2008年08月04日

「ドレスデン大空襲」のアンコール放送予定

ふと番組表をのぞいてみたら、ドキュメンタリー「ドレスデン大空襲」のアンコール放送の予定があった。
これについては二年前に「ドレスデン大空襲」の視聴記録に書いた。とてもよくできたドキュメンタリーだった。ドレスデン大空襲のことはあまり伝えられることはない話だったので、正直、僕はこのドキュメンタリーで初めて知った。


是非ハイビジョンに合わせられる人は見てみてください。

「ハイビジョン特集 ドレスデン大空襲」 8/10
 BShiでアンコール放送 ‘06年にBS世界のドキュメンタリーと、ハイビジョン特集で放送した「ドレスデン大空襲」。 ご好評につきまして、8月10日(日)午後4時から衛星ハイビジョンにて、再放送します。
 【掲載日:2008年8月03日】

BS世界のドキュメンタリー


NHK番組表にある番組の解説
市民の命を奪う〜空爆の悲劇〜 ハイビジョン特集「ドレスデン大空襲」 - NHK 番組表

チャンネル:BShi
放送日  :2008年 8月10日(日)
放送時間 :午後4:00〜午後5:30(90分)
(8/5追記 放映データ)


二年前これを見た後、僕はカート・ヴォネガットの書いた『スローターハウス5』を読んだ。このブログには感想は書いていないけれど。このSF小説は、実際にこの爆撃の下にいたカート・ヴォネガット自身の体験を元に書かれている。これほど貴重な体験なのにただの体験記で済まないところがこの人らしい。この人の作品を読んだことがない人は、ひねくれたこの作者の語り口にめんくらうことだろう。飛びまくる場面や、多次元人のトラルファマドール星人の登場に、きっと訳が分からなくことだろう。でも、しだいにその混乱そのものもこの物語が描こうとしている重要なことだと分かってくる。


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2009年05月04日

「教皇の美術館 バチカンの至宝1」

先日土曜日にBShiで刑事コロンボの後にやってた番組。

ハイビジョン特集  教皇の美術館 バチカンの至宝 第1回  ローマの威信を取り戻せ ルネサンスと古代彫刻 
 BShi   5月2日(土) 午後8:35〜10:05

ちょっと前までいろいろボッティチェッリの作品のこととかいろいろ書いて、そんな僕がこの番組があるのを知ったら、それは見たいと思います。もろその頃の話で見てとても良かった。

フィレンツェについての話はいくつか読んでいたけれど、当時のローマについては何も知らなかった。ローマは荒廃していたんだ。これは歴代の教皇たちが如何にして都としてのローマ、総本山としてのバチカンを復興させたかを描いた番組。貴重な映像を盛り込んで、バチカン美術館の様々な美術品が紹介される。来週はミケランジェロとラファエロの話。

以下視聴メモのまとめ


ローマは2500年の歴史を持つ都市。一キロ四方に満たないバチカン市国。11億5千万人のカトリック信者の総本山。バチカン美術館には年間400万を超す人たちが訪れている。

バチカン美術館には、歴代の教皇が収集したり、制作させたりした芸術作品が収められている。収蔵品は十万点。
中世には神やキリストの姿を描くことを禁じていたのに、どうしてこの頃の教皇たちはこのような宗教画を描かせたのか、古代ギリシア・ローマの彫像を集めたのかを探っていく。


番組は5つの章に分かれていた。

第1章 ルネサンス芸術を取り込め ニコラウス5世(在位1447〜55)
第2章 ルネサンスとバチカンの結婚 シクストゥス4世(在位1471〜84)
第3章 古代彫刻に託した思い ユリウス2世(在位1503〜13)
第4章 ラオコーンの謎
第5章 大聖堂建設 ユリウス2世(在位1503〜13)

それぞれの教皇の物語を通じてローマが復興し、バチカンの権威が回復していく様子を伝えていく。第1章と第2章は、それぞれ一人の教皇について語られるが、第3章から第5章(そしておそらく次回)はユリウス2世に関するものになっている。


第1章
教皇が支配するローマは見る影もなく荒廃していた。画面には街中の古代の遺跡が家畜の放牧場になっている荒れ果てたローマの様子描かれた銅版画が映し出される。大理石の建造物が石灰を作るために壊され焼かれていると当時の人文学者の言葉が語られる。一方周辺の都市国家は力をつけ、繁栄を謳歌している。この現状を打破するために、サンタンジェロ城を拠点に教皇ニコラウス5世が行動を開始する。教皇は噴水や水道設備などの公共施設などを再建した。それとともに1450年の「聖年」に、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂など四つの大聖堂を巡礼すると犯した罪に応じて死後に課される罪が免除されると宣言した。これによりヨーロッパ各地より巡礼者が押し寄せ、その寄進によりバチカンは莫大な金銭を手に入れることができた。

ニコラウス5世の言葉「大衆の心に揺るぎない信仰心を生み出すためには目に見える形で訴えなければならない。壮大な建造物や記念碑によって教皇の権威が伝えられるならば全世界がそれをあがめるであろう。」

そして、ニコラウス5世はフィレンツェで花開いたルネサンス芸術に着目する。ここで、フィレンツェ・ルネサンスの代表として、ボッティチェリの作品が登場する。「ビーナスの誕生」「春」の映像を映しながら「健康的な肉体。リアルな感情表現。古代ギリシア・ローマを手本とし人間の持つ肉体や精神をあるがままの姿を描こうとした。時代の最先端を行く芸術運動。」と解説。

ニコラウス5世はフィレンツェのフラ・アンジェリコにフレスコ画を描かせた。ニコラウス5世礼拝堂のテレビカメラによる撮影はこれが世界初。この部屋の壁面にはフレスコ画で二人の聖人の生涯が描かれている。上の段は、聖ステパノの生涯。最初の教皇聖ペテロから役職に任ぜられる。彼は最初の殉教者である。ユダヤ教徒の反感を買い石打の刑で殉教する。このとき彼は「主よこの罪を彼らに負わせないでください。」と祈ったとされる。下の段は、三世紀の聖人、ラウレンティウスの生涯。当時布教が禁じられており、財産が没収されたことになった。ラウレンティウスは教皇から教会の財宝を人々に分け与えるよう託される。次の画では老人、杖をつく盲人、足を引きずる人などに財宝を分け与える姿が描かれている。次の画では皇帝の前に連れ出され、拷問を加えるぞという脅しにも屈せず、投獄されても番人に布教する姿が描かれる。そして最後に火の中に投じられ、焼き殺される姿が描かれる。このラウレンティウスの物語に出てくる教皇の顔には、ニコラウス5世の顔が描かれている。

先のニコラウス5世の言葉のとおり、写実的なルネサンスの絵画は人々の心に信仰心を生み出させるのにうってつけのものだった。


第2章
シクストゥス4世はローマの設備に力を注いだ。広場を作り、そこに市場を開いた。公共施設の充実を図った。以後のヨーロッパにおける病院建設のモデルとなったサント・スピリト病院を建てた。大規模で壮麗なシスティーナ礼拝堂を創建した。現在のシスティーナ礼拝堂は、天井はミケランジェロのフレスコ画で埋め尽くされているが、完成当時、絵は側面のフレスコ画だけで、天井には星空が描かれていた。左右の側面には旧約聖書と新約聖書の物語が描かれている。この画を描くためにイタリア各地から画家が呼び集められた。番組内ではイタリアの地図を背景に四人の画家の肖像が現れる。リーダ役だとされているのがペルジーノ。そしてボッティチェリもこの中の一人。ボッティチェリの作品として次の三つが紹介されている。「モーゼの生涯の出来事」、「コラ、ダダン、アビラムの天罰」、「キリストの誘惑」。キリストの誘惑の中央には、シクストゥス4世の業績であるサント・スピリト病院の建物が描き込まれている。ペルジーノの作品として、「キリストの洗礼」、「聖ペテロへの天国の鍵の授与」が紹介される。この聖ペテロがキリストから授けられている鍵は、バチカンの紋章である交差する二つの鍵の由来でもあり、バチカンの権威の正当性を描いた作品になっている。絵画が強力な布教手段となった。


第3章
このように教皇たちの活躍により、本来の輝きを取り戻してきたローマとバチカン。そして登場するのが「恐るべき教皇」とも呼ばれたユリウス2世。教皇は古代ギリシア・ローマの彫刻を集め、展示した。ルネサンスの画家たちが手本とし理想とした古代彫刻。しかしバチカンにとっては異境の偶像。それをあえてバチカンに持ち込んだ教皇の意図は何か。

1世紀に書かれたプリニウスの「博物誌」。その中でどんな絵画にも彫刻にも優る作品として紹介されているのが「ラオコーン」。それがユリウス2世が教皇となって三年目に発見された。場所は皇帝の浴場があったオッピオの丘。発見者に莫大な年金を約束し、教皇はこの彫像を手に入れた。古代彫刻の中でも群を抜く傑作。

当時の人々にとって芸術や文化は現代の我々には計り知れない意味を持っていた。教皇は芸術作品の前で政治家や外交官と話をした。古代の彫刻、最先端のルネサンスの芸術作品を集めることにより、バチカンの教養と財力を示し、教皇の権威を内外に知らしめた。

このようにしてバチカンの権威は回復し、荒れ果てた街も復興していった。ローマはルネサンスの都として甦った。


第4章
「ベルベデーレのトルソ」、「クニドスのウェヌス」、「眠るアリアドネ」、「ナイル」、「ヘルメス」などの彫像が解説される。

多くの作品は古代ローマの頃ギリシアのオリジナル作品から精巧にコピーされたもので、この「ラオコーン」もそう考えられていた。根拠として、これはローマで見つかったものだが、「博物誌」には作者としてロードス島の三人のギリシア人の名前が挙げられているからだ。しかしそれを覆す説がある。1957年スペルロンガで発見された大理石彫刻の大量の破片が発見されたが、それを組み合わせると台座の部分に「博物誌」に書かれた名前が彫られているのがわかった。これは彼らがイタリアに来て作品を制作していた可能性を示すものかもしれない。そうするとローマで発見されたラオコーンもオリジナルの可能性が出てくる。結論はまだ出ていない。

ラオコーンにはもう一つの謎がある。それはラオコーンの右肩。ラオコーンには右腕がなかった。ラオコーンが16世紀に発見されて数十年後、フランスの王が型を取ってラオコーンのブロンズのコピーを作らせた。そのコピーには既に右肩がない。つまり発見された当初からラオコーンの右肩は失われているとされる。これを補うために今まで七つの右肩が取り付けられた。例として1950年に撮られた現在のものとは別の腕が取り付けられたラオコーンの写真が示される。

1905年に石職人の工房で一本の腕が発見された。この大きさや材質を調査した結果、ラオコーンのものであると断定された。現在取り付けられているのがこの腕である。しかし、以前の取り付け作業のとき、ラオコーン本体を削って取り付けてしまったため、本来どのようにつながっていたか正確にわからなくなってしまった。現在この研究が進められている。


第5章(この章は次回予告のようなもの)
ユリウス2世の改革は続く。教皇は世界最大の大聖堂を建設しようとした。これまでの聖堂は4世紀に建てられたもの。聖域でもある聖堂を壊すなど以ての外、激しい反発が起きたが、ユリウス2世は反対勢力を押さえ着工した。1506年。完成したのは1626年。これがサン・ピエトロ大聖堂。さらに教皇はシスティーナ礼拝堂の改修にも着手した。夜空が描かれていた礼拝堂の天井に創世記の物語を描かせた。描いたのはルネサンスの天才ミケランジェロ。そして教皇はもう一人の天才ラファエロに執務室の壁面を描かせた。

第二回「ユリウス2世と二人の天才芸術家」に、つづく。

次回の放送予定
ハイビジョン特集  教皇の美術館 バチカンの至宝 第2回  ルネサンスの栄光 ユリウス2世と二人の天才芸術家 
 BShi   5月9日(土) 午後8:35〜10:05


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2011年12月07日

「にっぽん縦断 こころ旅」 熊本の旅

火野正平が、視聴者から送られる手紙に書かれた「こころの風景」を、自転車に乗って訪ねていくBSプレミアムの番組。現在、熊本の旅をしてます。2週目です。

朝ドラ「カーネーション」のあと、7時45分から10分間の短い予告編のような「あさ」版があって、夜7時から29分版をやっています。夜だけ見るのもいいですが、「あさ」版に出てきて「よる」版に出てこない場面があったりするので、短い「あさ」版も見逃せません。

BSで「カーネーション」見て、これ見て(やってないときもあるけど)、ちょっと用事を済ませて、総合8時からの「カーネーション」をまた見て、有働さんの顔を確認したあと、NHKからチャンネルを変える、というのが朝の日課になっています。

手紙で紹介されるのは、手紙の主が人生の岐路に立ったときに見ていた景色や、ふるさとの忘れがたい思い出とともにある風景で、火野正平が冒頭で読み上げる視聴者の「こころ」とともに、その日のそういう一つの風景を求めて旅し、それを眺めるわけです。

火野さんが自らの肉体を酷使して目的地へとたどり着く行程を一緒に体感しながらというのがいいですね。ちょっとした地元の人たちとの触れ合いあり、動物や植物を眺めての癒やしありというのもいい。これはもてて当然だろうなという感じの火野さん自身の人との距離感もいいですね。

自分の知っている風景をこんな風に見るのはいいものですね。昨日は人吉・球磨川への旅でした。今日は、津奈木。そして明日が水俣で、金曜日は熊本を離れ鹿児島へ、という予定のようです。

番組公式サイト:
http://www.nhk.or.jp/kokorotabi/index.html



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2013年08月30日

地球ドラマチック「生きものはなぜ姿を変えるのか〜“変態”の不思議〜」について(1)

先日見た番組の感想。

番組名:
地球ドラマチック「生きものはなぜ姿を変えるのか〜“変態”の不思議〜」
ナレーター:渡辺徹
2012 BBC制作
チャンネル:Eテレ
放送時間:
8月17日土曜日午後7時00分〜午後7時45分
8月26日月曜日午前0時00分〜午前0時45分(再)
番組サイト:地球ドラマチック「生きものはなぜ姿を変えるのか〜“変態”の不思議〜」 – NHK

この番組は楽しみにしていた。このブログでアゲハチョウの変態について書いたりするくらい、興味がある分野である。さらに番組の中では、オウィディウスの『変身物語』にも触れている。これもこのブログで扱っている。そういうこともあって、なかなか楽しく見ることができた。しかし話が進むにつれて、何か論点が違うんじゃないかという思いを沸々と沸き上がってきた。これって生物の「変態」を詳しく説明する番組ではなかったのか。最後の考察部分では、まるっきり人間について語っているじゃないか。この違和感はどうして起きるのか?

まず、「変態」という言葉である。この番組のタイトルに出てくる単語であり、番組の中でしつこいくらい連呼され続ける言葉である。日本語で変態といえば、生物が形を変える現象を表す用語としての変態か、異常な性行動を示す変態のどちらかである。調べればさらに他の意味もあるが、性的な意味でのインパクトが強いせいで、生物の用語という文脈が無ければ、通常は性的に異常な人やその行動を表してしまう。この番組でも、45分の間、何度も出てくる「変態」が、ふとその意味で聞こえて失笑してしまう。この番組ではもちろん、生物が形を変える現象の意味で間違いない。そしてさらに番組を通してこの概念を拡大していく。しかし、明確な現象を表している用語の定義を変えることに強引さを否めない。どうしても番組内のこの言葉に違和感を覚えずにはいられない。

結局、この違和感は、このドキュメンタリーのテーマが、日本語の「変態」ではなく、原語である英語の「metamorphosis」であることからくるものだ。つまり、我々日本人からはこの番組は日本語の「変態」について考察しているふうに見えてしまうが、実はこれは英語の「metamorphosis」について考察している番組なのである。BBCが作った番組なのだから、確かにそうである。日本語の「変態」を対象にしていると思ってしまうと、その用語で呼ばれている生物の形を変える現象だけが重要な番組のテーマだと感じてしまう。そこに文学における「変身」の解説が出てきても、とても場違いな挿入にしか感じられない。しかし文学における「変身」も英語では「metamorphosis」であり、オウィディウスの『変身物語』も『Metamorphoses』(metamorphosisの複数形)という名前であり、カフカの『変身』も英語では『The Metamorphosis』というタイトルであることを知れば、この文学における「変身」の解説も、このドキュメンタリー内で一貫した「metamorphosis」という概念の解説であることがはっきりする。そして番組を通してみると、この文学における「metamorphosis」は、生物における「metamorphosis」と同等もしくはそれ以上に重要なものとして扱われていることが分かる。番組の中でも、ちゃんと「変態という概念には、二つの意味があると思います。生物学的な意味と小説などにみられる隠喩的な意味です。」と変態の定義が述べられている。しかし、どうしても日本語の「変態」に隠喩的な方の意味を乗せることができず、番組内でも変身や変化という言葉で言い換えてしまう。せっかく二つの意味があるとしたのに、「変態」という言葉が出てくるたびに、生物の用語としての意味に引き戻されてしまう。

日本語版のタイトルにも問題がある。「生きものはなぜ姿を変えるのか〜“変態”の不思議〜」。この言葉に誘導されて番組を見れば、生物の様々な変態を扱った番組だと先入観を持ってしまう。確かに、これは今まで見たこともない美しい映像で詳しく変態の様子を見せてくれる番組である。しかし全体を見終われば主旨はそれを超えた深いものであることが分かる。生物の変態に関する取材は、文学における「変身」とともに、最後の考察を導くための準備に過ぎない。この番組が最終的に言いたいのは、metamorphosisという概念を通して見た「人類とはいかなる存在なのか」である。

そもそも、このドキュメンタリーの主張そのものを日本語版が伝えようとしていない節がある。NHKのサイトにあるこの番組案内は次の言葉である。

地球ドラマチック「生きものはなぜ姿を変えるのか〜“変態”の不思議〜」

チョウやカエルなど、同じ生きものが成長の過程で全く違う姿に変わる“変態”。過酷な環境で生き残るための重要な戦略だ。変態がどのように起きるのか、最新科学でひも解く

毛虫からチョウへの変態。サナギの中をX線で観察すると、羽や足だけでなく、呼吸器などあらゆる組織がダイナミックに変化することがわかる。この大変身の背景には子孫を残すための重大な戦略が…。オタマジャクシは、より生き残る確率が高くなるよう、自ら変態するタイミングを決めるという。バッタの大群が畑を襲い、農作物を食べつくすのも変態のなせる技。さらに人間も“変態”する…!?(2013年イギリス)

完全に生物の用語としての「変態」についてだけ語られた番組案内である。タイトルだけでもそうだが、これでは実際見た内容の構成に違和感を覚えてもしょうがない。

ただ、これはBSでやっているドキュメンタリーではなく、子どもたちでも興味を持ってみることができるドキュメンタリー枠の番組である。最後の考察は哲学者の解説まで引用されるちょっと難易度の高いものである。だから、すっぱり生物の「変態」だけに限定し、分かる者だけ分かればいいと割り切る必要があったかもしれない。最新科学が映し出す様々な変態の映像は見る価値がある。実際、感動する。それだけでも心に刻まれれば、向学心の大きな糧になるだろう。内容に違和感を覚えてそれに疑問を持った者だけ、僕のように自分で調べて、その先を見ればいいのかもしれない。

BBCのサイトにあるこの番組の案内文を引用する。
BBC Four - Metamorphosis: The Science of Change

Metamorphosis seems like the ultimate evolutionary magic trick - the amazing transformation of one creature into a totally different being: one life, two bodies.

From Ovid to Kafka to X-Men, tales of metamorphosis richly permeate human culture. The myth of transformation is so common that it seems almost pre-programmed into our imagination. But is the scientific fact of metamorphosis just as strange as fiction or... even stranger?

Filmmaker David Malone explores the science behind metamorphosis. How does it happen and why? And might it even, in some way, happen to us?

しっかりと、文学におけるmetamorphosisについての説明があり、生物のmetamorphosisだけでなく、広い意味でmetamorphosisという概念を考察する内容であることがうかがえる。



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