みんな日頃、夜空見上げてるのだろうか。僕は夜道を歩くとついつい星を眺める。いつもと違う夜道だと北極星の場所を確認せずにはいられない。そして星座を何か一つでも見つけようとする。あのまぶしい星は金星だな、星座に紛れてるあれは木星かなとか。年に何度か天体望遠鏡を引っ張り出しては、木星の衛星や土星の輪を眺めて、ささやかな宇宙の奥深さを再確認する。この世界は人工物ではないが数学的だって実感をする。もちろん冥王星まで眺めることはできなかったけれど、他の惑星と大きく違うことも知っていたから、この降格にはさもありなんというのが感想だった。(参照 さよならプルート)
おととい久々に冥王星のことを書いてある記事を見つけたので、調べてみた。でもなんかかわいそうなタイトルだ。
2007/06/15-09:12 冥王星、また「降格」=エリスより軽いと判明−米天文学者 - 時事通信社
(略)
米天文学協会が14日明らかにしたところによると、同教授らはハッブル宇宙望遠鏡などで観測したエリスの衛星ディスノミアの軌道上の動きから、エリスの質量は冥王星の1.27倍と計算。エリスの直径は冥王星よりやや大きいとされてきたが、質量も上回っていることを突き止めた。冥王星は質量の比較でも、準惑星グループのトップの座に立つことができないと判断されたわけで、「第二の降格」(ロイター通信)といわれている。
(略)
結局、冥王星が分類されたdwarf planetという言葉の訳語は矮惑星ではなく、準惑星となった。このことはこのブログにも書こうかと思ったけれど、書きそびれていた。一番大きくて重い準惑星だとわかったエリスというのは、去年惑星の定義が決まった頃「2003UB313」という名前でしきりに出てきた星。この星の存在がこの惑星の定義を決める大きなきっかけになった。
(参照 クローズアップ現代「さよなら冥王星」 去年書いたので情報古いです。)
惑星の定義がきまってしばらくしてこの2003UB313にエリスErisという名前がついた。同時にその衛星にディスノミアDysnomiaという名前が付いた。どちらもギリシャ神話からの命名で、神話ではディスノミアはエリスの娘。ちなみにエリスは有翼の女神として描かれる。エリスは不和の女神ともされて、この星の発見がもたらした議論を思い出させてくれる名前。
文中にロイター通信とあるので英語の元記事はこれだと思う。
WASHINGTON (Reuters) - Poor Pluto has been demoted again.
でも「第二の降格」っていうのはどこの文章だろう。それらしい"Poor Pluto has been demoted again"という文の訳は見出しで既に出てきてるのに。どうでもいいけど。
記事にあるハッブルは地球を回る有名な宇宙望遠鏡。英文の方では、ケック天文台でも観測したということも書いてある。初耳のこの天文台はハワイのマウナケアにある天文台群の中の一つ。W.M.Keckという言葉はどんな意味があるのかなと思ったら、W.M.Keck財団というところから総額1億4千万ドル以上もの助成金を受けて建てられたからだそうだ。この財団は石油で成功したWilliam Myron Keck氏が1954年に設立した慈善団体。
いちおう、話題に上っているサイエンス論文は、次のリンク。今回の論文の概要。細かなデータが書いてある。
The Mass of Dwarf Planet Eris - Science(英文)
観測に使ったハッブル望遠鏡とケック天文台のサイトにもこのニュースの記事があがってる。ハッブル天文台の方には、ErisとDysnomiaの写真も掲載されている。
Astronomers Measure Mass of Largest Dwarf Planet - HUBBLE
Astronomers Measure Mass of Largest Dwarf Planet - KECK
ハッブルの撮した美しい天体写真が他にもあるので、興味がある人はさまよってみるのもいい。
HubbleSite - Gallery