2007年10月02日

北京ヴァイオリン

先週の木曜日、BS2で「北京バイオリン」という中国ドラマの最終回をやっていた。毎回欠かさずとまではいかなかったが、4月に始まったこのドラマをずっと見ていた。

これは数年前に日本でも上映されたチェン・カイコー監督の映画「北京ヴァイオリン」のテレビ向けのリメイクだ。基本的な設定は映画とほぼ同じだが、オヤジの過去から物語が始まったり、結末もいろいろ違ったりしていた。

映画版が好きだったので、ドラマ版の内容には違和感を覚えないこともない。最終回は、これで終わり?という終わり方だったけど、この物語はオヤジが主役なんだなと思えば少し自分を納得させられた。

このドラマはさっそく10月から地上派で放送が始まる。放送時間は総合テレビで10月6日(土)午後11時10分より。全24話。タイトル表記は「北京バイオリン」で、映画とは違う。


さて、今回の投稿は、このドラマが再び始まるからその紹介のために書いたのかというと、正確にはそうではない。実は映画のことを書きたいから書いてみた。

まだ映画を見ていない人は、このドラマを知って映画の存在を知りそれを見たくなるかもしれない。でも、詳しくは言えないが、それは絶対逆の方がいい。良さが半減するだろう。

映画を見て、ドラマを見て、再び映画を見るというのがいい。映画の後にドラマを見てニヤリとするし、ドラマの後に再び映画を見るとそこでもニヤリとすることができる。その方がきっと楽しめる。

興味がある人は地上波で始まる前に映画のDVDを見てみよう。まあ人それぞれだけどね。


・amazom.co.jp「北京ヴァイオリン」検索結果へのリンク 北京ヴァイオリン
わざわざ、結末を含めたあらすじを書いてしまっているものもあるので、レビューは見ない方がいい。

これから後は、映画のことを書いてある。読まないなら読まない方がいい。映画版を見る前に押さえておいた方がいいと思うことだけで、ネタバレになることは書いてないつもり。

映画のタイトルは「北京ヴァイオリン」。このタイトルは日本独自のもので、中国語の本来のタイトルは「和你[イ尓]在一起 」(あなたと一緒に)。英題だと原題に近い「Together」。映画の内容は、邦題よりも本来のタイトルの方が焦点が合っている。これを知っていると物語の印象が少し違ってくるから頭の片隅に入れておいた方がいい。

監督は、陳凱歌(チェン・カイコー)。「さらば、わが愛/覇王別姫」、「始皇帝暗殺」、「PROMISE」の監督の人。

ストーリーはとてもシンプル。難しく考えなくても、美しい映像と音楽に感激しながら、そのまま主人公の少年の心と一緒に一つ一つ北京のまちで起こる出会いや別れを体験していけばいい。難しく考えたければ、二度目に見るときに考えればいい。

田舎に住む父リュウと一人息子チュン。母はいないらしい。息子チュンにはヴァイオリンに天性の才能がある。父はその息子を心から愛している。父はすべてをこの子の才能を伸ばすために捧げている。コンテストに参加するために二人は北京へと向かう。

少年チュンは北京で二つの大きな出会いをする。派手なお姉さんリリ、そしてだらしない師匠チアン先生。登場人物が少ない分、重要な人物が際だってきて、一人一人に感情移入しそれぞれを中心に物語を見ていくことができる。そうやってみると原題の言葉が主人公親子だけのものではないと分かってくる。様々な形の原題の「あなたと一緒に」という人々の関係を描いている。

この物語には、いろいろな対比が現れる。田舎と都会。父と息子。男と女。リリとチアン先生。猫と暮らす先生と弟子と暮らす教授。貧しさと豊かさ。現在と過去。等々。そういうところがところどころ気にとまる。再度見るとき、そういうところに注意してみると、この物語が描いているものがもう少し深く見えてくると思う。

最後のシーン。ヴァイオリンの演奏は圧巻だ。このシーンはやはり映画の方が格段に素晴らしい。演奏直後の余韻の活かし方も最高だと思う。

僕は映画に感動するとしばらく引きずってしまう。ふとシーンが思い起こされて涙さえこぼしてしまう。印象的な音楽も必須事項。いろんなシーンを思い出して、この後どうなったんだろう。どうしてそうしたんだろう。そんなことをしきりに考えている。今年の初めにこの作品も初めて見たときもそうだった。

見終わった後、ユイ教授が、監督本人が演じているのだとわかった。またリリ役の女優チェン・ホンが監督夫人であることもわかった。それも監督の作品で初めての出演らしい。そのことがまたこの作品を別な見方で見させてくれた。

ユイ教授はとても厳しい先生だ。間違った人ではないただ対極にいる人だ。師匠から弟子への言葉として、教えを語るシーンがいくつかある。これは映画より発せられる監督自身の言葉でもあるのだろう。率直な主張かもしれないし、皮肉かもしれない。


posted by takayan at 01:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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