2008年02月08日

ピンキリ考 第三弾

ピンキリの語源についてまた調べてみた。
今回は「ピン」について。
あらかじめ書いておくけど、卑語とか出ます。

以前調べたように、広辞苑(第五版)によると「ピン」は、「pinta(ポルトガル) 点の意」とある。ここを疑ってみる。

ポルトガル語の「pinta」が対応する英単語は「point」ではなく、「paint」である。広辞苑にある「点」という意味より、斑点とか、しみとかいう意味の方が近い。では英単語の「point」に対応するポルトガル語はというと、「ponto」である。これはサイコロの目を指す言葉としても使われる。つまり広辞苑の解釈ならば、pintaよりもpontoの方が語源には適している。

「ponto」というポルトガル語を聞いて、「先斗町」を思い起こす人もいるかもしれない。広辞苑で先斗(ポント)町のポントを調べると「pontaは先、pontoは点の意。「斗」は捨て仮名」と書いてある。

辞書でpinta, ponta, pontoの語を調べてみると、近いところにpintoという語が出てくる。ポルトガル語の発音なので、ローマ字読みそのままにはいかないようだが。

pintoの意味を白水社の辞書で調べてみると、次のような意味が出てくる。
pinto m.
1.雛、ひよこ
2.<古語>ポルトガルの通貨
3.<口語>子供
4.<卑語>ペニス
なかなか面白い。

別の辞書だと(辞書の名前は忘れた)、
pinto s.m.
雛、ひよこ
<俗語>子供
召使いが買い物のピンハネをする。

最後のものは、記号の意味を忘れてしまったのだけど、ブラジルだけで使われる表現という意味だったと思う。

この古い通貨のはっきりした価値は分からないが、他の意味からして、低い価値の単位だったんではないだろうか。日本語における「一文」のような感じかな。そのため、最初は貨幣の単位だったものがほかの意味が派生してきたのではないだろうか。ポルトガル語の単語の語源なんてそう簡単に資料が見つからないので、今は憶測でしか言うことができない。ただ日本語でもペニスを息子と呼ぶ俗語はみんなもよく分かるものだし、すべて想像できる範囲の意味の変化だろう。

最後のがなかなか面白い発見。でもピンハネが出てきたのは単なる偶然ではないかと思う。小銭をごまかすのはとても分かりやすい言葉の転用だ。日本語のピンハネは元々他人の利益から「一割を取る」から来てることになっているが、もしかすると、同じ由来だったのかもしれない。

確認しやすいように、ポルトガル語のWikipediaでpintoの項を示す。
Pinto pode ser:
Ave filhote da galinha, frango.
Nome de familia (sobrenome).
Giria popular para penis.
Giria para crianca.
Pinto - unidade de medida.
pinto - pt.wikipedia

機械翻訳を利用して訳してみると、
・若い雄鳥
・姓
・ペニスを表す一般的な俗語
・子供を表す俗語
・計量単位(英語におけるパイント)
という意味になるだろう。

このように値が少ないもの、幼いものを表す言葉として当時も使っていたのかどうか分かれば面白い。そしてカードの一番少ない値に対してそう呼んだという例が出てきたら、なおいい。

もしかすると、天正カルタ(というかポルトガルカード)の竜の描かれた1のカードがペニスのように見えたのかもしれない。連想としてそう呼ばれたのかもしれない。ミミズのようなあの竜が。とにかく、当時日本に来たポルトガル人がそんな俗語を使っていたか、調べてみないと分からない。でも、ピンの語源がこれだったら、ちょっと困る。


・関連過去記事
ピンキリの語源
ピンキリ再考


posted by takayan at 01:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 言葉・言語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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