2006年06月30日

純情きらり 第13週

NHKの連続テレビ小説を昔からよく見ている。でも最近はいいなと思えるのが無かった。 とくに4月から9月までの東京制作のが挫折してしまう。ちゅらさんはすごかったなとつくづく思う。
でも、今期の「純情きらり」はなかなか良い。舞台は昭和10年代の岡崎。ピアノに情熱を傾ける主人公。この主役の宮崎あおいがいい。 このドラマの前から名前が売れている子なので実力もあるし、安定して見てられる。

先週は寺島しのぶ演じる長女の結婚というので、かなり見応えのある盛り上がりとなったが、 今週も物語の中間地点となる大きな山場となっている。
主人公の桜子が慕う達彦に召集令状が届く。そこで二人は!と、この時代を扱った物語にありがちなシチュエーションなのだけど、 ここで今までの3ヶ月間の物語で積み上げてきたものが一気に展開していく。
昨日は達彦の母(戸田恵子)が中心となる話。戸田恵子はいつだって気が強くギャーギャー騒ぐ役ばかりで、 このドラマでも息子のピアノの夢を否定し、息子とヒロインの恋を邪魔する鬼母の役。しかし息子が戦地に赴くという非常事態に動揺し、 もろくなり、母としての情が露わになる。
これを最後にと封印していたピアノを家の中で弾く達彦。いつもだったらそれを感情的にやめさせようとするのに母はそうしない。 そしていままで達彦のピアノを勉強したいという夢を否定し続けてきたことをわびる。 それに対して半年間だけでも東京で勉強させてくれたことに感謝を述べる達彦。今日はこのシーンを見て、不覚にもこっそり涙ぐんでしまった。

何故反対があったのに、東京に勉強に行けたのか、何故半年間なのかは、長い話になるので書けないが、それを思い出すと父親(村田雄浩) の助力も思い出し、また泣けてしまう。
長丁場のドラマは、こういう場面で見続けて良かったなと思う。



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2006年07月14日

純情きらり(89)

純情きらり、かなり気に入ってみています。
基本的にBS-2で朝7:30からの放送を見ています。
そして土曜日の一挙放送を録画して保存してます。

お昼一緒にいるマッキーさんに、先月末このドラマを教えたら「宮崎あおい」ちゃんのファンになっちゃたみたいですね。
・マッキーのコーヒータイム「宮崎あおいちゃん、可愛いよね。(o^-^o)


僕は朝見逃したときにだけ、昼の再放送見てたのに。
最近お昼も見てますw

今回の投稿はブックマークのお礼記事でしたわーい(嬉しい顔)


・「NHK連続テレビ小説」公式サイト
http://www3.nhk.or.jp/asadora/

(内容の音声ファイル)


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2006年08月20日

純情きらり 第20週

第20週 「来ぬ春を待ちわびて」

今週の「きらり」は、怒濤の展開だった。
闘病中のカネ(戸田恵子)への赤いドレスのプレゼント。
帝大生弟勇太郎君くんの学徒出陣。
カネさんの死。戸田恵子さん素晴らしかった。いままで楽しませてくれてありがとう。先週の倒れるこむシーン最高でした。先週の「愛想づかし」もいつもと変わらない意地悪な言葉なのに、泣けました。もちろん今週の桜子の「おかあさん」になってからの本当の親子のような姿、本当によかった。
味噌屋山長を守るための桜子の山長からの撤退。
謎だったカネさんが用意していたものは、花嫁衣装だった。赤いドレスと白無垢のプレゼント合戦だったのか。それは死んでしまった達彦を忘れて、幸せになってくださいというカネの、娘への心からの遺言。
冬吾さんの岡崎訪問。冬吾さんは、姉の旦那としてではなく、東京で過ごした芸術家仲間として、全てを失って無為な時を過ごした桜子を勇気づける。
そして、1945年3月10日東京大空襲。がれきの下敷きになっている冬吾さん。弱音を吐く冬吾さん。冬吾さんどうなる!
次回予告は、杏子(ももこ)姉さんのナレーション。冬吾さんの生死はネタバレしない方がよかった。

もう残り、あと6週しかないのか。


ちなみに、勇太郎君が持っていて桜子が写経していた本は、EBERHARD HOPF著のERGODENTHEORIE。
ERGODENTHEORIEは、英語ではErgodic theory、日本語だと「エルゴード理論 (wikipedia)」。


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2006年08月26日

純情きらり 第21週

第21週 「生きる歓(よろこ)び」

このドラマは三人の女優の対決っていう感じがしてならない。もちろん、それは戸田恵子と、室井滋と、寺島しのぶの三人ね。宮崎あおいは頑張ってるけど差を見せつけられる。そつなく演じているのだけど、主役が誰だか分からなくなる。今桜子が自分のことは何もしてなくて、笑顔の少ない耐える役柄なので魅力を十分に出せないのもある。

ヒロイン以上に毎週この女優たちの演技の見せ場がある。なんかそれでこのドラマはもっている。味噌屋では(もう病に倒れてしまったけど)戸田恵子が、そして東京では別れた息子の場面で室井滋が、演技を見せつけてくれる。寺島しのぶは一番難しそうな地味な役だけど存在感出している。今回は室井滋の親子の名乗り。息子も迫真の演技で盛り上げたくれた。

空襲の後瓦礫の下敷きになり、もう駄目だとあきらめてしまっている冬吾に対して、桜子は「私のために生きて!」と叫んだ。これをきっかけに彼女自身も自覚してなかった気持ちがしだいに大きくなってしまう。日本でもっとも保守的なドラマ枠ではあり得ない展開になるのか?

杏子(ももこ)姉さんは空襲の救護所で、以前であった傷痍軍人との再会する。以前は嫁と子どもがいたことで、淡い気持ちで終わったのだけれど、今度は家族を失い一人残された彼と、そして二人になついた戦災孤児の少女と、一緒に暮らしていくだろう。この杏子と彼の関係は桜子と冬吾の二人の将来の関係を予見させるものなのだろうか。

舞台は東京から岡崎に戻る。いままで東京でくらしていた笛子一家も一緒に戻ってくる。桜子は冬吾に言われて、音楽の先生を目指す。最終回までこの職業でいくだろう。母の職業だったと強調して先生ということは、そういうことだろう。「生きる歓び」という言葉は桜子の口からこの夢を語るときに出てくる。子どもたちに音楽を通して伝えたいこととして。もちろんそれだけではないな。

空襲の体験で絵が描けなくなってしまった冬吾、想いがつのりすぎて冬吾に心が開けなくなってしまった桜子、桜子の冬吾への想いを感づいてしまったかもしれない笛子。この三人の危うい関係が、このドラマの終盤の大きな盛り上がりになるのだろうな。なんかいやだけど。

残り一ヶ月余り。最終回に向けてどんな展開になるのだろうか。半年間のこの物語の最後を盛り上げるのは、新しい要素ではありえないだろう。冬吾と苦難を乗り越え一緒になるか、戦死したはずの達彦が戻ってくるか。そのくらいだろう。戦死したはずの人が戻ってくるのは、ドラマとしてはあり得なくもない。ベタな展開とは言えなくもないけど、ある意味皆が望む予定調和のラストだと思う。
冬吾とは一緒にはなってほしくないな。冬吾らしくない展開だけど。もちろん朝ドラらしくもない。万が一笛子姉さんがいなくなったとしても、二人がそうなってしまってはタイトルの「純情きらり」に偽りありとなってしまいかねない。予告はかなり思わせぶりな映像が映っていた。さあ、どうなる。


昨日はテレビで実写版「タッチ」を見た。内容については何も言いまいw
ただあの好敵手「新田」が、達彦だった。ただそれだけ。


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2006年08月31日

純情きらり(130)

冬吾が引用した村山槐多の詩

村山槐多(むらやまかいた)
1896.09.15-1919.02.20
22歳の若さで亡くなった洋画家。
詩や小説、戯曲なども残した。

 神よ、神よ
 この夜を平安にすごさしめたまへ
 われをしてこのまま
 この腕のままこの心のまま
 この夜を越させてください
 あす一日このままに置いて下さい
 描きかけの画をあすもづづけることの出来ますやうに。

(仮名表記)
 かみよ、かみよ
 このよるをへいあんにすごさしめたまへ
 われをしてこのまま
 このうでのままこのこころのまま
 このよるをこさせてください
 あすいちにちこのままにおいてください
 かきかけのえをあすもつづけることのできますやうに

2006.9.4修正
聞き取ったものと原文は表記法と区切り以外同じだったが、原文の表記に修正。

この詩は「いのり」という詩の前半部分。

参考リスト
村山槐多 - Wikipedia ... 自画像も見られる。
青空文庫「村山槐多」作品リスト・・・現在2作品公開


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2006年09月03日

純情きらり 第22週

第22週 「さよならを越えて」

昨日のうちに投稿するつもりだったのに、書いているうちに長くなって簡単にまとめられなくなってしまった。考え込まされてしまった。主人公の人生に関わる重大な話だったからだ。それを有森家の生まれ育った町が破壊される岡崎への空襲と重ねたのも意図的なものだと思った。6月末あたりの、達彦に召集令状が届いた頃に匹敵する大きな物語の山場だった。この日のために、冬吾という描くこと以外何もできない純粋な芸術家を物語の中で育ててきたわけなのだから。



このドラマの原案は津島佑子の小説「火の山―山猿記」。勘のいい人は津島という名前で分かるだろうが、この人は小説家太宰治の次女である。娘ではあるが彼女が物心つく前に、太宰治は愛人と心中で死んでしまった。津軽出身の冬吾は太宰治がモデル以外の何者でもない。昔冬吾も心中事件を起こしている。最近の展開は芸術家冬吾の、大切な家族を捨てかねないこういう側面を思い出しながら、ヒヤヒヤしながら楽しむことができた。このドラマにはいくつもの視点があるが、原案者の投影された冬吾の娘カズちゃんも大切な隠れた視点だろう。

この週もいろいろあった。毎日書かないと書ききれない。でも今は週末にしか余裕がない。今週の話の中心は、桜子、冬吾、笛子姉さんの三人の物語。静かに展開する見応えのある話。時は岡崎空襲のある1945年7月あたり。

冬吾は絶望の中で絵が描けなくなっていた。息子トオルの障害も悲観的にしか考えることができなくなっていた。そんな冬吾への、トオルを笑わせるために絵が描けないかという桜子の言葉をきっかけにして、冬吾は絵を描く。復帰第一作は「北風と太陽」の迫力のある太陽。

活動を始めたが何を描くか迷う冬吾に、笛子があなたが一番描きたいものから描き始めたらいいと促す。そのあと冬吾はピアノを弾いている桜子の姿を描き出す。一人その作品を見て冬吾の中にもある自分への気持ちに桜子も気付く。そしてはやく代用教員の仕事に就いて、この家族から離れようと家を出なければと決意する。

杏子(ももこ)が鈴村と戦災孤児の幸と岡崎にやってきた。東京で三人一緒に暮らすことをみんなに伝えるために。最初の旦那でひどい目にあった杏子は、今度は幸せな家庭が作れそうだ。鈴村もサチも戦争で拭えないほどの悲しみをもっている。けれど杏子がいてくれればきっとみんな幸せになれるだろう。宮崎あおいと井川遥はほんとの仲のいい姉妹のようだ。

冬吾に自分の苦しい想いを伝えた後、桜子も「Tに捧ぐ」と冬吾への想いを音楽にする。全てを表すことができない想いが芸術と形を変えていく。芸術にとってとても大きな力となるこの姿を描き出すためにも、二人の危うい展開は必須であるとさえ思う。

マロニエ荘から一緒に岡崎に着いてきた冬吾の親友のヤスジに召集令状が届いたとの知らせ。ヤスジは出征するために東京に帰る。冬吾はヤスジの居た部屋で食事もとらずに絵を描き続ける。食事をもってきた桜子に、自分にもいつかその日が来るかもしれないと、村山槐多の詩を朗読し今の心境を語る。またがれきの下敷きになったときこのまま死んで桜子と二人で魂だけになって空をいつまでも飛べたらよかったとも言う。冬吾自身気付いてしゃべっているか知らないが、これは心中のメタファーのように思う。桜子は涙を流して、死んではいけないという。

笛子は桜子が作っている「Tに捧ぐ」という楽譜を見つける。タイトルを読み、とても心配な顔をする。桜子も視聴者もこれでバレてしまうのではないかとドキドキさせられる。しかし笛子はこの曲を達彦さんへの想いだと言う。ここは上手い演出だった。ああ達彦もTだということに気づけなかった。でもこの場面、笛子はちゃんとそれが冬吾へのものだと気付いていたのだろう。それを達彦だと決めつけることで、桜子に対しても自分自身に対しても必死に気付かないふりをしたのだろう。

最初から笛子はすべて見抜いていただろう。笛子が一番描きたいものから描き始めたらいいと言ったのも、何を描くのか分かっていた。それでも冬吾の芸術にとって桜子の存在がかけがえもないものだと分かっていたから、何も言わずに見守りつづけた。現に桜子の力で冬吾は再び絵を描けるようになった。冬吾のためならば、耐え難い出来事が起こっても笛子はその現実を受け入れただろう。冬吾の芸術を支えたいという想いと、冬吾を取られたくないという本心との葛藤の中で、静かに苦しむ笛子。セリフでは直接何も言わない。でも演技とセリフの端々でその複雑な心境をみせる。特に今週は画面を見ずに主音声だけを聞いていたらとてもわかりにくい場面が多かっただろう。

7月20日、岡崎空襲の日。足の怪我が治らない冬吾は防空壕にたどり着けなかった。危険を承知で桜子は探しに出る。自分を置いて帰るように追い返す冬吾と、死んでほしくないからと連れて行こうとする桜子。桜子は必死に姉のために死ぬなと自分の気持ちを隠しながら説得を続ける。そこにすぐ近くで火花が炸裂し、とっさに互いに抱きしめ合う。桜子は自分の気持ちに抗しきれず、よりしっかりと抱きしめてしまう。我に返ってトオルを思いだし二人で防空壕へ向かう。

夜中無事に家に戻ってきた後、桜子はピアノの前に座る。そこに冬吾が現れる。桜子は「Tに捧ぐ」を演奏する。冬吾はタイトルの意味がすぐにわかった。冬吾は桜子の肩に手をかける。二人は互いに見つめ合うが涙を浮かべながら一線を越えることを踏みとどまる。人を好きになる気持ちは仕方がない。まして芸術を志し、いかに心を表現するかに精力を注ぎ込んできた二人だ。自分の心に嘘はつけない。でも仕方がなくても、重要なのはその自分の気持ちに対してどう行動するかということ。人の道にはずれ破滅するか、人の心に残る崇高な芸術を生み出すか、大きく天と地に別れる。この心の葛藤を乗り越えそれを音楽へと昇華させた桜子は、その音楽の才能を高め、女性としても成長を遂げるのだった。というのが、物語の中のこの週の位置づけだと思う。

冬吾は実家のある津軽に行くことを決める。放蕩していた冬吾には決して戻れる場所ではない。それでもそうしないといけなくなった。桜子への想いが一緒の家にはいられなくしてしまったからだ。津軽に向かう汽車の中、笛子は悲しそうに窓の外を眺める。それに気付いてどうしたのか冬吾が聞くと、ふるさとを離れるからだと言う。だが、そんなことはない。最近まで東京でみんなで暮らしていたわけだから。葛藤から解放された安堵もあるだろうが、この旅そのものが冬吾の桜子への深い愛情を示すものだということ。自分がこの町で冬吾に対して何もしてやれなかったこと。そういうことがこみ上げていたのだろう。察した冬吾はおばあちゃんに席をゆずるために妻笛子に膝の上にのれと言い出す。恥ずかしがる笛子。両親の奇妙なやりとりを楽しそうに見つめるカズちゃん。この家族の幸せな未来を約束してくれるようなカズちゃんのいい笑顔。この冬吾は家族を捨ても死にもしなかった。

次回予告。ナレーションは笛子。予想通りの意外な展開。もう少しわかりにくくしてもよかったのに。そして新キャラ登場?木村多江だ。


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2006年09月06日

純情きらり(135) 達彦生還

今日は紀子様ご出産で放送が延期になるんじゃないかとちょっと心配したけど、どの時間帯にも影響が出なかった。
こんなめでたい日に、達彦さん生還でなんかできすぎです。

今日のあらすじは「達彦生還」の一言です。
きっと「お母さん」が引き合わせてくれたんですよ。

※追記2006年9月9日14:10:09
週末の連続放送をみたら、この回もあらすじを書きたくなった。

<あらすじ>

夜。喫茶マルセイユ。外には一人軍服を着た男が近づいている。中では秋山さんサックスと桜子のピアノの楽しいジャズのセッション。演奏終わると同時に外の人影はきびすを返し、闇の中に消えていく。喫茶店の中では、どうだいと秋山さんがきくと、最初桜子の腕を疑っていたバンド仲間二人も、しぶしぶ桜子のうまさを認める。名古屋での演奏に参加することが決まる。

家に帰ると、山長の職人で戦争に行っていたキヨシが訪ねてきていた。とても羽振りがよさそう。昔からの仲間を子分に従えている。闇市でもうけている様子。山長のことはどうでもよくなっている。そしてまたまた桜子にプロポーズをしてくる。桜子はもちろんそれを断る。でもキヨシは憎めないやつ。

有森家。三姉妹が話をしている。結婚はいいものよと、二人の姉は桜子の幸せを心配する。とある旅館。男たちが相部屋で泊まっている様子。その中に先ほどの軍人が外を眺めている。顔はよく見えない。陸軍さんと呼ばれている。

翌日。かねの一周忌の日。喪服を着た桜子は、かねが最後に送ってくれた花嫁衣装と、それにつけた思いのこもった手紙を読み返し、かねを偲ぶ。その手紙にも新しい幸せを見つけてくれという言葉。

東京に帰る笛子は最後に桜子に言葉をかける。あなたはまだ若い。どんな人生も自分で選べる。いつだってあなたの味方だ、と。

笛子は駅に向かう。ももこが途中まで見送りについていく。不吉な夢を見のことを伝える。他にも、笛子のお下げ髪の子どもの夢、山長に蟻が入る夢も見たという。ここでお別れと言って、桜子には幸せになってほしいと笛子が話を切り出す。桜子には達彦のこと以外にもつらいことがあったと言う。ももこは「それって...」と笛子が言いたいことに気付く。ここでも笛子は表情だけで、直接には何も言わない。
(先週は冬吾への気持ちしか考えて見ていなかったけど、桜子の幸せのことも考えて一層笛子は苦しんでいたんだな。)

山長では、かねの一周忌の法要がいとなまれる。読経が終わると、山長の懐かしいみんなが桜子を慕って若女将、若女将と取り囲んでくる。夕方法事が終わると、桜子は喪服のまま達彦のピアノを弾き始める。
(お義母さんへの追悼と、それだけでなく死んだ日も分からない天国の達彦を思っての演奏なのだろう。)

たねが法事の客を見送りに表に出る。風が吹き土埃に顔をそむけると、そこには背中を向けて立っている軍人さんがいる。男は声をかけても返事もせず立ち去ってしまう。男は山長の敷地をゆっくりとかみしめるように歩いている。桜子の音楽を聴いているようにも見える。その男が顔を上げると、それが達彦だと分かる。

桜子は山長から外に出る。歩いていると後ろに何かの気配を感じ立ち止まる。桜子の歩いてきたうしろのほう、その道を横切る形で達彦が出てくる。達彦も何かを感じて立ち止まる。桜子が振り向くと、土埃の向こうには軍服の誰かが立っている。達彦も顔を上げ、互いに姿を確認しあう。毎回聞いているあのオープニングテーマが珍しくBGMとなり、場面が盛り上がる。桜子はそれが誰だか分かった。達彦さんと涙ぐむ。桜子は駆け出し、近づくにつれ足早になる。そしてついに達彦に抱きつく。涙が止まらない。達彦の方もしっかりと喪服の桜子を抱きしめる。

※追記終わり



スタジオパークも達彦役の福士誠治生出演。ロン毛のカツラかぶったり、青いハンカチ出してハンカチ王子のまねをしたり、サービス満載でした。本人の「福士 誠治のブログ」に、ロン毛写真掲載です。見られなかった人はどうぞ。
特別公開の明日の一場面では、帰還してもすんなり話は進まないようだけれど、とにかく帰ってきてよかったということです。

このブログの確実な読者にichigoさんという方がいて、純情きらりの記事には感想をメールで送ってくれます。ichigoさんは視覚障害者です。テレビも受信できるラジオで聞いてられるのですが、そのラジオでは副音声が聞けないので、完全には話が分からないそうです。
特に今日は、達彦さんにはセリフがなかったので、全然様子が分からなかったそうです。言われてみるとそうでした。達彦さん、まだしゃべってませんでした。
僕が純情きらりの話題で書いている内容は、かなり主観的な分析で、関心を持たなかった話はばっさり省いたあらすじを書いてますが、それでも、分からなかった場面が理解できたと言ってくれます。

そういう読者がいてくれるから書いているというのもあるわけです。それ以上に自分が理解できたものや分からないことを文章にしたいという欲求が強いのですが。最終回まで、いろいろ書いていきます。大詰めにはいると毎日書いてしまうでしょう。


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2006年09月08日

純情きらり(136)

<あらすじ>

昨日のラストの感動的な再会の後。

達彦は帰ってきた。桜子は達彦を見つけると思わず走り出し、その胸に飛び込んだ。達彦も一瞬幸せそうな表情を見せるが、次第に表情をこわばらせ、桜子の肩をつかみ自分から引き離した。桜子は達彦の表情と行動にとまどいを見せる。そこへ山長の責任者、仙吉さんと野木山の二人があらわれ。坊っちゃんの帰還を喜ぶ。今日が母の一周忌だと知らせると、達彦は動揺する。達彦の異変を感じながら、桜子は仕方なく家に帰る。
(達彦はいままでもそんなに感情を表す人ではなかったけれど、それ以上に人が変わったように表情を失ってしまっている。達彦は何か大切なものを戦場で失ってきたようだ。

その夜、達彦と仙吉と野木山は叔母夫婦と話をし、達彦がこの店を継ぐことになった。
(やっとこれであの嫌みな夫婦が山長からいなくなる。六角さん次の「相棒」での活躍楽しみにしてます。

桜子は、もも子夫婦に達彦の帰還を報告するが、とても沈んだ顔をする。近くにいるのに達彦を遠くに感じるともらす。
(せっかくとても会いたかった人に奇跡のような再会をしたというのに、信じられないくらい悲しそうな桜子。なんて意地の悪い脚本家だろう。

達彦が狭い物置に書類を置きに来る場面。するとどこからともなく戦場の音が聞こえてきて、達彦は急に怯え出す。戦場の映像。戦場の穴ぐらの中でみんなと身を潜めている達彦。真っ赤な血に染まった両の手。達彦は部屋から転がるように出てくる。
(達彦はどうかしてしまった。あの血のついた手からすると、戦場で人を殺してしまった罪の意識に嘖まれておかしくなったのか、でもその展開にしてしまうとNHK的にも収拾がつかないだろうから、そうはしないだろう。ただ戦場でとても恐ろしい体験をした。それが達彦の心を閉ざしてしまったのだろう。

翌日桜子が会いに来たが、居留守にしてくれと野木山につげる。桜子は仕方なく家に帰る。家ではじいちゃんも待っていた。
(桜子を避ける理由は何なのだろう。それからじいちゃんのしぶとさは青汁のせいだな、絶対違うけど。

達彦が部屋に独り。机に置いた手帳から一枚の写真を取り出す。兵隊と女性が写っている。達彦と桜子かお母さんが映っている写真かと思えば、違う。誰か知らない兵隊と、一人の女性。
(その兵隊の妻か、達彦にとっての桜子のような言い交わした大切な人か。彼の姉さんかもしれない。これが予告に出てきた多江さんか!この兵隊は、達彦と同じ部隊にいた仲間だろう。そして達彦の身代わりになってか、達彦の責任で死んでしまったのかもしれない。この女性が今週の残りと来週、重要な役割になってくるのだろう。

その翌日、頭首のお披露目をする日。みんなが集まっているのに、達彦がいない。どこを探してもいない。桜子も外に探しに出る。桜子は暗くたたずんでいる達彦の後ろ姿を見つける。みんな待っているよと声をかける。桜子はやさしく、今までのお義母さんと一緒に達彦を待っていた想いを話しかける。すると、達彦は桜子にあり得ない言葉を口にする。「今の俺に何も期待しないでほしい。俺との間にあったことは忘れてほしい。」桜子呆然とし涙を流す。
(最近終わり方が良すぎる。また期待して見てしまう。

つづく!


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純情きらり(137)

<あらすじ>

達彦は自分を忘れてくれと言った。

夕暮れ時桜子は家に戻ってくる。玄関前で立ち止まっていると、後から帰ってきたももこが心配してやさしく声をかけてくる。こらえきれなくなり、桜子は杏子にすがって泣き出してしまう。夜、桜子に対してももこと鈴村が話をしている。鈴村はそれは戦争の後遺症ではないかと助言する。

翌日、山長の裏に腰掛けて、達彦は例の写真をこっそりと眺めている。仙三さんは達彦の桜子への態度にたまりかねて声をかける。店のことは自分たちがなんとかやれるが、若女将のことはちゃんとしてあげてくださいという。しかしそれに対して、今の自分は昔の自分ではないと突っぱねる。

外出先の達彦。とある家の縁側で針仕事をしている女性がいる。達彦はその家をのぞき込む。写真に映っていた女性だ。達彦の視線に気付き、女性は外を見るが、達彦は後ずさりして逃げ出してしまう。いつのまにか達彦は夜の歓楽街を歩いている。米兵とそれにぶら下がっている日本人の女たちの一団に出会い、からまれる。

喫茶マルセイユ。マスターがジャズのレコードをかける。桜子はその音楽を聴きながら昔のことを思い出す。結婚式のまねごとで二人が連弾するシーン。将来を誓い合った日のキスのシーン。「ピアノを忘れるな。音楽を忘れるな。」と達彦が列車から叫ぶ別れのシーン。マスターは達彦君も音楽を好きな気持ちを忘れていないはず、音楽を聴けば心を取り戻すのではないかとアドバイスをしてくれる。

翌日山長に向かった桜子は、ベンチに座り込んでいる達彦にやさしく話しかける。桜子は思い出の曲を弾くから聞いてくれとひとりピアノのある部屋に向かう。達彦はそのまま外で、桜子の演奏を聞いている。目が潤んでいるようにも見える。桜子はとても幸せそうに弾いている。すると何かを感じた達彦はピアノのある部屋に乗り込んでくる。部屋に入るなり、ピアノを閉じる。耳障りなジャズをやめてくれという。そしていままでの鬱積した思いをぶちまける。どうしてジャズが弾ける。笑っていられる。

達彦の問い詰めに対して、生きている人間は絶望なんてしてられない。笑うのは、笑って幸せになりたいから。自分はあなたと一緒にもう一度幸せになりたいと訴える。すると、達彦は自分には幸せになる資格がない人間だ。戦場で死ぬべきだったと答え、桜子を部屋から追い出す。

家に戻り部屋で明かりもつけずに、桜子は達彦の出征前にみんなでとった写真を眺めている。心配そうにももこが声をかけると、達彦さんが帰ってきてさえくれれば、何もかも元に戻ると思っていたのにと、どうすることもできない悲しみを訴える。


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2006年09月09日

純情きらり(138)

<あらすじ>

ももこと鈴村が寝室で、桜子と達彦のこと何とかしてやれないものかと相談をしている。戦場で何があったか分かれば何とかなるかもしれないと、鈴村が言う。

翌日。鈴村が山長に向かう。達彦は、いつもの山長の敷地内の腰掛けに座っている。いつもここにいるが、家の中にいると戦場の記憶がよみがえってしまうのでいられないのだろう。鈴村は挨拶し、自分は杏子の夫で、達彦のいた部隊と漢江ですれ違ったと自己紹介をする。自分もいろいろあったが、女房に話してから楽になったと自分の経験を話す。鈴村は腰掛けの上に大切に置いていた手帳と写真に気付くと、なかば強引にその写真をとりあげる。遺品ですかと尋ねるが、達彦はあなたには関係ないという。

家の中、達彦は暗い廊下でまた戦場の記憶におそわれる。
暗い建物の中、軍曹がここを撤収すると言い出す。達彦の隣にいるのは、腹に血に染まった包帯を巻いて横になっている写真の兵士。彼の名前は若山。達彦は彼が重傷で歩けないと主張するが、軍曹は聞き入れるわけもない。彼も軍人ならば身の処し方も分かっているだろうと言われ、別の兵士が彼の自決のための手榴弾を達彦に渡す。若山は隊長殿自分は死にたくありませんと達彦に訴える。
場面は現在に戻る。達彦はわかやまーと叫びながらその場に膝をつく。

帰ってきた鈴村は桜子に、達彦は戦死した仲間を気に病んでるらしいと報告する。店の人が言うには最近一度だけ、豊川に外出したという情報ももってくる。戦友の遺族に会いに行ったのかもしれないと言うと、桜子は自分がそこへ行ってみると言い出す。

どうやって探し当てたか分からないが、桜子は若山と表札のある家の前にいる。すると玄関から先日針仕事をしていた女性(木村多江)が出てきた。あの兵士の姉だった。桜子は弟さんと同じ部隊にいた達彦に会ってくれないかと頼む。

夕暮れのいつもの山長の敷地に達彦と桜子がいる。桜子は若山さんの姉さんに会いに行こうと突然切り出す。達彦はほっといてくれとはねのける。桜子は、逃げないで、驚かないから全部話してと説得する。

俺はあいつを見捨てた。彼は両親を早く亡くして、二人暮らしの姉さんの話ばかりしていた。姉さんは大学まで行かせてくれたと言っていた。そう苦しそうに話す達彦を桜子は抱きしめる。

若山家。姉は弟のためにご足労ありがとうしました、と遺品を受け取る。達彦は頭を床にすりつけて、申し訳なかったと謝る。それに対して姉は、とても穏やかな顔と口調で、許しませんと言う。許したら弟が浮かばれない。若者たちを奮い立たせて戦地に送り込んだこの戦争を許さないと。あなたには未来がある。でも弟にはないのです。泣くわけでもなく、怒りを表すわけでもなく、おだやかに姉はそう話す。

小川の河原に達彦と桜子が並んで座っている。桜子は自分はこれからも達彦の味方だという。達彦は涙を流す。桜子はその達彦にやさしく寄り添う。

次回予告はマルセイユのマスター・ヒロ。


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