そのあと一番の目的だった岩波新書・黄版102松田道弘著「トランプものがたり」(1979/11) を探してみた。タイトル覚えてこなかったので岩波新書が並べてあるところをひとつひとつ眺めてそれらしい名前がないかずっと調べた。でもなかった。
このまま帰るのもなんだなと、何の気なく棚をざっと見回しながら歩いているとどこかの棚のその上に伊和辞典を見つけた。本との出会いはときどきこういうものがある。あとから考えるとまるでその本に引き寄せられるように歩いている。
きっと辞書の棚に入りきれないから適当に空いている場所をみつけて仕方なく臨時の辞書置き場にしていたのだろう。辞書とは全然関係のない、こんなところにあるなんて誰も思わない。マンガ目当ての人がほとんどのこの店ではイタリア語の辞書をほしがる人なんていないからかもしれない。値札は105円。ちょっと目を疑ってしまった。
家に帰ってから眺めてみるとその辞書は1994年発行のものだった。定価は6600円。箱入りでほとんど使っていない。手垢も付いていない。ただ試しに探してみると挨拶の単語にいくつか下線がひいてあった。
僕はオンラインや電子辞書よりも紙の辞書が好きだ。便利だからデジタルのほうもよく使うけど、それだと調べていることしか調べられない。紙の辞書は、使っているうちに馴染みの挿絵ができてくるし、めくってるうちに予期しない知識にも出会うことができる。そういう体験がいい。両手の中から言葉をとりだしているという感覚もいい。
そういうわけで、まだまだトランプ関係の投稿が続くだろう。