番組ホームページ:地球ドラマチック「知られざるカバの世界」
NHK教育 2007年3月14日(水) 19:00-19:45
原題:Hippos - The river beast
制作:National Geographic(アメリカ)2006年
◆カバとクジラ
古生物学者フィリップ・ギンガリッチ(Philip Gingerich)が発見した化石。足の骨の一部で牛やカバの仲間に特有のもの。※これは「距骨」という骨らしい。この骨により、カバとクジラは5500万年前に同じ先祖から枝分かれしたと考えられるている。
初期のクジラは足を使って泳いでいた。尾を使って泳ぐようになると、足は退化し流線型の体に。現在のクジラには体の内側に足だった骨が残っている。
化石だけでなく遺伝子の研究でもあきらかになってきた。画面に系統樹が示される。ラクダが別れ、ブタが別れ、キリンやシカが別れ、カバとクジラが別れる。そのあとハクジラとヒゲクジラが別れる。
◆カバとクジラの類似点
二つの動物の大きな類似点としてクジラの噴気孔とカバの鼻孔。両者とも水を遮断し、体内に空気を閉じこめておくことができる。たとえ眠っていても水面下に沈むと自動的に閉じる。カバは五分程度水中に潜ることができる。
◆カバのコミュニケーション
カバの鼻は呼吸器官だけでなく、コミュニケーションの道具でもある。クジラのコミュニケーションはよく知られているが、カバにも同じような能力があることがわかってきた。
カバのコミュニケーションを専門に研究している動物学者ビル・バークロー。オハイオのトレド動物園。カバはコミュニケーションをするとき口を開かず鼻を使う。喉で発せられた音波は口ではなく鼻の穴から外に出る。野生のカバは120dbというジェット機の離陸音に匹敵する大きな音を出す。
カバは水中と空中で同時に音を出せる。目と耳と鼻を空中に出し他の部分を水中に沈める。空気中では鼻から音を出し、耳でそれを聞いている。同時に水中では、喉の周りの脂肪を振るわせて音を出す。カバは空気中の音と水中の音を同時に聞くことができる。水中ではアゴを使って音をうけとめている。下あごが頭蓋骨につながる部分に薄い骨があり、水中の音を感じている。
◆カバの食事
カバは食料を求めて陸にも上がってくる。カバは日が落ちてから活動する。草を食べるとき厚い唇を使う。草をむしり取り、奥歯ですりつぶして食べる。一日で45キロの草を食べる。体の大きさはゾウの三分の一、食べる量は六分の一。カバの胃は四つあり、効率よく消化吸収する。牛のように反芻はしない。胃だけでほとんどのものを分解することができる。
◆カバの皮膚
カバの皮膚は鎧のように硬い。ライオンの攻撃も受け付けない。今でもこの皮のために密猟されて盾や鞭に使われる。気温が高くなるとカバの肌はピンク色になる。これは皮膚から出る分泌物の色で、日焼け止めの役割がある。カバは15頭程度の群れで生活している。一匹の強いオスが交尾する権利を独占している。オスは縄張り争いをするため、年取ったオスの皮膚はたいてい傷だらけになる。しかし感染症には滅多にならない。ピンクの分泌物には殺菌作用もあるから。
◆その他の生態
・カバは出産も水中で行う。赤ちゃんは40キロ。
・オスが子供のカバを水中に押さえつけ溺死させる映像がある。理由は不明。
・カバは短い距離ならば時速30キロ以上で走る。
・カバは縄張りを主張するために糞を尾でまき散らす習性がある。
・南アフリカのセントルシアでは、夜、人家の近くに草を食べにカバが出没する。そのため注意を促す標識がある。
カバは今や絶滅危惧種。私たちはカバの持つ素晴らしい能力を理解し始めたばかり。
■参考資料
・地球ドラマチック「知られざるカバの世界」 - NHK番組ホームページ
・Origin of Whales from Early Artiodactyls: Hands and Feet of Eocene Protocetidae from Pakistan ...番組に出ていたギンガリッチ氏のサイエンス誌の論文(英文)
日本語タイトル「クジラの起源は初期の偶蹄目:パキスタンで見つかった始新世プロトケトゥスの手と足」
・サイエンス日本語版 2001年9月21日号 解説
・Evolution of cetaceans - en.wikipedia クジラ目の進化(英文)
ところで ゾウの鼻はなぜ長いんでしょうか?
って どっかで聞いたような言いまわし!?
コメントありがとう。
ゾウの鼻は。。。
うまいジョークを思いつかない。