最初に買ったジャンプが『北斗の拳』の初回だったせいもあって、思い入れがある。あのインパクトはすごかった。すぐに、『マッドマックス2』のモロパクリの時代設定だとは分かった。でも良い。ブルース・リーの影響もいい。あの濃い絵のタッチと、北斗神拳の破壊力は、とにかくいい。格闘マンガ最高!
それにしても今では『北斗の拳』は知ってても、『マッドマックス2』知らん人の方が多そう。
さて本題。
この『北斗の拳』の『斗』の字、『闘』の略字として使われることがあるが、この『斗』の字には一切、「闘う」の意味は含まれない。手書きの時代、『闘』の画数が多いために、音が同じこの字で代用されてきた。これを活字としては使わないほうがいいだろう。許されるのは、誤用だが手軽な略字だと割り切って、手書きのメモ書きの場合だけだろう。
『北斗の拳』のセリフの中でも『斗う』という使い方はしていなかったはずだけど、これを読んだ後に、どこかで『斗う』と使うことがあるという知識を吹き込まれれば、ずっと『斗』の字に「たたかう」の意味があると思い込んでしまうだろう。このマンガのせいで、かなり多くの日本人が子どもの時に刷り込まれてしまっているんじゃないかと心配したりする。昔は学のある人たちが割り切って使っていたことが多かっただろうが、まだ知識のない子どもたちへのマンガ由来での浸透だからちょっと心配。くれぐれも漢字変換できないとか苦情は言わないように。
『斗』は、水をくむ道具の象形文字。日本だとヒシャクという道具。意味はそれに由来する。北斗七星の形を見ればいい。ちゃんとヒシャクの形をしている。そのことは小学校でみんな習っているはずだ。北天にあるヒシャクの形の七つの星、それが北斗七星(大熊座)。ついでにいうと、南斗六星も、南にあるヒシャクの形をした六つの星(射手座)。でも『北斗の拳』では南斗六星のヒシャクの形を全く強調していなかった。それは意図的なのか、それとも知らなかったのか。
もうひとつ。ローマの初代皇帝アウグストゥスには胸から腹にかけて大熊座のあざがあったという伝説がある(スエトニウス著『ローマ皇帝伝』)。本を読んだとき、絶対これを元ネタにしてる!と思った。ユリアの名前がローマ風なのも、ここから来ているのではないかと密かに思ってる。