(クラブについての内容は自分でも読みにくいと思うので、あとでもう少し分かりやすく書こうと思ってる。)
トランプに使われているハートの形、フランス式のカードのそれは、はっきりとドイツ式のカードを参考にして作られている。同じようにスペードの形もドイツ式のはっきりとした影響が見られるが、ただそれは剣ではなく、まぎれもなく葉っぱとして描かれている。
フランス式のトランプは、ドイツ式のトランプの影響を受けたことはおそらく確かなのだろうが、ネット上で確認できる画像として古いものは次の1545年のものしかみつけられなかった(フランス式は15世紀後半に開発されている)。
Satirical Playing Cards by Peter Flotner, Nuremberg, c.1545 - The World of Playing Cards
フランス式のハートは、単色の赤で塗られているが、ドイツ式のものは影が描き込まれた立体的なものになっている。この伝統はドイツで現在販売されているものにも受け継がれている。
では、このハートはどこに由来するのかというと、よく分からない。ドイツ式のものはドングリもそうだが、イタリアやスペイン式との直接的な関係性がわかりにくい。形の類似性により推測できるものもあるが、ハートに関しては独自の採用のように思われる。ちなみにトランプのハートはイタリアやスペインでは聖杯に対応する。
ところで、ハートの形は、そもそも何なのだろう。心臓を意味するのは分かるが、形は心臓そのものに由来するのだろうか。調べてみるとWikipediaぐらいにしか書いていない。さらに調べてみると、日本語版のWikipediaのハート(シンボル)に書かれている起源は、英語版のWikipediaが元になっている。そしてその英語の記事で紹介されているのが次のページ。
Where does the ubiquitous Valentine's heart shape come from? - By Keelin McDonell - Slate Magazine。
意外に最近の記事で、これは今年2007年のバレンタインデイに合わせて書かれたものだ。
この記事で紹介されている説は、Wikipediaにも載っているが、絶滅したセリ科Ferula属のsilphiumという植物の実の形とする説である。
紀元前七世紀に現在のリビアにあった古代ギリシャの都市国家キュレネCyreneにおいて、このsilphiumが重要な輸出品であった。この植物が珍重された理由は、これが避妊薬として使われたからであり、コインに描かれるほどこの都市の経済にとって重要な位置を占めていた。そのコインに描かれている形がまさしくハートの形をしている。このコインは現代にも伝わっている。ここに愛(性愛)とこの記号の最初の結びつきがあるというのだ。
Silphium - en.Wikipedia ※コインの画像あり
この説が本当に正しいのかは分からない。ハート模様が描かれたコインは残っているのでそのことは事実であるが、愛と結びつけて当時の人たちが考えていたかまでは、これだけの情報では、憶測でしかないだろう。そしてこれがドイツ式のトランプの記号に現れるまでのおよそ二千年間、必ず他の場所でも使われていなくては、この記号の意味が継続して使われているとは言い難いのだが、それを確かめる術は僕は持っていない。
他にも、人間以外の心臓説や、女性の性的ないろいろな部分が元になっているのではないかという説が英語のWikipediaでは詳しく書かれている。この女性の性的な部分説の話の中では、似たような例として、女性器を象ったとされるシュメール文明の「女」を表す楔形文字や、ヒンドゥー教のヨミのことにも触れられている。
こんなに身近なハートの形なのに、どうしてそれが愛を表すようになったかということについては、実はよく分かっていない。ただ心臓などではない説の方が愛を説明するにはもっともらしく聞こえてくる。
ハート型のことが気になって検索していて、こちらに辿り着きました。
私もハートについて記事を書いたのですが、その中でこの記事のリンクを入れたので、お知らせに来ました。
問題があるようでしたら、お知らせください。
「ハートとアラベスク」
http://blog.goo.ne.jp/tres-cerdidos/e/4fc42dce955134ed2cf177f2775468ce
リンクしていただいて、ありがとうございます。
無断転載ならば問題ですが、リンクに関しては報告が無くても全然問題ありません。