2009年07月08日

名曲探偵アマデウス「モルダウ」

以前、モルダウのメロディについて調べてここに書いた。英語のWikipediaにはこのメロディについての詳しい記事が書いてあったので、そこに示された曲のYoutube動画を張り付けてみただけだったけれど。

この前の日曜日NHK hiでモルダウについての番組があったので録画して見てみた。地上波では「天地人」をやってた時間。BS2や地上波でも後日放送される予定。

番組のその回の内容ページ:
NHK クラシックミステリー 名曲探偵アマデウス | 事件ファイル#39
「河童(かっぱ)の里の騒動記 〜スメタナ「交響詩“わが祖国”より “モルダウ”」

今回の依頼人は渡辺哲演じる田舎の建設会社社長。彼がすすめる村の観光開発に小学校の恩師が反対してくる。恩師はこの曲を聴いて考えなさいと言ってくるが、社長にはさっぱり意図がわからない。困った社長は名曲探偵・天出臼夫(あまでうすお)を頼り事務所にやってきた。話はそこから始まる。恩師が伝えようとしたことは?それが今回探求する謎。この謎を探るために「モルダウ」がどんな曲なのかが示されていく。

スメタナの「わが祖国」は6曲からなる交響詩。モルダウはこの第2曲。この番組では愛国心という言葉は意図的に使わなかったのか、もちろんこの曲の言わんとすることは、まさしく祖国愛だ。スメタナがこの交響詩を作った時代、祖国チェコはオーストリア・ハンガリー帝国の一部となっており、言葉さえも禁じられていたと説明される。祖国を流れるモルダウ川のさまざまな表情を描き出すことで、自分たちの国への愛情を表現していく。それもチェコの人々なら誰でも知っている民謡のメロディ使っているとされる。これこそが何度も繰り返されるモルダウの主題になっている。この主題はホ短調で繰り返されているのだが、最後ではホ長調となり、希望に持ちた民族としての誇りを表す形でこのモルダウの曲を終える。

モルダウの曲は水の一滴から描写されている。それが寄り集まり流れとなり、そしてさらもうひとつの流れが加わって、モルダウの流れとなる。ハープが描く一滴の水の描写や、二つの流れの合流など、これらの演奏についての実際に楽器を使ってのとても分かりやすい解説があった。もちろんモルダウの有名なモチーフの解説もある。音符を並べて、その単純な構造と、急な上昇とゆっくりとした下降がもたらす印象についても、実際ピアノで演奏しながら詳しく説明がされた。こういう部分は、天出(筧利夫)や助手カノン(黒川芽以)が示すのではなく、映像の中で先生や演奏家のみなさんが示してくれる。

スメタナ自身の生涯についても簡単に触れられる。交響詩という表現形式に出会ったのは、祖国を離れて暮したスウェーデンでのことだった。彼は梅毒により耳が聞こえなくなるが、この曲はそのような状態で完成させた。

この番組で紹介されたチェコの民謡の名前は、「コチカ レゼ ディーロウ」。日本語の上手なチェコ人の女性歌手が、小学校の音楽の教材の楽譜を示しながら今でも皆に親しまれていることを、説明してくれる。そして実際にその曲を歌ってくれる。やっぱりちょっと似てる。

イスラエル国歌との関係や、スメタナがしばらく暮したスウェーデンにも似たようなメロディを持った民謡があることとか、13世紀のイタリアにまで遡れるこのモチーフの源流についてとかの話はなかった。話が妙な方向にひろがってしまうので、この番組で扱っていなくても問題ない。詳しいことを知りたいのはやまやまだけど、この番組はモルダウの説明としてはとても分かりやすいものだった。



この番組があったので、以前調べたものや参考にしたWikipediaのページを読み直したみたら、以前よりちょっと詳しいことが書いてあった。関連するページも新しくできていた。
La Mantovana - Wikipedia, the free encyclopedia

イタリア語のWikipediaのページが参照先として紹介されていた。このページも以前はなかったものだ。
Ballo di Mantova - Wikipedia

これは17世紀のイタリアのポピュラーソングについての記事。イタリア語は読めないけれど、ハティクバやスメタナという単語があるのはわかる。あとは、どうやら三種類の歌詞らしきものが書かれている。

Excite翻訳を通すと、次のようになる。
イタリア語翻訳 ウェブページ翻訳 - エキサイト 翻訳

「Fuggi, Fuggi, Fuggi da questo cielo」で検索すると、次のページを見つけた。こちらには英訳の歌詞も載っている。
Where Beauty Moves And Wit Delights

以下追加修正(7月12日)
上記のページは、ルネサンス期の音楽を専門に演奏しているバンドのファンサイトの一部のようだ。名前は、The New World Renaissance Band。http://www.owainphyfe.com/

この人たちの曲は下記リンクの米amazonで視聴できる。
Amazon.com: Fuggi, Fuggi, Fuggi: MP3 Downloads: The New World Renaissance Band

このサイトに書かれている曲の歌詞
Title: Fuggi Fuggi Fuggi
by Giuseppino (Italian circa 1600)

Fuggi fuggi fuggi da questo cielo
asp're duro spietato e gielo
tu ch'il tutto i prigioni e leghi
ne per pianto ti frangi o pieghi
fier tiranno giel dell'anno
fuggi fuggi fuggi la dove il verno
su le brine ha seggio eterno

Vieni vieni candida
vien vermiglia
tu del mondo sei maraviglia
tu nemica d'amare noie
da ad anima delle gioie
messaggiera per primeravera
tu sei dell'anno la giovinezza
tu del mondo sei la vaghezza.




posted by takayan at 08:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | モルダウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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