プラハで行われていた国際天文学連合の会議で「冥王星を惑星から除外することが、賛成多数で可決。」
そんなにみんな興味があるの?というぐらい、時間を割いての連日の報道。それがやっと決着した。
分類の仕方が変わっただけで、冥王星が星空から消えたわけでもないし、名前が変わるわけでもない。太陽系の端っこにあった月よりも小さな天体が、惑星と呼ばれなくなるだけのこと。ちょっとさびしいのは事実だけど。
観測技術が向上して、あのあたりに冥王星程度の大きさの天体が見つかってしまって、冥王星を特別扱いする根拠がなくなってしまったわけだ。
火星より内側は地球のような岩石や金属からなる地球型惑星、木星より外は木星のようなガス層のある木星型惑星、この方が個人的にはすっきりしていい。
さあ、これからは、水金地火木土天海(すいきんちかもくどってんかい)!
1930年に発見されて以来、76年間、太陽系の一員として、ありがとう!
これからも太陽を回り続けてくださいね。
きっと、すぐにみんなあなたのことを忘れてしまうけど、
2015年に探査機がそちらに行くから、元気な姿を見せてください!
・New Horizons Web Site (英語)
アメリカが反対した理由の一つは今年打ち上げたこの探査機の存在もあるんだろうな。カイパーベルトへ向かう意義ある探査であるには違いないけど、トップページの画像に刻まれた"Headed for Pluto!"という言葉が・・・
2006年08月24日
2006年08月25日
惑星の定義
前回の投稿に書いたように、冥王星は、惑星から、dwarf planet(ドワーフプラネット)に降格になった。そこで惑星の定義について、もう少し詳しく調べてみた。
「dwarf planet」は正式な訳語はまだはっきり分からないが、おそらく「矮惑星(わいわくせい)」と呼ばれるだろう。
◆惑星の定義についての資料となるページ
・IAUの公式ニュース(英語)このページに決議の内容が英語で公開されている。議決されたときの様子や、結果決まった新しい太陽系の星々を並べたキレイな画像も置いてある。壇上にディズニーのプルートの人形が置かれている写真もある。
・日本で一番、天文関係で信頼していい情報を得たいのならば、国立天文台の「惑星」の定義についてのページがわかりやすい。
※ここでは、いまのところ「dwarf planet」を日本語には訳さずdwarf planetとそのまま表記している。
さて、今回の会議で、太陽系の天体は「惑星」planets、dwarf planets、Small Solar-System Bodiesの三つに区分されることが決められた。上記IAUのリンクにある該当部分の英語原文を抜き出してみる。
The IAU therefore resolves that "planets" and other bodies in our Solar System be defined into three distinct categories in the following way:
(1) A "planet"*1 is a celestial body that (a) is in orbit around the Sun, (b) has sufficient mass for its self-gravity to overcome rigid body forces so that it assumes a hydrostatic equilibrium (nearly round) shape, and (c) has cleared the neighbourhood around its orbit.
(2) A "dwarf planet" is a celestial body that (a) is in orbit around the Sun, (b) has sufficient mass for its self-gravity to overcome rigid body forces so that it assumes a hydrostatic equilibrium (nearly round) shape*2 , (c) has not cleared the neighbourhood around its orbit, and (d) is not a satellite.
(3) All other objects*3 except satellites orbiting the Sun shall be referred to collectively as "Small Solar-System Bodies".
*1 The eight planets are: Mercury, Venus, Earth, Mars, Jupiter, Saturn, Uranus, and Neptune.
*2 An IAU process will be established to assign borderline objects into either dwarf planet and other categories.
*3 These currently include most of the Solar System asteroids, most Trans-Neptunian Objects (TNOs), comets, and other small bodies.
翻訳するのが大変だし、不正確な翻訳をしてもいけないので、意味を知りたい人は国立天文台による日本語訳「国立天文台 アストロ・トピックス (233)(速報)太陽系の惑星の定義確定 」を、どうぞ!
表現がわかりにくいのは仕方がない。clearing the neighbourhood (Wikipedia)という言葉も、用語としての意味は難しい。国立天文台長の談話映像のテキストが、惑星の定義についての一番確かな、現在公開されている日本語の解説のようだ。
これらより、条件cのclearing the neighbourhood「他を掃き散らした」の意味を考えてみると、天体が軌道を通る様子をほうきでスーッと掃くような姿に、軌道にある小さな物体のほうを石ころに喩え、それがほうきにくっついたり、ほうきにはじき飛ばされたりして、ほうきの軌跡がきれいになった状態のイメージで考えればいいのかな。このとき、ほうきにくっつくという比喩は、物体が重力に引かれていっしょになることを表している。条件Cを満たすには、小さい天体ではだめで、それなりに「掃き散らす」だけの大きさが必要になる。
惑星の定義をとても簡単な表現にすると、条件a「太陽の周りを回る」、条件b「自分の重力で球形をしている」、条件cが「(掃き散らして)軌道上に他の天体がない」といったところになるだろう。
一方、矮惑星の定義は、条件aとbは同じだが、条件cが否定文になり「(掃き散らせなくて)軌道上に他の天体がある」、そして条件dとして「衛星ではない」が追加される。
(疑問 矮惑星の衛星も、条件dに触れるのか?)
冥王星は惑星の条件Cを満たさないので惑星ではなく、また衛星でもないので、矮惑星となる。
今回のIAUの会議では、惑星が12個に増えるのではないかと言われたときに出てきたセレスと2003UB313も、矮惑星の分類に含まれることが決まった。ただこのとき惑星の候補となった冥王星の衛星カロンは現時点では矮惑星には含まれていない。矮惑星は今回決まった冥王星、セレス、2003UB313のの3つだけでなく、今後IAUが追加していくことになっている。現時点でも十数個が候補に挙がっているそうだ。
ちなみに、dwarf(ドワーフ)は、指輪物語のギムリや、白雪姫に七人で出てくるような小人の妖精のこと。天文学の用語では、昔からこの単語は小さな星を表すためにつけられてきた。矮星(わいせい) dwarf star、白色矮星 white dwarf、赤色矮星 red dwarf、矮小銀河 dwarf galaxy(いずれもウィキペディアへのリンク)
矮惑星ではなく、「矮小惑星」と訳したニュースもあったが、すでにある日本語の「小惑星」という用語との関連から、矮惑星と訳した方が誤解がないように思う。どちらにしても、あとで公式な訳語も定義されるだろう。
「dwarf planet」は正式な訳語はまだはっきり分からないが、おそらく「矮惑星(わいわくせい)」と呼ばれるだろう。
◆惑星の定義についての資料となるページ
・IAUの公式ニュース(英語)このページに決議の内容が英語で公開されている。議決されたときの様子や、結果決まった新しい太陽系の星々を並べたキレイな画像も置いてある。壇上にディズニーのプルートの人形が置かれている写真もある。
・日本で一番、天文関係で信頼していい情報を得たいのならば、国立天文台の「惑星」の定義についてのページがわかりやすい。
※ここでは、いまのところ「dwarf planet」を日本語には訳さずdwarf planetとそのまま表記している。
さて、今回の会議で、太陽系の天体は「惑星」planets、dwarf planets、Small Solar-System Bodiesの三つに区分されることが決められた。上記IAUのリンクにある該当部分の英語原文を抜き出してみる。
The IAU therefore resolves that "planets" and other bodies in our Solar System be defined into three distinct categories in the following way:
(1) A "planet"*1 is a celestial body that (a) is in orbit around the Sun, (b) has sufficient mass for its self-gravity to overcome rigid body forces so that it assumes a hydrostatic equilibrium (nearly round) shape, and (c) has cleared the neighbourhood around its orbit.
(2) A "dwarf planet" is a celestial body that (a) is in orbit around the Sun, (b) has sufficient mass for its self-gravity to overcome rigid body forces so that it assumes a hydrostatic equilibrium (nearly round) shape*2 , (c) has not cleared the neighbourhood around its orbit, and (d) is not a satellite.
(3) All other objects*3 except satellites orbiting the Sun shall be referred to collectively as "Small Solar-System Bodies".
*1 The eight planets are: Mercury, Venus, Earth, Mars, Jupiter, Saturn, Uranus, and Neptune.
*2 An IAU process will be established to assign borderline objects into either dwarf planet and other categories.
*3 These currently include most of the Solar System asteroids, most Trans-Neptunian Objects (TNOs), comets, and other small bodies.
翻訳するのが大変だし、不正確な翻訳をしてもいけないので、意味を知りたい人は国立天文台による日本語訳「国立天文台 アストロ・トピックス (233)(速報)太陽系の惑星の定義確定 」を、どうぞ!
表現がわかりにくいのは仕方がない。clearing the neighbourhood (Wikipedia)という言葉も、用語としての意味は難しい。国立天文台長の談話映像のテキストが、惑星の定義についての一番確かな、現在公開されている日本語の解説のようだ。
これらより、条件cのclearing the neighbourhood「他を掃き散らした」の意味を考えてみると、天体が軌道を通る様子をほうきでスーッと掃くような姿に、軌道にある小さな物体のほうを石ころに喩え、それがほうきにくっついたり、ほうきにはじき飛ばされたりして、ほうきの軌跡がきれいになった状態のイメージで考えればいいのかな。このとき、ほうきにくっつくという比喩は、物体が重力に引かれていっしょになることを表している。条件Cを満たすには、小さい天体ではだめで、それなりに「掃き散らす」だけの大きさが必要になる。
惑星の定義をとても簡単な表現にすると、条件a「太陽の周りを回る」、条件b「自分の重力で球形をしている」、条件cが「(掃き散らして)軌道上に他の天体がない」といったところになるだろう。
一方、矮惑星の定義は、条件aとbは同じだが、条件cが否定文になり「(掃き散らせなくて)軌道上に他の天体がある」、そして条件dとして「衛星ではない」が追加される。
(疑問 矮惑星の衛星も、条件dに触れるのか?)
冥王星は惑星の条件Cを満たさないので惑星ではなく、また衛星でもないので、矮惑星となる。
今回のIAUの会議では、惑星が12個に増えるのではないかと言われたときに出てきたセレスと2003UB313も、矮惑星の分類に含まれることが決まった。ただこのとき惑星の候補となった冥王星の衛星カロンは現時点では矮惑星には含まれていない。矮惑星は今回決まった冥王星、セレス、2003UB313のの3つだけでなく、今後IAUが追加していくことになっている。現時点でも十数個が候補に挙がっているそうだ。
ちなみに、dwarf(ドワーフ)は、指輪物語のギムリや、白雪姫に七人で出てくるような小人の妖精のこと。天文学の用語では、昔からこの単語は小さな星を表すためにつけられてきた。矮星(わいせい) dwarf star、白色矮星 white dwarf、赤色矮星 red dwarf、矮小銀河 dwarf galaxy(いずれもウィキペディアへのリンク)
矮惑星ではなく、「矮小惑星」と訳したニュースもあったが、すでにある日本語の「小惑星」という用語との関連から、矮惑星と訳した方が誤解がないように思う。どちらにしても、あとで公式な訳語も定義されるだろう。
2006年08月29日
「軌道上で圧倒的に大きい天体」?
しつこく惑星問題。
惑星の定義の第三条件を、ニュースによっては「軌道上で圧倒的に大きい天体」と表現しているところがある。というか、ブログなどで引用されている定義は圧倒的にこちらの方が多い。あまりに多すぎで、国立天文台の翻訳由来の定義を見つけ出すこともできないくらい。
おそらく日本人の大半は、惑星の定義で一番重要な第三項を「軌道上で圧倒的に大きい」で覚えてしまっただろう。結果的に間違ってはないとは思うのだけど、この言葉はどこから来たのだろうと不思議に思った。
このブログで「惑星の定義」(2006/8/25)の投稿をするときも、この表現を引用しようかと思ったが、この言葉の情報源を見つけることができなかったのであきらめた。この「圧倒的」という訳は、IAUの決議の英文をあたっても、その日本語訳の国立天文台の翻訳を見ても、見つけることができなかった。この「圧倒的」という日本語による第三条件の出所はいったいなんなんだろうか。
結論から言うと、分からない。
この「軌道上で圧倒的に大きい天体」という言葉は、2006年8月23日のこの提案が出されるらしいという記事の頃から使われている。今でも生き残っている古いページはここだろう。
太陽系惑星:冥王星除外…9→8に 天文学連合定義案修正−科学:MSN毎日インタラクティブ
第三条件の該当する原文は下の文以外にない。まともな文の形にすると。
A planet is a celestial body that has cleared the neighbourhood around its orbit.
この文章の訳しかたの問題なのだろうか?用語として訳そうとしなかったとか。でも英英辞書で単語の別な意味も調べても分からなかった。どこかネット上の探せなかったところに「圧倒的」という解説の原文があるのだろうか?
"clearing the neighbourhood"の解説としては、Wikipediaのclearing the neighbourhoodが、おそらくもっとも詳しい。
ここには、第三条件の根拠としている数値上の冥王星と惑星の違いの資料も引用されている。
とにかく、「掃き散らす」という言葉を使った惑星の定義だとわかりにくいので、なるべくはやく小学生にもわかりやすい惑星の定義をよろしく願います。
★追記2006年8月29日10:51
IAUによる惑星の定義の日本語訳が掲載されている国立天文台 アストロ・トピックス (233)(速報)太陽系の惑星の定義確定の第三条件の文章の中に「それだけが際だって目立つようになった」という言葉がある。これを含めた長い言葉「他の天体を掃き散らしてしまいそれだけが際だって目立つようになった」が、用語としての"clearing the neighbourhood"の日本語の訳となるわけだ。よく考えてみると、もしかすると、この部分が「圧倒的」という言葉と関係があるのかもしれない。わからないけど。
こういう定義の言葉は記者が勝手に変えてはいけないことだと思うから、誰か専門家の言葉として「圧倒的」の言葉が使われた根拠があるんだろうけど、やっぱり分からない。
yahooのブログ検索で「掃き散らす」で検索すると、僕のように定義のことについて書いてあるブログが見つかる。
・冥王星を蟄居させるな(ぐるぐる堂日録@blog)
ここを見ると、BBC NEWSで原文をちょっとやさしくしたような定義が載せられていたのが分かった。
Pluto loses status as a planet(BBC NEWS 24 Aug 06)
The scientists agreed that for a celestial body to qualify as a planet:
it must be in orbit around the Sun
it must be large enough that it takes on a nearly round shape
it has cleared its orbit of other objects
この英文も求めているものではなかったけど。
惑星の定義の第三条件を、ニュースによっては「軌道上で圧倒的に大きい天体」と表現しているところがある。というか、ブログなどで引用されている定義は圧倒的にこちらの方が多い。あまりに多すぎで、国立天文台の翻訳由来の定義を見つけ出すこともできないくらい。
おそらく日本人の大半は、惑星の定義で一番重要な第三項を「軌道上で圧倒的に大きい」で覚えてしまっただろう。結果的に間違ってはないとは思うのだけど、この言葉はどこから来たのだろうと不思議に思った。
このブログで「惑星の定義」(2006/8/25)の投稿をするときも、この表現を引用しようかと思ったが、この言葉の情報源を見つけることができなかったのであきらめた。この「圧倒的」という訳は、IAUの決議の英文をあたっても、その日本語訳の国立天文台の翻訳を見ても、見つけることができなかった。この「圧倒的」という日本語による第三条件の出所はいったいなんなんだろうか。
結論から言うと、分からない。
この「軌道上で圧倒的に大きい天体」という言葉は、2006年8月23日のこの提案が出されるらしいという記事の頃から使われている。今でも生き残っている古いページはここだろう。
太陽系惑星:冥王星除外…9→8に 天文学連合定義案修正−科学:MSN毎日インタラクティブ
第三条件の該当する原文は下の文以外にない。まともな文の形にすると。
A planet is a celestial body that has cleared the neighbourhood around its orbit.
この文章の訳しかたの問題なのだろうか?用語として訳そうとしなかったとか。でも英英辞書で単語の別な意味も調べても分からなかった。どこかネット上の探せなかったところに「圧倒的」という解説の原文があるのだろうか?
"clearing the neighbourhood"の解説としては、Wikipediaのclearing the neighbourhoodが、おそらくもっとも詳しい。
ここには、第三条件の根拠としている数値上の冥王星と惑星の違いの資料も引用されている。
とにかく、「掃き散らす」という言葉を使った惑星の定義だとわかりにくいので、なるべくはやく小学生にもわかりやすい惑星の定義をよろしく願います。
★追記2006年8月29日10:51
IAUによる惑星の定義の日本語訳が掲載されている国立天文台 アストロ・トピックス (233)(速報)太陽系の惑星の定義確定の第三条件の文章の中に「それだけが際だって目立つようになった」という言葉がある。これを含めた長い言葉「他の天体を掃き散らしてしまいそれだけが際だって目立つようになった」が、用語としての"clearing the neighbourhood"の日本語の訳となるわけだ。よく考えてみると、もしかすると、この部分が「圧倒的」という言葉と関係があるのかもしれない。わからないけど。
こういう定義の言葉は記者が勝手に変えてはいけないことだと思うから、誰か専門家の言葉として「圧倒的」の言葉が使われた根拠があるんだろうけど、やっぱり分からない。
yahooのブログ検索で「掃き散らす」で検索すると、僕のように定義のことについて書いてあるブログが見つかる。
・冥王星を蟄居させるな(ぐるぐる堂日録@blog)
ここを見ると、BBC NEWSで原文をちょっとやさしくしたような定義が載せられていたのが分かった。
Pluto loses status as a planet(BBC NEWS 24 Aug 06)
The scientists agreed that for a celestial body to qualify as a planet:
it must be in orbit around the Sun
it must be large enough that it takes on a nearly round shape
it has cleared its orbit of other objects
この英文も求めているものではなかったけど。
2006年09月01日
クローズアップ現代「さよなら冥王星」
クローズアップ現代
さよなら冥王星
〜新しい太陽系の姿〜
2006.8.31 19:30
NO.2288
番組ホームページ内の記録
昨日クローズアップ現代が、冥王星の話題だったので見た。
IAUの定義を作成した委員の一人である国立天文台助教授の渡部潤一氏も出ていて、わかりやすくまとめてあった。
以下、おおざっぱなメモと(思ったこと)
1930年に発見された冥王星。発見当初地球とほぼ同じ大きさとされたことが惑星と見なされた理由の一つ。1978年に衛星カロンが発見された。それまで考えられてきた冥王星の大きさは、この衛星を含めて観測されていたのだ。実際の冥王星の大きさは地球の月よりも小さいことが分かってきた。
(惑星と見なされた冥王星の大きさの修正の説明も、先週いろいろあった一連の報道の中では詳しくやっていなかったから、わかりやすかった。)
そのあと、2003UB313の発見についての話があった。
これは惑星とは何かの議論を加速させる発見。見つけたのはカリフォルニア工科大学マイケル・ブラウン教授のグループ。どうやって見つけたのかというと、最新の望遠鏡ではなくあえて60年前に作られたパロマ天文台の1.2mの望遠鏡を使って調べた。倍率の高い大きな望遠鏡だと暗い星は見えるけど狭い範囲しか見えない。1.2mの望遠鏡だと空の広い範囲を一度に観測できる利点がある。冥王星がそうであったように軌道が傾いていると仮定して、空全体をくまなく探した。そして星を見つけた。証拠写真。90分間隔の三枚の同じ場所を写した写真。これを次々に切り替えると、わずかに動いている様子が分かる。
(単純だけどこういう一目瞭然な星の発見を見せるのはわかりやすいなと思った。この教授自身の説明もわかりやすかった。)
この星を口径10mの大きな望遠鏡で観測してみると、衛星ももっていた。冥王星との共通点がいくつも発見された。メタンの氷の表面や、傾いた楕円軌道。大きさも上回っているし、冥王星が惑星ならば、これも惑星になれるはず。そういうことで今回の惑星の定義を決める議題が出てきたのだということの説明。
大きな問題。冥王星の周辺に次々に直径数百キロを越えるの似たような天体が見つかってきた。このあたりを太陽を取り巻くようにこのような天体が回っている。冥王星を惑星としておくと、このままでは惑星が無数に増えてしまう。
渡部氏が加わっての、新しい太陽系の惑星の定義の話。惑星という名前すらやめようとか極端な意見もあったとのこと。
・太陽の周りを回っている。
・質量が十分大きく球形をしている。
・軌道上で圧倒的に大きい。
渡部氏もこの言葉がとても簡単にしていると断ってから説明している。冥王星は三番目が当てはまらない。そういうわけで冥王星は矮惑星。冥王星は、海王星より遠い天体(トランス・ネプチュニアン天体)の代表選手となった。
(前回このブログで惑星の定義の三番目の定義の出所が分からないと書いていたが、IAUの定義作成委員だった渡部氏がこの言葉で説明しているのならば、これでいいや。一般視聴者に「掃き散らす」とか言ってもわけ分からなくするだけだから。それからNHKのニュースでは矮小惑星という言葉を使っていたけれど、今回は矮惑星と言っている。)
次は、太陽系生成の新しいシナリオについて。
「星のゆりかご」オリオン大星雲をどんどんズームして、原始太陽系の画像が出てくる。46億年前の私たちの太陽系も最初このようなガスやちりからできていた。CGによる太陽系生成の映像が続く。太陽の周りのガスやちりが微惑星となり、円盤状で微惑星が合体しながら水星から海王星までの惑星はできていった。しかしこれだけだと、それより外側の冥王星などの星の軌道が傾いていることを説明できない。
なぜ傾いてしまったのか?という疑問を持って、東京工業大学地球惑星科学科井田茂教授の説明の映像が始まる。井田教授はコンピュータシミュレーションを使ってこの謎に迫っている。
冥王星の8570倍の質量を持つ巨大な惑星「海王星」が外側へ向かって移動したことにより、強い重力でこのあたりの星々の軌道をかき乱したのではないか。
コンピュータによって海王星の移動により点状の星々がどう軌道を変化させたのかをシミュレーションしている映像が映しだされる。時間がたつにつれて、ある距離に固まって配置されるようになる。一千万年かけて、10億キロ外側に移動している。奇妙な軌道は冥王星の大移動が原因だった。
(でも見ていてどういう力が働いて垂直方向に上がっていくのかの理屈が分からなかった。)
番組のまとめとして。渡部氏の発言の断片。
トランスネプチュニアン天体(海王星より遠い天体)は、合体して大きな惑星になる途中でとまってしまった惑星のタマゴたち。タマゴが冷凍保存されているようなもの。化石のようなもの。惑星の素材がそのままあるのでは。アメリカ探査機2015年が接近して調べようとしている。電子的な技術も上がり、今これからが新しい天体発見の黄金時代。
(番組自体「さよなら冥王星」というタイトルだったが、これは決して私たちとって否定的な出来事ではない。太陽系にとっての新しい発見が相次いでいることの証拠だということ。)
以上。
番組の内容と(感想)はこんなだった。そのあとここに書くためにより詳しく調べようと、いろいろネット上の情報を調べてみたら、面白いものを見つけた。
井田茂教授本人がこの放送に関しての裏側を掲示板へ投稿していた。SF作家・野尻抱介氏のホームページ(野尻抱介 リファレンス・マニュアル)に設置してある掲示板だ。井田氏は以前よりこの掲示板に常連として投稿されているのだが、”わかりやすい番組”づくりを目指す番組側との攻防という面白いことが書いてあった。
http://njb.virtualave.net/nmain0213.html#nmain20060901043015
番組では、シミュレーション画像で冥王星などの天体の鉛直方向の傾きがまるで海王星の軌道が外側に移動することで起きたかのように見れたのだが、冥王星に関しては実はこれでは説明できないらしい。「平均運動共鳴のなかに入り込む昇交点経度の永年共鳴」によるらしい。
番組で軌道の傾きのように見えたのは実は違っていた。軌道離心率と軌道半径の図だったようだ。疑問を持って調べないと信じ込むところだった。一般視聴者には、それほど深くは興味もないだろうからあれでいいのかもしれないけど、この番組はこれからの天文学者の少年たちに微妙な知識を与えたかな。
井田氏の書き込みで紹介されているページが次のもの。
冥王星の起源と太陽系外縁部の構造(日本惑星科学会)
上のページには海王星の移動と冥王星の軌道の共鳴についての詳しい説明がある。ただし軌道面の傾きについての解説が載っているかとというと、そうではなくて、別な文献を参照してくださいとある。で、そこで指定されている文献が次の三つ。ちなみに"secular resonance"というのが永年共鳴。
・Evidence for Early Stellar Encounters in the Orbital Distribution of Edgeworth-Kuiper Belt Objects(英語)
・Sweeping Secular Resonances in the Kuiper Belt Caused by Depletion of the Solar Nebula(英語)
・The Effects of a Stellar Encounter on a Planetesimal Disk(英語 PDF)
修正:2008/06/27
リンク先が変わっていたので修正
さよなら冥王星
〜新しい太陽系の姿〜
2006.8.31 19:30
NO.2288
番組ホームページ内の記録
昨日クローズアップ現代が、冥王星の話題だったので見た。
IAUの定義を作成した委員の一人である国立天文台助教授の渡部潤一氏も出ていて、わかりやすくまとめてあった。
以下、おおざっぱなメモと(思ったこと)
1930年に発見された冥王星。発見当初地球とほぼ同じ大きさとされたことが惑星と見なされた理由の一つ。1978年に衛星カロンが発見された。それまで考えられてきた冥王星の大きさは、この衛星を含めて観測されていたのだ。実際の冥王星の大きさは地球の月よりも小さいことが分かってきた。
(惑星と見なされた冥王星の大きさの修正の説明も、先週いろいろあった一連の報道の中では詳しくやっていなかったから、わかりやすかった。)
そのあと、2003UB313の発見についての話があった。
これは惑星とは何かの議論を加速させる発見。見つけたのはカリフォルニア工科大学マイケル・ブラウン教授のグループ。どうやって見つけたのかというと、最新の望遠鏡ではなくあえて60年前に作られたパロマ天文台の1.2mの望遠鏡を使って調べた。倍率の高い大きな望遠鏡だと暗い星は見えるけど狭い範囲しか見えない。1.2mの望遠鏡だと空の広い範囲を一度に観測できる利点がある。冥王星がそうであったように軌道が傾いていると仮定して、空全体をくまなく探した。そして星を見つけた。証拠写真。90分間隔の三枚の同じ場所を写した写真。これを次々に切り替えると、わずかに動いている様子が分かる。
(単純だけどこういう一目瞭然な星の発見を見せるのはわかりやすいなと思った。この教授自身の説明もわかりやすかった。)
この星を口径10mの大きな望遠鏡で観測してみると、衛星ももっていた。冥王星との共通点がいくつも発見された。メタンの氷の表面や、傾いた楕円軌道。大きさも上回っているし、冥王星が惑星ならば、これも惑星になれるはず。そういうことで今回の惑星の定義を決める議題が出てきたのだということの説明。
大きな問題。冥王星の周辺に次々に直径数百キロを越えるの似たような天体が見つかってきた。このあたりを太陽を取り巻くようにこのような天体が回っている。冥王星を惑星としておくと、このままでは惑星が無数に増えてしまう。
渡部氏が加わっての、新しい太陽系の惑星の定義の話。惑星という名前すらやめようとか極端な意見もあったとのこと。
・太陽の周りを回っている。
・質量が十分大きく球形をしている。
・軌道上で圧倒的に大きい。
渡部氏もこの言葉がとても簡単にしていると断ってから説明している。冥王星は三番目が当てはまらない。そういうわけで冥王星は矮惑星。冥王星は、海王星より遠い天体(トランス・ネプチュニアン天体)の代表選手となった。
(前回このブログで惑星の定義の三番目の定義の出所が分からないと書いていたが、IAUの定義作成委員だった渡部氏がこの言葉で説明しているのならば、これでいいや。一般視聴者に「掃き散らす」とか言ってもわけ分からなくするだけだから。それからNHKのニュースでは矮小惑星という言葉を使っていたけれど、今回は矮惑星と言っている。)
次は、太陽系生成の新しいシナリオについて。
「星のゆりかご」オリオン大星雲をどんどんズームして、原始太陽系の画像が出てくる。46億年前の私たちの太陽系も最初このようなガスやちりからできていた。CGによる太陽系生成の映像が続く。太陽の周りのガスやちりが微惑星となり、円盤状で微惑星が合体しながら水星から海王星までの惑星はできていった。しかしこれだけだと、それより外側の冥王星などの星の軌道が傾いていることを説明できない。
なぜ傾いてしまったのか?という疑問を持って、東京工業大学地球惑星科学科井田茂教授の説明の映像が始まる。井田教授はコンピュータシミュレーションを使ってこの謎に迫っている。
冥王星の8570倍の質量を持つ巨大な惑星「海王星」が外側へ向かって移動したことにより、強い重力でこのあたりの星々の軌道をかき乱したのではないか。
コンピュータによって海王星の移動により点状の星々がどう軌道を変化させたのかをシミュレーションしている映像が映しだされる。時間がたつにつれて、ある距離に固まって配置されるようになる。一千万年かけて、10億キロ外側に移動している。奇妙な軌道は冥王星の大移動が原因だった。
(でも見ていてどういう力が働いて垂直方向に上がっていくのかの理屈が分からなかった。)
番組のまとめとして。渡部氏の発言の断片。
トランスネプチュニアン天体(海王星より遠い天体)は、合体して大きな惑星になる途中でとまってしまった惑星のタマゴたち。タマゴが冷凍保存されているようなもの。化石のようなもの。惑星の素材がそのままあるのでは。アメリカ探査機2015年が接近して調べようとしている。電子的な技術も上がり、今これからが新しい天体発見の黄金時代。
(番組自体「さよなら冥王星」というタイトルだったが、これは決して私たちとって否定的な出来事ではない。太陽系にとっての新しい発見が相次いでいることの証拠だということ。)
以上。
番組の内容と(感想)はこんなだった。そのあとここに書くためにより詳しく調べようと、いろいろネット上の情報を調べてみたら、面白いものを見つけた。
井田茂教授本人がこの放送に関しての裏側を掲示板へ投稿していた。SF作家・野尻抱介氏のホームページ(野尻抱介 リファレンス・マニュアル)に設置してある掲示板だ。井田氏は以前よりこの掲示板に常連として投稿されているのだが、”わかりやすい番組”づくりを目指す番組側との攻防という面白いことが書いてあった。
http://njb.virtualave.net/nmain0213.html#nmain20060901043015
番組では、シミュレーション画像で冥王星などの天体の鉛直方向の傾きがまるで海王星の軌道が外側に移動することで起きたかのように見れたのだが、冥王星に関しては実はこれでは説明できないらしい。「平均運動共鳴のなかに入り込む昇交点経度の永年共鳴」によるらしい。
番組で軌道の傾きのように見えたのは実は違っていた。軌道離心率と軌道半径の図だったようだ。疑問を持って調べないと信じ込むところだった。一般視聴者には、それほど深くは興味もないだろうからあれでいいのかもしれないけど、この番組はこれからの天文学者の少年たちに微妙な知識を与えたかな。
井田氏の書き込みで紹介されているページが次のもの。
冥王星の起源と太陽系外縁部の構造(日本惑星科学会)
上のページには海王星の移動と冥王星の軌道の共鳴についての詳しい説明がある。ただし軌道面の傾きについての解説が載っているかとというと、そうではなくて、別な文献を参照してくださいとある。で、そこで指定されている文献が次の三つ。ちなみに"secular resonance"というのが永年共鳴。
・Evidence for Early Stellar Encounters in the Orbital Distribution of Edgeworth-Kuiper Belt Objects(英語)
・Sweeping Secular Resonances in the Kuiper Belt Caused by Depletion of the Solar Nebula(英語)
・The Effects of a Stellar Encounter on a Planetesimal Disk(英語 PDF)
修正:2008/06/27
リンク先が変わっていたので修正
2007年06月17日
第二位の準惑星、冥王星
去年冥王星が惑星の定義から外れたときは、なんでみんなそんなに騒ぐのと思っていた。誰も肉眼で冥王星見たことないわけだし、ほとんどの人が写真すら見たことなかったはずなのに。そもそもみんな星のこと興味あったのかって。
みんな日頃、夜空見上げてるのだろうか。僕は夜道を歩くとついつい星を眺める。いつもと違う夜道だと北極星の場所を確認せずにはいられない。そして星座を何か一つでも見つけようとする。あのまぶしい星は金星だな、星座に紛れてるあれは木星かなとか。年に何度か天体望遠鏡を引っ張り出しては、木星の衛星や土星の輪を眺めて、ささやかな宇宙の奥深さを再確認する。この世界は人工物ではないが数学的だって実感をする。もちろん冥王星まで眺めることはできなかったけれど、他の惑星と大きく違うことも知っていたから、この降格にはさもありなんというのが感想だった。(参照 さよならプルート)
おととい久々に冥王星のことを書いてある記事を見つけたので、調べてみた。でもなんかかわいそうなタイトルだ。
2007/06/15-09:12 冥王星、また「降格」=エリスより軽いと判明−米天文学者 - 時事通信社
結局、冥王星が分類されたdwarf planetという言葉の訳語は矮惑星ではなく、準惑星となった。このことはこのブログにも書こうかと思ったけれど、書きそびれていた。一番大きくて重い準惑星だとわかったエリスというのは、去年惑星の定義が決まった頃「2003UB313」という名前でしきりに出てきた星。この星の存在がこの惑星の定義を決める大きなきっかけになった。
(参照 クローズアップ現代「さよなら冥王星」 去年書いたので情報古いです。)
惑星の定義がきまってしばらくしてこの2003UB313にエリスErisという名前がついた。同時にその衛星にディスノミアDysnomiaという名前が付いた。どちらもギリシャ神話からの命名で、神話ではディスノミアはエリスの娘。ちなみにエリスは有翼の女神として描かれる。エリスは不和の女神ともされて、この星の発見がもたらした議論を思い出させてくれる名前。
文中にロイター通信とあるので英語の元記事はこれだと思う。
WASHINGTON (Reuters) - Poor Pluto has been demoted again.
でも「第二の降格」っていうのはどこの文章だろう。それらしい"Poor Pluto has been demoted again"という文の訳は見出しで既に出てきてるのに。どうでもいいけど。
記事にあるハッブルは地球を回る有名な宇宙望遠鏡。英文の方では、ケック天文台でも観測したということも書いてある。初耳のこの天文台はハワイのマウナケアにある天文台群の中の一つ。W.M.Keckという言葉はどんな意味があるのかなと思ったら、W.M.Keck財団というところから総額1億4千万ドル以上もの助成金を受けて建てられたからだそうだ。この財団は石油で成功したWilliam Myron Keck氏が1954年に設立した慈善団体。
いちおう、話題に上っているサイエンス論文は、次のリンク。今回の論文の概要。細かなデータが書いてある。
The Mass of Dwarf Planet Eris - Science(英文)
観測に使ったハッブル望遠鏡とケック天文台のサイトにもこのニュースの記事があがってる。ハッブル天文台の方には、ErisとDysnomiaの写真も掲載されている。
Astronomers Measure Mass of Largest Dwarf Planet - HUBBLE
Astronomers Measure Mass of Largest Dwarf Planet - KECK
ハッブルの撮した美しい天体写真が他にもあるので、興味がある人はさまよってみるのもいい。
HubbleSite - Gallery
みんな日頃、夜空見上げてるのだろうか。僕は夜道を歩くとついつい星を眺める。いつもと違う夜道だと北極星の場所を確認せずにはいられない。そして星座を何か一つでも見つけようとする。あのまぶしい星は金星だな、星座に紛れてるあれは木星かなとか。年に何度か天体望遠鏡を引っ張り出しては、木星の衛星や土星の輪を眺めて、ささやかな宇宙の奥深さを再確認する。この世界は人工物ではないが数学的だって実感をする。もちろん冥王星まで眺めることはできなかったけれど、他の惑星と大きく違うことも知っていたから、この降格にはさもありなんというのが感想だった。(参照 さよならプルート)
おととい久々に冥王星のことを書いてある記事を見つけたので、調べてみた。でもなんかかわいそうなタイトルだ。
2007/06/15-09:12 冥王星、また「降格」=エリスより軽いと判明−米天文学者 - 時事通信社
(略)
米天文学協会が14日明らかにしたところによると、同教授らはハッブル宇宙望遠鏡などで観測したエリスの衛星ディスノミアの軌道上の動きから、エリスの質量は冥王星の1.27倍と計算。エリスの直径は冥王星よりやや大きいとされてきたが、質量も上回っていることを突き止めた。冥王星は質量の比較でも、準惑星グループのトップの座に立つことができないと判断されたわけで、「第二の降格」(ロイター通信)といわれている。
(略)
結局、冥王星が分類されたdwarf planetという言葉の訳語は矮惑星ではなく、準惑星となった。このことはこのブログにも書こうかと思ったけれど、書きそびれていた。一番大きくて重い準惑星だとわかったエリスというのは、去年惑星の定義が決まった頃「2003UB313」という名前でしきりに出てきた星。この星の存在がこの惑星の定義を決める大きなきっかけになった。
(参照 クローズアップ現代「さよなら冥王星」 去年書いたので情報古いです。)
惑星の定義がきまってしばらくしてこの2003UB313にエリスErisという名前がついた。同時にその衛星にディスノミアDysnomiaという名前が付いた。どちらもギリシャ神話からの命名で、神話ではディスノミアはエリスの娘。ちなみにエリスは有翼の女神として描かれる。エリスは不和の女神ともされて、この星の発見がもたらした議論を思い出させてくれる名前。
文中にロイター通信とあるので英語の元記事はこれだと思う。
WASHINGTON (Reuters) - Poor Pluto has been demoted again.
でも「第二の降格」っていうのはどこの文章だろう。それらしい"Poor Pluto has been demoted again"という文の訳は見出しで既に出てきてるのに。どうでもいいけど。
記事にあるハッブルは地球を回る有名な宇宙望遠鏡。英文の方では、ケック天文台でも観測したということも書いてある。初耳のこの天文台はハワイのマウナケアにある天文台群の中の一つ。W.M.Keckという言葉はどんな意味があるのかなと思ったら、W.M.Keck財団というところから総額1億4千万ドル以上もの助成金を受けて建てられたからだそうだ。この財団は石油で成功したWilliam Myron Keck氏が1954年に設立した慈善団体。
いちおう、話題に上っているサイエンス論文は、次のリンク。今回の論文の概要。細かなデータが書いてある。
The Mass of Dwarf Planet Eris - Science(英文)
観測に使ったハッブル望遠鏡とケック天文台のサイトにもこのニュースの記事があがってる。ハッブル天文台の方には、ErisとDysnomiaの写真も掲載されている。
Astronomers Measure Mass of Largest Dwarf Planet - HUBBLE
Astronomers Measure Mass of Largest Dwarf Planet - KECK
ハッブルの撮した美しい天体写真が他にもあるので、興味がある人はさまよってみるのもいい。
HubbleSite - Gallery
2007年06月19日
しょこたんの冥王星についての見解
去年の惑星定義騒動以前から冥王星の惑星としての存在を疑問視していたしょこたん。今回の件に関しての見解を見てみたら、笑った。
しょこたんの冥王星への仕打ち!テラヒドスwww
マミトシ神、GJ!
「しょこたんぶろぐ」のページ。
カニのバスク風。これは次とその次の記事との連作投稿だ。
■当ブログ内の関連記事
第二位の準惑星、冥王星
しょこたんの冥王星への仕打ち!テラヒドスwww
マミトシ神、GJ!
「しょこたんぶろぐ」のページ。
カニのバスク風。これは次とその次の記事との連作投稿だ。
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第二位の準惑星、冥王星
2008年06月27日
冥王星はPlutoid
以前書いた、クローズアップ現代「さよなら冥王星」という記事にコメントをいただいた。2006年9月1日の記事だ。この記事に先立つ2006年8月24日、国際天文学連合(IAU)の総会で惑星の定義が決定され、冥王星が惑星という分類から外れ、dwarf planet (後日、日本名は準惑星と決まる)という新しい分類となった。この決定がなされる数日前からニュースやワイドショーで連日いろいろ取り上げられていた。そうして、一段落した8月31日に速報的なまとめとして、このNHKの番組が放送された。プラハで行われたこの国際天文学連合総会に出席した国立天文台の渡辺氏も、ゲストとして番組に出演した。
この頃はみんなもいろいろブログにこのことを書いて(当時の「冥王星」の注目度の推移 - Yahoo! Japan ブログ検索)、昔天文少年だった僕も喜んでいくつか記事を書いたのだけど、悲しいことに、日本中で書かれたたくさんの記事に紛れてほとんど誰も読んでくれなかった。それが今頃になって、コメントをもらうなんて。ちょっとうれしい。
さて、この機会に、冥王星のことをちょっと調べなおしたら、6月11日の次の記事を見つけた。コメントしてくれたおかげだ。二週間以上も遅れた話題になるけど、次の引用は国立天文台が発行している「アストロ・トピック」というメールニュースの過去ログより
つまり、海王星よりも外側を周っている準惑星の英語名を、冥王星Plutoからとって、Plutoidと呼ぶことに決まったという話。和名はすでに決めてあって、「冥王星型天体」。今のところ、冥王星型天体plutoidには、冥王星とエリスEris(2003UB313と呼ばれていたもの)が属している。
でも考えてみると、エリスは実は冥王星よりも大きい星なので(第二位の準惑星、冥王星)、もしかするとこのグループはerisoidと呼ばれることになったのかもしれない。でもそうはならなかった。その理由が「敬意を表して」ということなのだろう。これから、エリスのように大きな仲間が見つかって、冥王星の順位がどんどん下がっていったとしても、このグループは冥王星型天体と呼ばれ続ける。よかったね。プルート、君はこれからもグループを代表する天体だよ。
●用語の整理
海王星より外側にある天体を、太陽系外縁天体trans-Neptunian objectと呼ぶ。
準惑星の定義をみたす天体を、準惑星dwarf planetと呼ぶ。(定義は省略w)
ちなみに、現時点で準惑星と呼ばれる天体は、冥王星plutoとエリスErisとケレスCeres。
この二つの意味を合わせて、
つまり、太陽系外縁天体であり準惑星である天体のことを冥王星型天体plutoidと呼ぶ。
冥王星は、太陽系外縁天体であり、準惑星であり、その二つの条件を満たすことにより、冥王星型天体である。
同様に、エリスも太陽系外縁天体であり、準惑星であり、冥王星型天体である。
もちろん、海王星より内側にある準惑星は、冥王星型天体とは呼ばない。
そういうことで、ケレスは火星と木星の間にあるので、準惑星ではあるが、冥王星型天体ではない。
追記
冥王星族plutinoという用語もある。これは冥王星型天体plutoidとは別の分類で、冥王星の軌道ととてもよく似た特徴を持つ天体を指すものでである。これにはケレスもエリスも含まれない。
補足説明
太陽系外縁天体とは、海王星より外側の天体のことなのだけれど、冥王星は海王星より内側(太陽に近い位置)を回る期間がある。これは冥王星の軌道が偏った楕円であるために起きる現象。冥王星が惑星の一つだった頃、惑星の順序で並べて水金地火木土天海冥と呼ばれていたが、冥王星が海王星の軌道の内側に入り込んだおよそ二十年間、水金地火木土天冥海とも呼ばれていた。
太陽系外縁天体というのは、正確には、軌道長半径を比べて海王星よりも大きい天体のことらしい(上記引用のアストロトピックの脚注より)。この軌道長半径というのは、軌道の中心と一番その中心から離れている楕円上の点との距離のこと。
この頃はみんなもいろいろブログにこのことを書いて(当時の「冥王星」の注目度の推移 - Yahoo! Japan ブログ検索)、昔天文少年だった僕も喜んでいくつか記事を書いたのだけど、悲しいことに、日本中で書かれたたくさんの記事に紛れてほとんど誰も読んでくれなかった。それが今頃になって、コメントをもらうなんて。ちょっとうれしい。
さて、この機会に、冥王星のことをちょっと調べなおしたら、6月11日の次の記事を見つけた。コメントしてくれたおかげだ。二週間以上も遅れた話題になるけど、次の引用は国立天文台が発行している「アストロ・トピック」というメールニュースの過去ログより
2006年夏の国際天文学連合 (IAU) 総会で、太陽系の惑星の定義が採択されました。実は、そのときに同時に、「太陽系外縁天体 (注1) で、なおかつ準惑星」という新しい天体の分類を作ることも採択されました。しかし、この分類を新しく作ること自体は採択されたのですが、残念ながら、英語名については合意には至りませんでした。
その後、日本国内では、日本学術会議 物理学委員会 IAU分科会の中に、「太陽系天体の名称等に関する検討小委員会」 (委員長:海部宣男 (かいふのりお)IAU日本代表、前国立天文台長) が設置され、太陽系天体の英語名に対応する推奨和名を決定しました。dwarf planet には準惑星、trans-Neptunian objectには太陽系外縁天体という和名が付けられました。上記の新しい分類の天体については英語名すらIAUで決まっていませんでしたが、委員会では様々な観点からの議論を総合して、冥王星という長い間親しまれた天体に敬意を表する意味合いを込めて、「冥王星型天体」という和名を推奨することにし、IAUにもその趣旨にそった名前を決めて欲しいという要望を提出しました。
この要望を受けて、IAUで太陽系天体を扱う第三部会の中でも議論がすすみ、このたびノルウェーのオスロで開催されたIAU評議員会で、最終的に plutoidという英語名にすることが決定されました。冥王星の英語名である Pluto をもとにした、冥王星の仲間という意味での命名です。冥王星という名前を大事にする「冥王星型天体」という推奨和名とも相性のよい命名となりました。
太陽系天体の名称等に関する検討小委員会の委員でもあり、今回のIAU評議員会に出席した岡村定矩 (おかむらさだのり) ・東京大学副学長は、「冥王星という天体に敬意を表するという方向性で決まった日本の推奨和名と、ほぼ同じニュアンスを持つ英語名に決まったことは、たいへんよかったと思っています」と述べています。
つまり、海王星よりも外側を周っている準惑星の英語名を、冥王星Plutoからとって、Plutoidと呼ぶことに決まったという話。和名はすでに決めてあって、「冥王星型天体」。今のところ、冥王星型天体plutoidには、冥王星とエリスEris(2003UB313と呼ばれていたもの)が属している。
でも考えてみると、エリスは実は冥王星よりも大きい星なので(第二位の準惑星、冥王星)、もしかするとこのグループはerisoidと呼ばれることになったのかもしれない。でもそうはならなかった。その理由が「敬意を表して」ということなのだろう。これから、エリスのように大きな仲間が見つかって、冥王星の順位がどんどん下がっていったとしても、このグループは冥王星型天体と呼ばれ続ける。よかったね。プルート、君はこれからもグループを代表する天体だよ。
●用語の整理
海王星より外側にある天体を、太陽系外縁天体trans-Neptunian objectと呼ぶ。
準惑星の定義をみたす天体を、準惑星dwarf planetと呼ぶ。(定義は省略w)
ちなみに、現時点で準惑星と呼ばれる天体は、冥王星plutoとエリスErisとケレスCeres。
この二つの意味を合わせて、
つまり、太陽系外縁天体であり準惑星である天体のことを冥王星型天体plutoidと呼ぶ。
冥王星は、太陽系外縁天体であり、準惑星であり、その二つの条件を満たすことにより、冥王星型天体である。
同様に、エリスも太陽系外縁天体であり、準惑星であり、冥王星型天体である。
もちろん、海王星より内側にある準惑星は、冥王星型天体とは呼ばない。
そういうことで、ケレスは火星と木星の間にあるので、準惑星ではあるが、冥王星型天体ではない。
追記
冥王星族plutinoという用語もある。これは冥王星型天体plutoidとは別の分類で、冥王星の軌道ととてもよく似た特徴を持つ天体を指すものでである。これにはケレスもエリスも含まれない。
補足説明
太陽系外縁天体とは、海王星より外側の天体のことなのだけれど、冥王星は海王星より内側(太陽に近い位置)を回る期間がある。これは冥王星の軌道が偏った楕円であるために起きる現象。冥王星が惑星の一つだった頃、惑星の順序で並べて水金地火木土天海冥と呼ばれていたが、冥王星が海王星の軌道の内側に入り込んだおよそ二十年間、水金地火木土天冥海とも呼ばれていた。
太陽系外縁天体というのは、正確には、軌道長半径を比べて海王星よりも大きい天体のことらしい(上記引用のアストロトピックの脚注より)。この軌道長半径というのは、軌道の中心と一番その中心から離れている楕円上の点との距離のこと。


