余韻というのではなく、物足りなさと言っていいのか、もやもやした何とも言えない気持ちが残って仕方がない。期待しすぎていたのは事実だけど、今回の作品が全然駄目だってわけでもなかった。思いを切り捨ててしまえれば、楽なんだろうけど。ほんとに惜しい。
未知能力を悪用する組織との対決という目的の変更もありだし、希望を残す結末の変更もありだと思う。二人が並んだあのエンディングも申し分ない。でも残念だ。
普通の人の心の中にある異端者に対する拒絶や、利権を握った者たちがその地位を脅かす存在を実力で排除しようとする現実の非情さ、そういう従来の物語のテーマに加えて、科学の暴走や、狂信の恐ろしさとか、いろいろなものを詰め込みすぎて、収拾がついていない感じだ。
物語の展開についても、考えれば考えるほど、未来の事象も含めて、すべての悲劇の原因が七瀬自身の未熟さに帰結されてしまう。本気モードの最終回だけでも、原作通りに追跡者の心を読めないという理屈にしていれば表面上は繕えたのに、それを明示していないので、すべてが心を読もうとしない七瀬の問題になってしまう。本当に残念だ。
ところで、もう一度最終回を見てみたら、今さらだけど、七瀬が撃たれたことがはっきり描かれているのを確認してしまった。七瀬が撃たれてしまう場面、一瞬彼女の後ろに弾の軌道が見える。弾が後ろから追いかけてきて七瀬に当たっている。上からのカットでも、ちゃんと軌跡が見える。もしかしたらと思い、一コマずつ戻して弾の出所を確認してみた。でも犯人は分からなかった。