換える。

Copal2

Copal 2からダウンロード。一緒にPHP用の定義ファイルをダウンロードする。サイトに書いてあるインストール方法を読んで、自分のパソコンにインストールする。そして、インストールされたフォルダのdefsフォルダに、PHP用の定義ファイルを入れる。PHPのインストール場所が違っていれば、実行ファイルのパスExePathを書き換えておく。

copal にもスクリプトを記述するためのテキストエリアはあるけれど、これはちょっと使いにくいので外部エディタを登録する。詳しくは、Copal2オンラインヘルプ:外部エディタとの連携についてを参照。

Copal で1行何か書いた後、Ctrl+E を押すと、保存を促すダイアログが出てくる。ここで保存をすると、そのファイルを登録した外部エディタで開く。それ以後は、その外部エディタで編集する。外部エディタで保存すると、Copal のエディタに反映される。

Copal には他にも便利なオプションが用意されている。設定メニューの環境設定サブメニューの環境設定タブシートにあるホットキーや、実行メニューにあるオートリフレッシュなど。使い慣れたエディタと Copal でもそのファイルを開いておけば、エディタで書いて保存し、定義したホットキーで Copal をアクティブにして、スクリプト実行の F9 を使えば、マウスを触らなくても簡単に変換作業ができる。



他に必要な設定は、ファイルメニューのエンコード設定で、無難なUTF-8にしておく。エディタでもUTF-8で書くようにする。



PHPのテスト

copal と php がインストールされたので、うまく copal で pho スクリプトが動くか試してみる。copal の設定メニューの言語サブメニューを開いて、そこから php を選ぶ。そして、copal のスクリプトウィンドウに、次のコードを記入する。

<?php
print "Hello, World!";
?>

記入したら、F9キーをタイプしてみる。タブが自動的に切り替わって、Hello,World!と表示されたら、これでOK!

Markdown Extra の利用

Markdown Extraのインストール

いろいろなマークアップ言語があるけれど、今回はまず、PHP Markdown Extraを使ってみる。Markdown Extra は 代表的なマークアップ言語 Markdown に表の記法など拡張をおこなったもの。

PHP Markdownからダウンロードする。

Markdown Extra の特徴は、PHP Markdown Extraに詳しく解説されている。

解凍したファイルを、パス名にスペースの入らないところに配置する。例えば、

C:\textfilter

というフォルダを作って、ここに markdown.php を入れる。そして、このファイルを呼び出す次のスクリプトを、cp_markdownextra.php と名付けて、同じフォルダに保存する。

<?php
include_once('markdown.php');
$text = implode('',file($argv[1]));
$text = Markdown($text);
print $text;
?>

ブログ投稿などの自分の目的に合わせて細かな変更をするといい。次の例は Flock のブログエディタ用。改行を<BR>に変換してしまうので。

<?php
include_once('markdown.php');
$text = implode('',file($argv[1]));
$text = Markdown($text);
$flag = FALSE;
$lines = explode("\n",$text);
$text = "";
foreach( $lines as $line ) {
if ( strstr($line,"<pre><code>") )
$flag = TRUE;

if ( strstr($line,"</code></pre>") )
$flag = FALSE;

if ( $flag )
$line .= "\n";

$text .= $line;
}
print $text;
?>

そして、次の内容を markdownextra.def として保存し、copal の defsフォルダに保存する。

[Language]
Name=Markdown Extra
Ext=txt
[Environment]
ExePath=c:\Program Files\PHP\php.exe
Option=c:\textfilter\cp_markdownextra.php
LastFolder=c:\
TempFile=Copal.tmp

Option は cp_markdownextra.php へのパスになっているので、適宜書き換える。必要ならば他のパラメータも。

Markdown Extra のテスト

Markdown Extra で変換するためには、Copal の設定メニューの言語サブメニューで「Markdown Extra」を選択する。

そして、次の Script 領域に次のスクリプトを貼り付け、「スクリプトを実行」(F9)を押して、Result 領域が表示されれば、成功ということになる。

| First Header  | Second Header |
| ------------- | ------------- |
| Content Cell | Content Cell |
| Content Cell | Content Cell |

こうやってできあがった HTML タグを、ブログの HTMLソース用のテキストエリアにコピーし、投稿すればいい。

※ 投稿してみて、予期しない<BR>が余計に追加されていたので、修正して再投稿。



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Copal で HTML特殊文字の変換

Copal2 を使った前回の方法の応用。この方法はマークアップ言語以外の変換にも使える。ブログ中の引用でタグが意味を持たないようにHTMLエンティティに変換するときとか。

次の二つのファイルを用意する。それぞれのファイルの置き場所は前回と同じ。

定義ファイル htmlspecialchars.def

[Language]
Name=HTML SPecial Chars
Ext=txt
[Environment]
ExePath=c:\Program Files\PHP\php.exe
Option=c:\textfilter\cp_htmlspecialchars.php
LastFolder=c:\
TempFile=Copal.tmp

スクリプトファイル cp_htmlspecialchars.php

<?php echo(htmlspecialchars(implode('',file($argv[1]))));?>

こんな感じ。いろいろ応用できる。



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2008年12月03日

七瀬ふたたび、いよいよ残り二話

木曜日 BS-hi 午後六時、NHK総合 午後八時からやっている「七瀬ふたたび」
独自展開になって、あと残り二話でどう終わらせるのか、楽しみ。

以下、疑問とかいろいろ。

ここまで、以前のドラマとストーリーや設定を変えてきたら、ラストも変えてくるんだろうか。昔だったら迫害されるマイノリティの悲哀を描いてもドラマとして成立したけれど、今は時代的に、未知能力を持ったマイノリティでも幸せに生きられる世界を描いてみせる、とかになってしまわないだろうか。

恒介の予知は変えられない。彼自身それは分かっている。それでも自分の予知した未来の悲劇を変えようと恒介は走り続ける。ドラマの最初の方から、視聴者に印象づけられたこの伏線はラストではどのように展開するのだろうか。終盤にきっとあるだろう最後の不幸な予知を恒介は自身の力で変えることができるのだろうか。そして行動によって七瀬への深い愛を表現してこそ恒夫(恒介)なんだけれど、今回はそこまでのドラマができるだろうか。

それにしても、七瀬が心を読まないという態度は、原作や多岐川版ドラマに親しんだ人間にとって違和感がありまくる。蓮佛七瀬は、能力を手に入れたばかりで慣れていない、能力に否定的であり、無くしたいとさえ思っている、心の扉を閉める方法を獲得してしまっている(酒に酔ってても自制できるくらい)、父のことで心が不安定である、さらにAT能力者だと知って自分の力を悪魔の力だとさえ思っている、そんないろいろな理由で、今回の七瀬は悩める七瀬となってしまって、そのために能力を積極的に使っていない。今までの作品の七瀬らしくなくて肩すかしをくらってしまう。飲み会で相手の心を読まないようにしてしまったために男の下心を見抜けない七瀬。そういう絶体絶命の窮地に追い詰められたからこそ、新しい能力を発揮できたのだけれど、七瀬にこの展開はちょっとない。昔の作品の七瀬ならばどんなときだって、ここは心を読むべき所だってところでちゃんと相手の心を読んでいるのが当たり前なので、見てて今の態度がもどかしくてしょうがない。

相手の心の声が響いていない描写のときは、七瀬は心を読んでいない。これがお約束。佐倉に対して父を殺したのはあなたと問い質したときも、七瀬は力によって分かったのではなく会話からの推察だけで判断しているようにみえる。七瀬が佐倉の心を覗こうとした態度も見られないし、おそらく自分の力に怯えて力を使おうという意志すらなくなっている。

終盤なので、謎の団体パクス・シエンティアの実像があきらかになるだろう。敵の能力者は活躍するのだろうか。ただ未知能力を悪用するために集められた被害者として扱われるのか。少しでいいから超能力バトルが見たいな。パクス・シエンティアに入ったナルセとユリコの二人の能力は何なのだろう。てこずるような能力者なのか。まあ、ここまで伏線がないのだから、取るに足りないものじゃないとルール違反だろう。父に会いに行く前の頃マジックバーに七瀬が一人いると、ユリコが恒介を訪ねてきた。この目的はなんだったのだろう。ただの勧誘か?だから次回の展開になるのか?彼女の能力は何なのだろう。彼女がテレパスなら、ボーッと父に会いに行くことばかり考えてた七瀬はあのとき心を読まれてるぞ。それと主婦になってるテレパスのサヤカや、あのテレキネシスが使えたけれど今は使えないと言っていたタケシはもう話に関わらないのだろうか。彼らにもパクス・シエンティアへの勧誘に誰かが来てるだろうに。そして、もう一人の予知能力者ユウジは自分たちの組織の未来について何も予知はしていないのだろうか。

それはそうとボーッとしている七瀬で思い出したけれど、父の生存を知った後、心ここにあらずの七瀬の心をアキラが読んでいたとき、アキラは七瀬の心が全開という言葉を使っていた。これって逆に言うと七瀬が人の心が自分の中に入り込んでこないように心を閉ざしているときは、アキラからも心を読みにくい状態になっていることなのか。心が全開なのに他人の心が入り込んでこない状況はありえるのか。そういう設定にして問題ないのか。

それにしても、後残り二話で収まりきれるのか。まあ、AT能力者の七瀬が本気になれば、無敵ですから、残り二話でもなんとかなるだろう。でも本気になれるかですよ。瑠璃が撃たれて、次回予告では七瀬の怒りの矛先は敵ではなく恒介に向かっているような描写だったし、終盤なのにそんな状態でどうするんだ。遅くとも次回が終わるまでには七瀬が自分の能力や運命を引き受けて本気にならないと、まとまらないんじゃないだろうか。

ここまで七瀬が能力を使わないせいでストレスを与えてきたのだから、最終話は父が残してくれたものを受け取った七瀬が自分の能力を小気味よく駆使して敵組織壊滅という爽快な展開を切に望む。とはいっても、父の最期で銃を向けたのは佐倉でも、実はお父さんは自殺なわけで、本気の七瀬に仇討ちされる展開だと佐倉もいい迷惑だろうな。残り二回でどうなるんだろう。そして物語のラストはどうなるんだろう。


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2008年12月10日

Windows Live Writer で BlognPlus に投稿するには

Windows Live Writer BlognPlus に投稿するには BlognPlus の機能として XML-RPC インターフェイスが必要です。これがあれば、それを通じてブログエディタから記事を送ったり、記事を読み込み再編集をすることができます。しかし、まだ本体にその機能はありません。今のところ、拡張モジュールもありません。

無いのなら作ってしまえということで、作ってみました。基本的にそれが僕のスタンスですから。
一通り動作するようになったので、近日中に公開しようと思います。まだチェックすることがいろいろ残っています。

XML-RPC の動作が分かれば、実はそれほどむずかしいことはありません。BlognPlus 内で使われている データ管理関数を理解してデータベースに入出力するプログラムを書くだけです。

Windows Live Writer には最初からいくつかのプロバイダやブログシステムが登録されています。汎用のブログに、Windows Live Writer で投稿するためには、Metaweblog API、Movable Type API のどちらかを使います。今回は Movable Type API を使いました。実装する必要のある API は次の9個です。
  • metaWeblog.newPost
  • metaWeblog.editPost
  • metaWeblog.getPost
  • metaWeblog.getRecentPosts
  • metaWeblog.newMediaObject
  • mt.getCategoryList
  • mt.getPostCategories
  • mt.setPostCategories
  • blogger.getUsersBlogs
これを Movable Type で使える XML-RPC API を参考にしながら書いてみました。ライブラリは、XML-RPC for PHP Homepage のものを使っています。

実際投稿してみたページ:Live Writer 投稿テスト
とはいっても、見た目は手動で投稿したのと変わりはありませんが、投稿した画像は自動的にファイル管理画面で管理可能になります。


このブログに以前書きましたが、これは二年前に BlognPlus のことを知ってからやり始めたことでした。でも二ヶ月ぐらいで飽きてしまって、ずっと放置してました。こういう自分の中のプロジェクトが僕にはたくさんありますね。そのとき、その作りかけのものから作ったのが、ブログペットを使えるようにしたモジュールでした。二つか三つのAPIで動きますから、それくら いはすぐにできました。それからまた1年以上放置して、ようやく一週間ぐらい前から再開しました。悲しいことに、昔書いたプログラムが消えてしまっていた ので、ブログペットに使っていた三つのAPI 以外は今回また最初からの書き直しでした。


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2008年12月11日

七瀬ふたたび 最終回「祈り」

今回で最終回。多少期待しすぎな見方をしたせいか、能力を活かしきれない七瀬の行動がいらついたけど、僕の中の評価では最終回でなんとか持ち直した感じ。
原作をある程度なぞりながらも、決して絶望ではない終わりがよかった。

原作や昔のドラマでは七瀬たちが死んでしまって、敵の組織もそのまま残るという不条理のまま終わってしまう。今回も七瀬は死んでしまうけれど、敵組織パクスシエンティアの正体が全世界に明らかとなり大きな打撃を受けるだろう。生き残ったアキラがきっと七瀬の意志を受け継いでくれるだろう。そういう希望を残してドラマは終わる。

これからのアキラは決して幸せな人生は送れないだろうけど、それでも、七瀬達の心を受け取ったアキラは決して西尾のような生き方はしなくてすむだろう。いやそんな生き方をさせてはいけない。

劇中では七瀬の録画されたメッセージは冒頭だけしか映されなかった。パクスシエンティアの正体を暴く言葉の他にも、きっと未知能力者の存在の意義についても語っていたのだと思う。アクティブテレパスの力によって全員に伝わった七瀬の最後のメッセージのように。その映像を見た人たちにも七瀬の願いは届くのだろう。残されたアキラが苦しまないですむような、人と人とが心から信頼できる世界を作れたら、どんなに素晴らしいだろう。

ドラマ公式ページ:
七瀬ふたたび | NHKドラマ8


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2008年12月12日

七瀬ふたたび 最終回2

前回の投稿のあと、いろいろ書き足りないと思ったので、付け足そうと思う。

この一週間は、最終回を待つばかりということだったので、多岐川さんの「七瀬ふたたび」をしっかり見直していた。そしたら、小説の記憶も混じっているし思い違いもあって、いままで嘘書いているのがいろいろ分かって恥ずかしくなった。

昔の作品を見たことを踏まえて、今回のドラマ化で再現することに問題があってできなかっただろうことを書き出してみると:
・子どもを親から引き離して連れ回す
・ヒロインが夜の商売で生活費をかせぐ
・アイヌ民族を連想させてしまう北海道を舞台にする
・ヒロインが海外の賭博で資金調達
・黒人が自分はヒロインの召使いだと言う
・ヒロインが黒人に命じて人殺しをさせる
・念動力で人の頭を砕く
・念動力で商店から品物を持ち出す
・白塗りのゾンビー軍団、もしくは心を持たないゾンビー警官
・子どもが死ぬ

今回、ベッドに連れ込まれる七瀬や、子どもの自殺のようなギリギリの描写のエピソードもあったけれど、そういうのは結果的に超能力で防ぐのでOKなのだろう。


昔のドラマの七瀬の行動の目的は、シンプルで、お金を稼ぐことだった。最初はノリオ(アキラ)と二人での生活費を稼ぐためだったが、仲間達と出会って、皆でひっそり暮らすための資金稼ぎに変わり、カジノでの超能力の使用となる。そこで敵に目を付けられて、最後には追い詰められる結果となる。

今回は、目的が父の失踪の謎を追うことに切り替わってしまった。そして父が死を偽装してまで身を隠さざるを得なかった理由である、超能力を悪用しようとする勢力との対決へと発展していく。ここで、せっかく本物の超能力をもった人々と敵対する物語になったのだから、ゾンビー軍団を彷彿とさせる超能力部隊との対決をちょっと期待してしまったけれど、そうとはならずに、戦うでもなく、原作寄りの警官部隊に追い詰められてしまう。

なぜ戦わないのだろうと考えてみた。未知能力を悪用する組織と対決するのに、人を攻撃する手段や、人を出し抜く手段として未知能力を七瀬達が使ってしまうと、自己矛盾を起こしてしまうからではないだろうか。今回のヘンリーは、西尾から七瀬を守るために使ったとき以外、とても心優しいことにしか力を使っていない。飛んでくる看板からアキラを守ったり、最終回でも商店街で子どもが乗っている自転車を支えて立て直したりした。西尾のときは、ヘンリーにとって大切な七瀬の命を守るためであり、そして(後から分かることだけど)七瀬が隠された能力を暴走させ命じてしまったという特殊な事情がある。でも、何も知らなかったとはいえ未知能力を攻撃の手段として使ったこの一回の暴走が、のちのち皆を悲劇に追い詰めてしまうというのは、なんて悲しい展開だろう。


今回のドラマは原作小説と昔のドラマを分解し、状況を変えて再構築している。順番が変わっていたりしているけれど、多くのエピソードは受け継がれている。最終回の今回は、ほぼ昔のドラマの終盤をなぞっていた。買い出しに行ったときにヘンリーが能力を使うことも、別な目的だったけど、そう。道路を木が塞ぐことも別の場面から持ってきている。状況は全く違うけど、七瀬と藤子とジャーナリスト、ヘンリーとアキラ(ノリオ)の二組に分かれてしまうのも昔のドラマと同じ。藤子が未来から危険を知らせにやってくることも。七瀬が森を走るのも。

前回の瑠璃による「化け物」発言もそうだった。原作では買い出しの場面で、敵に噂を流された七瀬達が商品を売ってくれない嫌がらせを受けたとき、七瀬が八百屋の女の考えを声に出して繰り返したことへの女の怯えたリアクションだった。第九話で同じように、七瀬は相手の考えていることを声に出して見せたので、瑠璃は「化け物」と叫んだ。でも、彼女の発言にはとても違和感がある。無理矢理感がある。ここは再現する必要はなかったように思う。するにしても別な言葉にするべきだった。

七瀬は森を走っているときに撃たれてしまった。最初、これは誰かが撃たれた衝撃を受け取ったのかと思ったけれど、七瀬が撃たれる場面を角度を変えながら、何度も繰り返し、それが七瀬自身の身に起きた現実だと言うことを印象づけた。アキラの叫びは世界が終わるほどの悲しみに満ちたものだった。七瀬はそれでも走り続け、アキラ、そして包囲している警官達にメッセージを送り、そして横たわる。

七瀬は誰に撃たれたか描写されなかった。警官かもしれないし、佐倉の配下にはないパクス・シエンティアの刺客によるものなのかもしれない。死んだと思われた西尾か念動力で恒介を押さえていた男のどちらかが実は生きていて、恒介を同じ銃で撃ったのかもしれない。でも、一番怪しいのは、遠距離の透視も可能な、西尾だろう。七瀬がジャーナリストと会っていることもお見通しだった。西尾の透視能力には、千里眼の能力もあるようで、かなりの拡大率で見渡せるようだ。森の木々も遮蔽物にならないので、森を走る七瀬がいる位置を見つけるのはたやすいだろう。それと、見事一発で七瀬に致命傷を与えている。七瀬を撃った後、誰も速度の落ちたはずの七瀬を追いかけている様子がない。西尾の能力を使えば、訓練は必要だろうが、射程距離の限界からでも高い命中率で確実に命を奪えるだろう。そういうことを考えると、彼が死んでいなければ、動機的にも、状況的にも、位置的にも、能力的にも彼がもっとも疑わしい。

本来の七瀬ならば、殺意を持った人物が自分を狙っていることぐらい分かりそうだ。そして撃たれた後その人間の思念を感じ取ることも。今回の七瀬はそういうことに無頓着なので、もう問題にすらならない。昔のドラマでは七瀬を森で追い回すのは、禅により心を隠す修行をしているゾンビー軍団なので、七瀬は回避できない(七瀬が命を落とすことまでは描写されなかったが)。原作小説では、心を持たないゾンビのような警官なのでやはり心を読めないので回避できない。以前はそういう理屈があったけれど、今回の七瀬は一心不乱に森の中を走ってしまったので気づかなかったし、自分が撃たれたことよりも仲間を想う気持ちが強いからだと考えるしかないだろう。


ラスト、恒介と七瀬は二人並んで横たわっている。別々な場所で死んだのだけれど、お互いを想い、心がしっかりとつながっていた二人は死をむかえても分かたれることはないということだろう。毎回冒頭のタイトル画面では七瀬ふたたびのロゴが羽に埋もれている。そして最終回ラストでテーマソングが流れる中、二人に羽が降り注ぎ、そして二人の姿は消えてしまう。二人は役目を果たし、天に迎えられたとも解釈できる。


超能力とか、SFとか、ハイテクとか、正直、日本の実写ドラマの実力ではそういうジャンルは描ききれないと思う。もちろん超能力が物語の中心にあっても、作り手が本当に描こうとしてい るのは、いつだって人の心なのだというのは分かる。世界が完全に構築されてあっても心が描いていないならば、それは物語ではない。けれど、世界を丁寧に描いてこそ、そこに生きる登場人物たちが生きてくるのだから、その世界の描写が不完全だと登場人物の存在や、彼らへの共感が薄れてしまう。超能力関係の科学考証は専門的で面白い部分もあったけど、一方で物語世界を描写する緻密さが足りなかった。これは否めないと思う。

それでも、この最終回を、同じ主人公達の死という結末で終わらせながら、いままでの作品の「七瀬ふたたび」とは違う現世での「希望」を果敢に描こうとしたことは、十分に伝えられているのではないかと思う。子どもを殺せないことを逆に利用した、この新しい意味づけが生きていると思う。いろいろ考えて補わないといけないこともあるけれど、十分に楽しめる作品だった。

最後に、昔の作品で恒夫役の堀内正美が七瀬のメッセージを全世界に伝えるジャーナリストの役になったのは、多岐川版のファンとしてもうれしい限りだ。別な役だけど、彼が演じるジャーナリストならば間違いなく七瀬たちの想いを世界に伝えてくれただろう。能力者を道具に使う組織を壊滅に導いてくれただろう。安心してそう思える。


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2008年12月20日

「七瀬ふたたび」が終わって

毎週見ていた「七瀬ふたたび」の放送が終わって、一週間が過ぎてしまった。
余韻というのではなく、物足りなさと言っていいのか、もやもやした何とも言えない気持ちが残って仕方がない。期待しすぎていたのは事実だけど、今回の作品が全然駄目だってわけでもなかった。思いを切り捨ててしまえれば、楽なんだろうけど。ほんとに惜しい。

未知能力を悪用する組織との対決という目的の変更もありだし、希望を残す結末の変更もありだと思う。二人が並んだあのエンディングも申し分ない。でも残念だ。

普通の人の心の中にある異端者に対する拒絶や、利権を握った者たちがその地位を脅かす存在を実力で排除しようとする現実の非情さ、そういう従来の物語のテーマに加えて、科学の暴走や、狂信の恐ろしさとか、いろいろなものを詰め込みすぎて、収拾がついていない感じだ。

物語の展開についても、考えれば考えるほど、未来の事象も含めて、すべての悲劇の原因が七瀬自身の未熟さに帰結されてしまう。本気モードの最終回だけでも、原作通りに追跡者の心を読めないという理屈にしていれば表面上は繕えたのに、それを明示していないので、すべてが心を読もうとしない七瀬の問題になってしまう。本当に残念だ。


ところで、もう一度最終回を見てみたら、今さらだけど、七瀬が撃たれたことがはっきり描かれているのを確認してしまった。七瀬が撃たれてしまう場面、一瞬彼女の後ろに弾の軌道が見える。弾が後ろから追いかけてきて七瀬に当たっている。上からのカットでも、ちゃんと軌跡が見える。もしかしたらと思い、一コマずつ戻して弾の出所を確認してみた。でも犯人は分からなかった。


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2008年12月28日

平成21年正月は、恐竜SFドラマ「プライミーバル」

新年早々、2009年1月2日(金)〜4日(日) 午後4時20分〜6時00分、NHK総合で「プライミーバル」という恐竜SFドラマが放送される。恐竜SFドラマっていう括りがいい。恐竜好き、イギリスドラマ好きには、ちょっと楽しみな番組。原題はそのまま、Primeval。ちなみに単語 primeval は元々「太古の, 原始(時代)の」という意味の形容詞。

公式サイトから番組案内を引用すると、
イギリスで謎の“怪獣”が目撃される。動物学者のニック・カッターは目撃現場が“ディーンの森”だと聞いて助手のスティーブンらとともに調査を始める。そこは8年前、妻のヘレンが行方不明になった場所だった。やがて彼らの前に現れたのは、数億年前に絶滅したはずの恐竜と、古代に通じる“時空の亀裂”だった…。
NHKの番組公式ページより。このページでは、プレマップの映像も見られる。

各話のタイトルは次のとおり、今回は二話ずつ放送される。
第1話「太古への扉」
第2話「恐怖の巨大グモ」
第3話「海の怪物」
第4話「ドードーの悲劇」
第5話「空飛ぶ殺し屋」
第6話/最終回「未知なる獣」

制作が「Walking with ・・・」シリーズ、「プレヒストリック・パーク」のインポッシブル・ピクチャーズなので、映像的には大いに期待できる。ストーリーはどうだろう。プレマップの映像やあらすじを読む限り、シリアスな展開みたいだが。

この「Primeval」は、イギリス本国で2007年に放送された作品で、2008年には第2シリーズ7話が放送され、さらに2009年春には第3シリーズ10話の放送が予定されている。(参照 List of Primeval episodes


今回の放送に合わせて、「地球ドラマチック」で以前放送された「プレヒストリック・パーク」の前半三話の再放送が予定されている。
2009年1月07日(水) 第1回「ティラノサウルス」
2009年1月14日(水) 第2回「マンモス」
2009年1月21日(水) 第3回「ミクロラプトル」

参照:
海外ドラマ・スタッフブログ:NHKブログ | 欧米ドラマ | 『プライミーバル』の兄貴分ドキュメンタリーを1月に
地球ドラマチック NHK番組ホームページ

■関連ページ
プライミーバル ... NHKの番組公式ページ
Primeval ... en.Wikipedia(英語)
Primeval ... 公式サイト(英語)


■当サイト関連記事
takayanの雑記帳: 『プレヒストリック パーク〜絶滅動物を救え!〜』の情報


posted by takayan at 22:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | プライミーバル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする