asahi.com 「結婚・子供2人 極めて健全」 柳沢厚労相が発言(2007年02月06日)より引用
・・・略・・・ 国立社会保障・人口問題研究所が05年に実施した調査によれば、9割が「いずれ結婚するつもり」と答え、希望する子どもの数は「2子以上」が85%にのぼるが、実際にはそこまで達していないことを踏まえた発言。・・・略・・・
この記事に出てくる「国立社会保障・人口問題研究所」は、1996年に厚生労働省に設置された国立の政策研究機関で、少子高齢化関連の統計及びその分析をおこなっている。
そしてそこが発表した今回の資料となるもの
・第13回出生動向基本調査 結婚と出産に関する全国調査 独身者調査の結果概要
「若者たちが結婚を望んでいる」ことの根拠となる部分を引用すると、
1-(1)結婚の意欲
結婚する意思をもつ未婚者は9割で推移
いずれは結婚しようと考える未婚者の割合は、近年わずかずつ減る傾向にあったが、前回調査(2002年)以降下げ止まりが見られ、今回調査でも男女とも9割程度で推移している。逆に「一生結婚するつもりはない」とする未婚者は男性でやや増えて7%台となったが、女性では5%台にとどまっている。
また「若者たちが二人以上の子供を望んでいる」ことの根拠となっている部分は、
3-(3)子ども数についての希望
未婚男女の希望子ども数は下げ止まり傾向
「いずれ結婚するつもり」の未婚者が希望する平均子ども数は1982年の調査開始以来減少する傾向にあったが、今回調査では男性2.07人(前回2.05人)、女性2.10人(2.03人)で、下げ止まりが見られた(表3-1)。希望子ども数の分布にも前回調査(2002年)からは大きな変化は見られない(図3-5)。また、希望子ども数は従来は男性の方が多い傾向にあったが、しだいに男女差が縮小し、今回は女性の数値が初めて男性を上回った。
前回引用した柳沢大臣の発言でほとんど無視されている前半の部分では、若者たちの結婚や子供をつくる状況がとても厳しい状態にあり、それを支援する必要があると述べていて、そのあとに、若者たち自身はそんな状況の中でも「結婚し、子供を持つことを望んでいる」ということをこの統計を踏まえて語り、それを「極めて健全」と述べたに過ぎない。上記の資料の存在を頭に入れておけば、二人以上持つことをのみ健全と表現したのではないことは、より明白になるだろう。
この発言を無知か作為かどちらかにしろ切り取って批判した政治家。そのような政治家の批判を大臣発言の原文を知りながらそのまま国民に垂れ流し煽ったマスコミ。彼らには、あきれかえってしまう。もちろんこの発言に対しどういう言葉を吐いたかを検証すれば、言論人も政治家もどんな作為を持った人か、どんな読解力を持った人かを知ることができるだろう。これはとてもよい試金石になったと思う。
ただ最後に付け加えておくけれど、僕はこの「健全発言」の妙な言いがかりに対して不快感を述べただけであって、柳沢大臣や安倍首相がやろうとしていることが全て正しいと考えているわけではない。そういうところはひとつひとつ自分でこんなふうに政治家やマスコミの誘導も疑いながら考えるしかない。