2006年09月30日

純情きらり(156) 最終回

<内容>

有森家。輝一がマリで遊んでいる。それを勇太郎が8ミリカメラを持って寝そべって輝一の視線で写している。子どもも大人もみんなが囲んであやしている。よしと、勇太郎がカメラを収める。ちゃんと撮れたかと磯。あとは映写機を借りてきて映すだけだ。すると突然笛子がみんなから離れて、つわり。もしかしたらと杏子。またできたかと磯。そうなんだよ冬吾、よりによってこんな時に、できるときはできるんだねと笛子。まるで桜ちゃんが授けてくれたみたいだと冬吾。

病室。やつれた桜子。今日は冬吾の絵を持ってきたよと、笛子が絵を壁に立てかける。絵は展覧会に飾ってあった桜子をモデルにした絵。ありがとうと桜子。しっとる。あたしずっと昔からあんたにやきもちやいとった。あたしあんたのことがうらやましかった。自分に嘘をつかず、ほしいもの、やりたいことにまっすぐ向かっていくあんたがうらやましかったんだ。ほいでもいつのまにかあんたに助けられとった。冬吾と一緒になるときも、ピアノを売ってまで支えようとした。冬吾が死にそうになったときもなんだかあんたが生かしてくれたと思える。笛子が桜子の手を握って、ほいだから桜子。笛子感情を抑えきれなくなる。あんたがおらんようになったらお姉ちゃん困るよ。どうしたらいいか分からんよ。笛子がそう言うと、桜子が、大丈夫だよと優しく言う。笛姉ちゃんには冬吾さんがいるじゃない。カズちゃんとトオルちゃんとそれからもう一人の赤ちゃんも。笛子が赤ちゃんのことを言われて驚く。そして微笑みながら、おめでとうと桜子。笛子は桜子の手を頬に寄せ感謝する。

病室の入り口近くにかけられた冬吾の絵のアップ。入り口から達彦が入ってくる。笛姉ちゃんにきいたけど、達彦さんの顔を見ると輝一っちゃんえらくいい顔で笑うんだってと桜子が弱々しいけれど、甘えたうらやましそうな声で語りかける。父親はわかるんだと達彦。得意そうな顔しちゃってと桜子。すぐ寝るんだぞ子守歌を歌うと達彦が自慢げに言う。私にも聞かせて、輝一には歌ってあげたんでしょと、桜子が弱々しいけど甘えた声でねだる。わかったよとどことなくうれしそうに達彦。「眠れよい子よ、庭や牧場に、鳥も羊も、みんな眠れば...」。思い浮かべるように桜子は歌を聴いてるが、突然が苦しみ出す。

病室の廊下に有森家のみんなが走って飛び出す。病室の戸の前でいったん止まって、それから入る。まあびっくりした。達彦さんが慌てふためいて連絡してくるから、気が気でなくてと笛子。急に高熱が出てと達彦。いまはおさまって。こんなふうにみんなが集まってくるなんて病気も悪くないねと桜子が弱々しけど楽しげに言う。どれだけ心配したと思っているのと笛子、泣き出してしまう。すると冬吾さんハンケチ持っていないのと桜子。そんくらいもっとらんと笛子姉ちゃんの涙がいつでも拭けるようにと。杏姉ちゃんと声をかける。何桜ちゃんと杏子。後ろには浩樹の顔。幸せになってね、これからもいろんな人を幸せにしてあげて。桜子が続けて勇太郎に声をかけると、俺は笛姉ちゃんと杏姉ちゃん二人を助けていくで心配するなと頼もしいことを言って、桜子を安心させる。次に桜子が磯に声をかけると、わかっとる何もいわんでいい、叔母さんにまかしときと磯。そして達彦さんと桜子が言うと、もういいよ、何もしゃべるなよと達彦。今言わんと言えん気がするでと桜子が遮る。君が音楽を忘れない限りと桜子が言うと、それに続けて達彦が言う。僕は君の中に生き続ける。そして桜子が言う。私は音楽の中に生き続ける。達彦さんと輝一と一緒に。輝一に言って、さみしくなったらピアノを弾いてみりんて。あのノートを渡してあげてと桜子。達彦がノートを出し、これだろう。輝一が大きくなったらおまえが渡すんだろうと達彦が言い聞かせる。笛子と冬吾順番に悲しんでいる表情が映る。達彦さん、ちっともさみしくないよ、私は音楽の中におるからと桜子。天を見上げて、輝一ちゃん。一遍でいいから輝一のこと抱きたかったなととても弱々しい声で桜子がささやく。

桜子の急変に気づき、笛子が桜子と叫ぶ。目を閉じてしまう桜子。映写機で見せてやってと笛子。勇太郎が急いで準備をする。冬吾がカーテンを閉める。桜子起きて、まだ寝たらいかん。あんたの赤ちゃんだよと笛子。暗くなった部屋に赤ん坊の白黒の8ミリの映像が映しだされる。桜子は目を開き、映像に気付き、輝一っちゃん、輝一っちゃんと消えるような声で繰り返す。みんなの悲しい顔。冬吾だけは硬い表情。輝一が無邪気にカメラに近づいて、画面一杯になる。もう消え去ろうとする意識の中で、その姿に桜子が手を伸ばす。まるで輝一の頬をなでるように手を動かす。

画面がいったん暗くなり、輝一の映像とともに、桜子の語りが始まる。テーマ曲が流れている。

輝一っちゃん元気ですか。
ひもじい思いはしていませんか。お父さん、おばさん、おじさん、あなたの周りの人たちも元気ですか。
お母さんはあなたを抱いて育てることはできません。
そして、あなたが物心つく頃にはきっとこの世界からいなくなっていることでしょう。
お母さんの人生は、人から見れば、あっけなくて、つまらない、さびしいものにうつるかもしれません。
あんたもそう思うかもしれんね。
ほいでもね。ちがうんだよ。
お母さんは十分に生きた。十分に輝いた。
お母さんの人生には素敵なことが山のようにあった。
その中でも一番素敵なことは、あなたのお父さんに出会えたこと、そしてあなたに出会えたことです。
意味のない人生なんてない。
輝きのない人生なんてない。
さみしいときはピアノを弾いてごらん。
輝一っちゃん、お母さんはそこにおる。
ほら、お母さんはあなたのそばにおるよ。


この桜子の語りの間の映像。
有森家。輝一が縁側に腰掛けている達彦の膝の上にいる。それをみんなが囲んでいる。冬吾がその輝一の姿をデッサンしている。その後ろから見ている笛子と笑顔で話をしている。

山長。達彦が山長に輝一を抱えて入る。キヨシも来ていて輝一を取り囲む、仙吉さんが味噌をなめさせている。
カフェマルセイユ。達彦が輝一を抱えてピアノの前に座っている。抱えられた輝一が鍵盤をたたいている。マスターヒロが輝一を抱えて、鍵盤の上を歩かせているふうに動かしている。

スタジオ。西園寺と秋山が、桜子のまだ見ぬ子への曲を二人で演奏している。

有森家。ピアノの部屋。達彦がピアノを弾いている。トオルがハモニカ。女の子たちが歌を歌っている。それをみんな座っている聴いている。笛子が輝一を抱えている。輝一は行儀よく音楽を聴いている。

並んでいる写真が映しだされる。父と母が並んでいる写真。母マサのピアノを弾いている写真。出生前の仮初めの達彦と桜子の結婚式の写真。ドレスを着たかねと桜子の写真。達彦を抱えた輝一の写真。


映像の途中、元気な姿の桜子が普段来ていた桜色の着物を着て現れる。暗い部屋で語りの間に流れる映像を見ている。そんな影が顔に映っている。とても幸せそうに光のほうを見つめている。
そして語りの部分が終わりのほうに来ると、黒い背景からぱっと明るい背景になって、輝くような桜子の笑顔のアップ。そして完の文字。

一番最後。音符が一つのアニメーション。オープニングのタイトルバックでは、有森家の四きょうだいに見立てた音符が春夏秋冬の自然の中を通り過ぎていくというアニメーションが流れている。その一つの桜子を表している二分音符が一つだけで現れ、天からの光の中に消えていく。

完。

※最終回の今日はダメージが大きすぎで、なかなか書く気になれなかった。
※せっかくだからビデオを見直して詳しく書いた。前半のセリフはいつものように端折ってる。
※書きたいことはいっぱいあるけれど、とりあえず内容のみ。


posted by takayan at 23:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 純情きらり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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