Linux には GNOME Orca というスクリーンリーダーがありますが、現在日本語の利用ができません。そこで少し改造して日本語でしゃべるようにしました。その方法を以下に紹介します。まだ実験的なものなので、その点を御理解なさってお使いください。できれば、日常使われるマシンではなく、ヴァーチャルマシン上での利用をお勧めします。
なお、以下の説明は視覚障害者がご自身でできる手順としては書いてありません。音声ガイドを導入する前段階の手順ですので、サポートの方に手伝ってもらう必要があります。
■準備
Ubuntu11.10 がインストールされたパソコンを用意します。パソコンの能力が十分ならばWindowsやMac上にインストールした VMWare Player 上に構築したほうが、手軽に試せると思います。それから確実にアップデートを実行し、確実に最新の状態にしておいてください。アップデートしていない場合、Nautilus (GNOMEでのエクスプローラのようなもの)の動作がおかしくなる可能性があります。
これはVMWare Player上に構築したばかりの Ubuntu11.10 です。
右上のメニューから、アップデートマネージャを呼び出して、最新の状態にしておきます。最新の状態にしたら、お好みで「端末」を左横のランチャに追加します。今後の作業はどうしてもコマンドラインからの入力が増えますので、手軽に呼び出せるようにしておきます。
ALT+F2(ALTキーを押しながらF2キー)で「端末」もしくは「terminal」と入力し、エンターを押すと端末が起動します。
起動すると左のランチャーに起動している間アイコンが現れます。このアイコンの上で、右クリックして出てくるメニューの「ランチャーに常に表示」を選びクリックします。
これで端末の起動が楽になります。またキーボードのショートカットも利用できるようになって、上の画像の例だと、Windowsキーを押しながら、上段数字の「9」を押すと、端末が現れるようになります。この数字は上からの順番なので、順番を入れ替えれば別の数字になります。アイコン上でマウスを左ボタンをずっと押さえているとアイコンが移動できるようになります。
端末が自由に出せるようになりましたが、ディレクトリの移動を手入力するのは面倒ですので、今度は開いている任意のフォルダで端末が開けるように設定します。Windowsでシフトを押しながら右クリックすると「コマンドウィンドウをここで開く」というメニュー項目が出てきますが、それと同じことをできるようにするわけです。
端末を開き、
sudo apt-get install nautilus-open-terminal
と入力しエンターをすると、パスワードの入力が求められます。ここで自分のログインパスワードを入力すると、パッケージがインストールが開始されます。完了すると、以後、作業中のフォルダ内で、右クリックをすると、「端末の中に開く」という項目ができます。これを使うと、そのフォルダにあるファイルなどに対して操作がしやすくなります。
準備の最後は、標準のOrcaのアンインストールです。標準でインストールされているOrcaをコンピュータから外しておきます。端末を開き、
sudo apt-get remove gnome-orca
と入力します。パスワードを求められるので、入力すると、削除が始まります。これで準備が整いました。
続く