時空の亀裂をめぐる物語。その亀裂を通って、様々な時代の怪獣がやってくる。その現象に立ち向かう人々の姿を描いた物語。
基本は人が怪物に食われたりシリアスな展開なんだけど、恐竜オタの学生コナーがドラマ的にちょっとしたお笑い担当だったり、飼育員のお姉さんアビーが軽いお色気担当だったり、恋愛要素もあり、緩急があって飽きさせない話だった。例えば4話のドードーの話は、コミカルなドードーやコナーのオタ仲間が出てきたのでコメディー回かと思いきや、悲劇的な結末でコナーの人間味を描き出したり。主役の動物学者のニックが捜し求めていた妻に再会できたときの妻の態度とか。このシリーズ、見る前は多少ベタな展開をイメージしていたけれど、いろいろひねりがあって面白い。それにしても最終回、最後の10分間の展開が最終回では有り得ない展開で驚いた。今日で終わってしまうのは納得がいかないくらいの終わり方。是非とも、イギリスで既に放映されている第二シリーズも放送してほしい。もちろん第三シリーズも。
それはそうと、「恐竜SFドラマ」とタイトルにくっついているが、実際、恐竜が出ていない。初回と最終回で暴れ回った「ゴルゴノプス」は一見恐竜のように見えるけど、単弓類に属していて、哺乳類型爬虫類とも呼ばれるもので、恐竜ではない。詳しくは、日本版公式サイトの「古生物ファイル」の各生物の情報をみるといい(ネタバレ注意)。
英語だとタイトルだけでだいたい意味が分かるのだろうけど、訳さずに「プライミーバル」というカタカナのタイトルにしたものだから、それを説明する言葉が必要なのだろう。でも、古生物と言うより恐竜と言った方がインパクトはあるし、怪物や怪獣やモンスターじゃ別な路線のドラマに見えてしまう。恐竜以外の多様な古生物の進化の歴史については、世間での認知度はほとんどないから、いろいろ考えてこういう呼び名になったんじゃないかな。でも予備知識がないとみんな出てきた生き物が恐竜だと思ってしまうだろうけど。
(追記 いろんな記事読んでいたら、海外ドラマのスタッフブログにタイトルのいきさつ書いてありました。推測通り。恐竜SFドラマ『プライミーバル』に“恐竜”は出てこない!?)
このドラマに興味を持ってしまって、もう少し科学的なことを知りたいなと思ったら、このドラマの制作会社が以前に作ったSFドキュメンタリーの「Walking With シリーズ」や「プレヒストリックパーク」のDVDを見るといい。ペルム紀とか石炭紀とか、いろんな言葉を覚えてから、このドラマをまた見直すともっと楽しめると思う。
とりあえず、第一シリーズでモデルになった生物の日本語版と英語版Wikipediaへのリンク。
- コエルロサウラブス Coelurosauravus
- スクトサウルス Scutosaurus
- ゴルゴノプス Gorgonops
- アースロプレウラ Arthropleura
- モササウルス Mosasaurus
- ヘスペロルニス Hesperornis
- ドードー Dodo
- プテラノドン Pteranodon
- アヌログナトゥス Anurognathus
List of creatures in Primeval - en:Wikipedia
このドラマとは直接関係ないけれど、生命の進化の歴史に興味を持った人には、地球上の生命の繁栄や進化を扱った読み物として、「祖先の物語 ~ドーキンスの生命史~ 上」あたりも参考になると思う。系譜的に様々な種の繁栄の歴史が見えてきて面白い。地球の生命の歴史を理解するにはとてもいい本だと思う。
このドラマに乗り遅れた人は、有料だけど放映日から一週間だけ、NHKのオンデマンドで見られます。
まだ予定はないみたいだけど、きっとこれは日本語版DVD出ますね。
追記 2009.7.22
8月にこの第一章の集中再放送と第二章の放送があります。
関連記事「『プライミーバル』集中再放送&第2章放送決定!」
それから日本語版DVDは出ました。ただしNHK放送版とはタイトルと声優が変わっています。